中国、研究開発費用の割増損金算入政策に関する公告他

中国JBS ‐ 中国税務および投資速報(日本語要約版)2021 年9月

税務法規

「都市維持建設税の優遇政策の継続実施に関する公告」(財政部、国家税務総局公告[2021]27号)(「27号公告」)

「都市維持建設税の課税ベースの確定方法などの事項に関する公告」(財政部、国家税務総局公告[2021]28号)(「28号公告」)

「都市維持建設税の徴収管理に関する事項についての公告」(国家税務総局公告[2021]26号)(「26号公告」)


概要

2021年9月1日施行の「中華人民共和国都市維持建設税法」(“「都市維持建設税法」”)を着実に実施するために、財政部および国家税務総局は2021年8月24日付で、関連の事項について規定した27号公告および28号公告を公布し、さらに国家税務総局は2021年8月31日付で26号公告を公布しました。

27号公告によれば、都市維持建設税に関わる優遇政策は「都市建設税法」の施行後も引き続き適用されます。例えば、増値税の小規模納税者は、2019年1月1日から2021年12月31日まで、税額の50%の範囲内で都市維持建設税が減額される政策などです。

また、28号公告および26号公告では、都市維持建設税の課税ベースについて、次のように規定しています。

都市維持建設税の課税ベース=(納税者が増値税に関する法律法規と租税政策の規定に基づき計算した納付すべき増値税の税額1+増値税の免除・控除税額2、5–直接減免された増値税の税額3–期末未控除税額還付による還付増値税の税額4)+(納税者が消費税に関する法律法規と租税政策の規定に基づき計算した納付すべき消費税の税額1-直接減免された消費税の税額3


注釈

  1. 現行の租税規定に基づき納付すべき増値税、消費税の税額には、貨物の輸入あるいは中国国外の組織および個人が中国国内に役務、サービス、無形資産を販売することにより納付した増値税、消費税の税額を含みません。
  2. 免除・控除税額は、増値税の免除・控除・還付税額を計算する際に算出される金額です。具体的には、納税者の国内販売に係る増値税の納税額の、輸出還付による還付税額と相殺される税額です。理論上、当該税額は租税優遇政策により「減免」されるものではなく、納税者が実際に「納付」するものであるため、増値税に付随する都市維持建設税も納付しなければなりません。
  3. 直接減免された増値税、消費税の税額とは、現行の増値税、消費税条例に基づいて減額もしくは免除される増値税、消費税の税額です。
  4. 期末未控除税額還付による還付増値税の税額は、規定に従って還付された増値税の期末未控除税額であり、増値税の一般課税方式(簡易課税方式ではない)により確定される都市維持建設税の課税ベースのみから控除することができます。当期に控除しきれない残額は、以後の納税申告期間において規定に従って引き続き控除することできます。
  5. 増値税の免除・控除税額に対して徴収される都市維持建設税は、税務機関が免除・控除税額を承認した翌納税申告期間に所轄税務機関で申告・納付しなければなりません。

「都市建設税法」の全文は下記サイトからご覧ください。
http://www.npc.gov.cn/npc/c30834/202008/9591538ccd764bb787e01e729fe0cbbb.shtml

27号公告の全文は下記サイトからご覧ください。
http://www.chinatax.gov.cn/chinatax/n365/c5168439/content.html

28号公告の全文は下記サイトからご覧ください。
http://www.chinatax.gov.cn/chinatax/n365/c5168440/content.html

26号公告の全文は下記サイトからご覧ください。
http://www.chinatax.gov.cn/chinatax/n365/c5168590/content.html

国家税務総局の26号公告に関する公式解釈の全文は下記サイトからご覧ください。
http://www.chinatax.gov.cn/chinatax/n810341/n810760/c5168591/content.html

 

「研究開発費用の割増損金算入政策のさらなる実施に関する問題についての公告」(国家税務局公告[2021]28号)(「28号公告」)

概要

「研究開発費用の割増損金算入政策の一層の整備に関する公告」(財政部、国家税務総局公告[2021]13号)(「13号公告」)によれば、製造業企業1が研究開発活動を行う中で実際に発生した研究開発費用は2021年1月1日以降、無形資産を形成せず当期損益として計上する場合、規定に基づき実際発生額を控除したうえで、さらに実際発生額の100%を追加で損金算入することができます。また、無形資産を形成する場合は、無形資産原価の200%を償却することができます。企業は10月に第3四半期(四半期ごとに予定納税を行う場合)または9月度(月ごとに予定納税を行う場合)の企業所得税の予定納税申告を行う際に、当年度の上半期の研究開発費用について、自らの選択により割増損金算入政策の適用を受けることができます。

企業の科学技術イノベーションをさらに奨励するため、国家税務総局は2021年9月13日付で28号公告を公布し、次の事項について明らかにしました。


予定納税申告時の適用

2021年度においては、適格企業が10月に第3四半期(四半期ごとに予定納税を行う場合)または9月度(月ごとに予定納税を行う場合)の企業所得税の予定納税申告を行う際に、自らの選択により(上半期ではなく)第1~3四半期の研究開発費用について、自らの選択により割増損金算入政策の適用を受けることができます。

10月の予定納税申告期に優遇適用を選択しなかった企業は、2021年度の企業所得税の確定申告(期限は2022年5月末)を行う際に一括して適用することができます。


その他関連費用の限度額

企業が一納税年度内に同時に複数の研究開発活動を行う場合、その他関連費用の限度額は、割増損金算入が可能な研究開発費用総額の10%を超えてはなりません。限度額は以下の公式により計算します。

すべての研究開発プロジェクトのその他関連費用の限度額=すべての研究開発プロジェクトの人件費などの5つの費用の合計額2×10% / (1 ~ 10%)

