これだけは知っておきたい!ビジネスプラン入門 第2回 ビジネスプラン作成にあたっての注意点

作成 特定非営利活動法人 日本MITベンチャーフォーラム 本橋 健
協力 新日本有限責任監査法人 WWN 公認会計士 福山伊吹

本コンテンツは2014年11月28日(金)に開催された新日本有限責任監査法人と株式会社日本政策投資銀行との共催セミナー「DBJ-WEC&WWN共催セミナー・女性起業家のためのビジネス実践講座~経営を学ぶシリーズ~ビジネスプラン基礎編-ビジネスプランを学ぼう!」における講演内容を基に編集されました。    


Ⅲ. ビジネスプランを書く際に気を付けるべき注意点

第1回 「ビジネスプラン作成にあたっての注意点」 からの続き)

ビジネスモデル/マーケティング・プロモーション・販売チャネル

(1) ビジネスモデル
ビジネスモデルは人、モノ、情報、お金などを扱う関係者がどのよう結びついているかを記載します。具体的には、お客様がだれか、それは会社なのか、個人なのか、さらに、商品・サービスはどうやって顧客に届けるか、それは誰がやるのかが見た人が把握できるようにします。

図5のように、関係者は記載されていますが、それらの関係者間でのどのようなやりとりがあるかを書かずにいると、関係者がなぜこのビジネスに関与していくのかのモチベーションや理由が判らず、ビジネス展開の想定が伝わりません。


図5: ビジネスにおける関係者のみ書かれていて、どう関わるのかが不明瞭

図5: ビジネスにおける関係者のみ書かれていて、どう関わるのかが不明瞭



図5の改善例: ビジネスにおける関係者と当該ビジネスとの関係を明瞭化 売上の源泉となる顧客単価計算の基本なども記載

図5の改善例: ビジネスにおける関係者と当該ビジネスとの関係を明瞭化
売上の源泉となる顧客単価計算の基本なども記載


(2) 顧客、マーケティング、プロモーション、販売チャネル
業界の既存の商習慣を十分に研究したうえでマーケティングの戦略をたて、プロモーションを検討します。ここではとくに定量的な観点での計画が必要です。

図6のように、顧客のタイプだけでは顧客獲得根拠が希薄です。具体的なアプローチを記載し、売り上げ目標を詳細に設定することが大事です。すぐに販売に結び付けられない商品・サービスの場合、事前のテスト販売計画やヒヤリング数など、事前の活動においても数値目標や具体的な事実を使うとより説得力が増します。
また、プロモーションや販売チャネルについては、ターゲットとしている顧客にどのように伝えるか、そのターゲットに効率よく伝わるような仕組みを具体的に記載する必要があります。

図6: ターゲットとする顧客の条件が不明瞭だとマーケティングや プロモーション計画に反映するのが難しい

図6: ターゲットとする顧客の条件が不明瞭だとマーケティングや
プロモーション計画に反映するのが難しい


図6の改善例: 顧客の人物像を詳細化しマーケティング・プロモーションの アプローチを詳細に記載する。

図6の改善例: 顧客の人物像を詳細化しマーケティング・プロモーションのアプローチを詳細に記載する。
顧客タイプごとの売上や人数などの数値目標などあると定量的になる


スケジュール/収支計画

(1) スケジュール
ビジネスプランでは、中長期にわたる事業展開を示す計画が必要となります。開発計画、販売計画等の概要を記載します。

図7のような中長期の展開のほか、足下1年程度の具体的な活動は月ごと、もしくは四半期ごとに検討すると良いでしょう。中長期の事業展開を示したうえで当面、まず何か優先的な課題なのかを明らかにします。例えば、優先的な課題としては、製品の試作を終えること、もしくは、販路を開拓することなどがあるでしょう。なお、市場への浸透は、何段階かに分けてシナリオを作ることが多く、販売費や一般管理費などの経費は、販売する対象者と売上のシナリオと整合させて作成する必要があります。

図7: 中長期スケジュールの例

図7: 中長期スケジュールの例


(2) 収支計画
収支計画を作成し、売上・費用・利益計画、投資計画と資金調達方法などを説明できるようにします。損益分岐点を超えるのはどの時点なのか、累積損失が解消するのはどの時点なのかなどを明確にします。

具体的には簡易な貸借対照表、損益計算書を3~5年先まで作成します。投資が必要な場合は具体的な使途を明確にして、借入や出資に分けて、資金獲得予定先を合わせて記載します。また、資金が回らなくなると会社は倒産してしまいますので、資金繰り、つまり、資金がどこで足りなくなるのかを適宜把握することが重要です。

投資家は売上は経営者の目標値としての想定と受け取っていることが多いのですが、費用(コスト)については、投資家は必要となるコストが何なのかを比較的予測しやすいため、収支計画を作成して、売上と費用の内容を明らかにすることが求められます。一人で会社を経営している方は自身の人件費を入れずに収支計画を作成する場合が見受けられますが、ビジネスプランを作成するに当たっては、自身の人件費も含めて記載します。

図8: 収支計画(年度ごと)の例-当年度は四半期または月毎で作る必要あり 必要に応じて詳細な項目を作成

図8: 収支計画(年度ごと)の例-当年度は四半期または月毎で作る必要あり
必要に応じて詳細な項目を作成


(3) 経営陣
経営者の経歴、経営陣が複数で構成されている場合には経営陣の顔ぶれ、略歴、組織体制、協力者や連携先等を記載します。この場合、経営者としてこの事業をやり抜く力を持っていることをいろいろな角度で表現します。また、経営陣の役割分担を明確に記載し、事業を進めていくのに、ベストなチームとなっていることを説明するとよいでしょう。さらに、獲得が必要な人材の種類とタイミングを明確にすることで、求める人材を探すのにも役立ちます。

図9: 経営陣の例:主要経営者については略歴などで詳しく説明する

図9: 経営陣の例:主要経営者については略歴などで詳しく説明する


Ⅳ. まとめ

ビジネスプランはまず、書いてみることが重要です。書くことで自分の課題が明確になります。そして、作成したビジネスプランを説明することで、協力者を得ることができる可能性が出てきます。さらに、ビジネスプランは1回作成すれば終わりではなく、何度も見直しをしてブラッシュアップしていくものです。ビジネスプランの作成を何度も書き重ねていくごとに、新しい課題やテーマが見つかるはずです。

ビジネスプランでは、それぞれの項目が互いに関係しあっているので、整合性が取れているかも重要な観点です。特に、売上・収支計画には、すべてのアクションの結果が反映されることになるので、作っただけでなく定期的にチェックすることが重要です。  本資料が皆様の事業の発展に貢献できれば幸いです。

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