インド税関、特恵税率適用時の輸入者責任を重くする関税規則を公布

Japan tax alert 2020年9月18日号

インド税関(以下、「CBIC」)は、貿易協定に基づく原産地規則に係る関税規則「Customs (Administration of Rules of Origin under Trade Agreement)Rules, 2020 (以下、「CAROTAR 2020」)」が、2020年9月21日に施行されることを発表しました。

CAROTAR 2020は、自由貿易協定(以下、「FTA」)などの貿易協定を締結している国々からの輸入に対し、特恵税率が不正に適用される事態を防ぐことを目的に制定されたもので、輸入貨物にFTAを適用したい輸入者に対して、これまで以上の義務を課す内容になります。

CAROTAR 2020の主な内容は以下の通りです。

  • 特恵税率での輸入申告を行う者は、輸入申告時に輸入貨物が原産資格を有することを宣言した上で、原産地証明書に関する次のような詳細情報を提供すること。
    • 原産地証明書のリファレンス番号
    • 発給日
    • 適用した原産地規則
    • 累積の有無
    • 第三国により発給された原産地証明書であるか否か
    • 直送の有無

原産地証明書の内容に不備が認められる場合には、税関職員の判断で特恵税率の適用を否認することができる

  • さらに輸入者は、輸入貨物の原産資格に関する次のような詳細情報を取得し、すべての根拠資料とともに輸入申告時から少なくとも5年間保管すること。
    • 生産工程
    • 原産部材の詳細
    • 僅少規定適用時の詳細
    • 累積適用時の詳細
    • RVC(原産資格割合)のパーセンテージや、CTCにおける非原産材料のHSコードなどの詳細
    • 直送に関する詳細
  • 輸入貨物の原産資格に関して疑いが生じた場合、税関職員は輸入者に対し情報請求を行うことができ、その際には輸入者は10日以内に上記情報を提供する必要がある。
  • 輸入者が期限内に必要情報を提供できなかった場合、または提供情報が不十分である場合、もしくは提供情報精査後も輸入貨物の原産性に疑いが残るような場合は、税関職員より検認担当官を通じ、輸出当局に対して検認要請が行われる。なお、検認要請中の輸入については特恵税率での輸入を停止することができる。
  • 検認要請に対して、輸出当局が十分な対応を所定期限内に行わなかった場合、追加確認依頼を行うことなく、特恵税率の適用を否認することができる。
  • 検認の結果、当該貨物が原産資格を有しないと判断された場合、同じ輸出者、生産者から輸入された同種貨物に対しても特恵税率の適用が否認することができる。

上記内容から、今後は輸入貨物の原産資格に関する詳細情報をインド輸入者側で保持していない場合、特恵税率での輸入が停止または否認されるリスクがあります。したがって、FTAを利用してインドに輸入している企業は、早急に現行のFTA輸入体制を見直し、当該新規則に即した輸入手順を導入し、特恵税率での輸入が否認されないよう対応を進めることが推奨されます。