当該公式は、「企業の研究開発費用の割増損金算入政策に関する問題についての公告」(国家税務総局公告[2015]97号)(「97号公告」)における、研究開発プロジェクトごとに割増損金算入が可能なその他関連費用の限度額を計算するという方法に替わるものです。複数のプロジェクトがある企業の割増損金算入が可能なその他関連費用の限度額は、従来の公式によるよりも大きくなります3


会計上の要求

28号公告により、簡易版の研究開発支出補助簿と研究開発支出補助簿総括表の様式も公布されました(28号公告の添付1、添付2を参照)。企業は当該簡易版の様式または97号公告により公布された従来の様式、あるいはこれらの様式を参照し、自ら設計した様式(簡易版の研究開発支出補助簿の様式に列挙されるデータを含み、かつロジックも一致する必要がある)を選択し、用いることができます。当該補助簿は調査に備えて保存しなければなりません。

注釈

  1. 製造業企業とは、制造業業務を主たる業務とし、優遇適用を受ける年度の主要業務収入が収入総額に占める割合が50%以上に達する企業をいいます。製造業の範囲は現行の「国民経済業種分類」(GB/T 4574—2017)により確定されます。その他の適格企業は引き続き実際発生額の75%を割増損金算入することができます。
  2. すべての研究開発プロジェクトの人件費などの5つの費用の合計額とは、「研究開発費用の割増損金算入政策の整備に関する通知」(財税[2015]119号)([119号通達])に規定される人件費、直接投入費用、減価償却費用、無形資産の償却費、新製品の設計費をいいます。
  3. 例えば、某社では2021年度にAとBの2つの研究開発プロジェクトがあり、次のような費用が発生したとします。

(人民元)

5つの費用の合計額

その他関連費用

プロジェクトA

90万

12万

プロジェクトB

100万

8万

  • 新たな公式に基づき、2つのプロジェクトのその他関連費用の限度額は[(90+100)×10%/(1-10%)]=21.11万元となり、その他関連費用は限度額を超えていないため、実際に発生した20万元を控除できます。
  • 97号公告における従来の公式によれば、プロジェクトAとプロジェクトBのその他関連費用の限度額はそれぞれ計算しなければなりません。すなわち、プロジェクトAのその他関連費用の限度額は10万元[=90×10%/(1-10%)]であるため、プロジェクトAの割増損金算入が可能なその他関連費用は10万元となります。プロジェクトBのその他関連費用の限度額は11.11万元[=100×10%/(1-10%)]のため、プロジェクトBの割増損金算入が可能なその他関連費用は8万元となります。2つのプロジェクトの割増損金算入が可能なその他関連費用の合計額は18万元となります。


28号公式の全文は下記サイトからご覧ください。
http://www.chinatax.gov.cn/chinatax/n810341/n810825/c101434/c5169007/content.html

28公告についての公式解釈の全文は下記サイトからご覧ください。
http://www.chinatax.gov.cn/chinatax/n810341/n810760/c5169008/content.html

13号公告の全文は下記サイトからご覧ください。
http://www.chinatax.gov.cn/chinatax/n810341/n810825/c101434/c5163160/content.html

97号公告の全文は下記サイトからご覧ください。
http://www.gov.cn/zhengce/2016-05/24/content_5076369.htm

119号通達の全文は下記サイトからご覧ください。
http://www.chinatax.gov.cn/n810341/n810755/c1878881/content.html

 

税関法規

「『中華人民共和国税関登録登記および届出企業信用管理弁法』の公布に関する令」(税関総署[2021]251号令)(「251号令」)

概要

税関登録登記および届出企業信用管理制度の確立、社会信用システムの建設の推進、貿易の安全および利便化の促進のために、税関総署は2021年9月13日付の251号令により「中華人民共和国税関登録登記および届出企業信用管理弁法」(“「弁法」”)を公布しました。「弁法」は2021年11月1日から施行されます。

「弁法」の主な内容は次のとおりです。

分類管理措置:税関は「弁法」に規定する基準および手続に従って企業を高級認証企業と信用喪失企業に分類し、それぞれに対して利便性の高い、あるいは厳格な管理措置を実施します。高級認証企業と信用喪失企業以外のその他の企業に対しては通常の管理措置を実施します。

信用回復:税関は企業信用の回復メカニズムを構築し、法により企業の信用を回復します。重大な信用喪失主体名簿に含まれない、条件を満たす信用喪失企業が信用喪失行為を是正し、好ましくない影響を消除した場合、税関に信用回復を申請することができます。

優遇措置:従来の規定では、高級認証企業は9つの優遇措置を適用できるとしていましたが、「弁法」ではさらに、「輸出入貨物の通関手続および関連業務手続を優先的に処理する」などの3つの優遇措置が追加されました。これは、信用のある企業を奨励するという原則を表しています。

レビュー期間の延長:「弁法」では、税関が高級認証企業に対するレビューする期間を現行の3年から5年に延ばし、企業の負担を軽減しています。

重大な信用喪失主体名簿制度の確立:「弁法」では人民の生命、健康に関わる重大な信用喪失行為に対する懲戒規定が追加されました。税関は関連の違法行為がある信用喪失企業を、法により重大な信用喪失主体名簿に含めます。

救済措置の明確化:「弁法」によれば、税関は企業を重大な信用喪失主体名簿に含める場合、企業に懲戒措置、除外の条件や手続および救済措置について告知しなければなりません。これは、公開、公正の原則、企業の合法的権益の保護を表しています。

「弁法」の全文は下記サイトからご覧ください。
http://www.customs.gov.cn/customs/302249/2480148/3871763/index.html


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