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「事業者のデジタル化促進」で社会全体のDX推進を図る
2023年に国税庁より公表された「DX2023」は、従来の「納税者の利便性の向上」と「課税・徴収事務の効率化・高度化等」に加え、「事業者のデジタル化促進」という新たな柱が追加されましたが、主な概要は次のようになっています。
「納税者の利便性向上」では、デジタル化による手続の簡素化やオンライン上での申告・納付が可能になるほか、納税者がデジタル化に不慣れな場合でも、電話相談などを活用してサポートすることが言及されています。「課税・徴収事務の効率化・高度化等」では、オンラインツールの活用、他の機関への照会等のデジタル化を進めることで、データによる情報のやり取りを拡大することを示しています。「事業者のデジタル化促進」では、事業者の取引・会計・経理全般のデジタル化を推進し、他省庁、関係団体などとの連携・協力を図り、社会全体のDX推進に貢献することが言及されています。
「日本版記入済み申告書」の実現に向けた取組み
では、この3つの柱の論点とは何でしょうか。「納税者の利便性向上」では、まず税務を起点として社会全体へDX推進を広めることが言及されています。具体的には、DXによって納税者の利便性向上、データ活用、業務改革が実現される一方、申告手続簡素化、事業者のPeppol活用などによる取引のデジタル化推進が実現されることを目指しています。
次に給与情報等の自動入力(申告手続の簡素化)の実現に向け、「日本版記入済み申告書」(書かない確定申告)に向けた自動入力項目の拡大により、申請手続の簡素化、検索や相談の高度化に取り組むとされています。一方、事業所得や雑所得については、簡便化の実現については言及されておらず、収入については支払調書のデータにより実現可能性がありますが、経費については会計ソフトとの連動ができる程度にとどまるでしょう。
給与の源泉徴収票は2024年2月から連携、給与支払報告書については2027年2月より地方公共団体に提出された給与支払報告書のデータが国税当局と連携されます。
年末調整手続の簡素化についても、各種控除証明書はマイナポータルと連携され、データ送信が可能となっていますが、2025年10月から小規模企業共済等掛金の証明書がデータ提出可能となり、年末調整に必要な主な証明書はすべてデータ提出が可能となります。
また、「課税・徴収事務の効率化」では、データ活用の徹底が言及されています。新たに税務データの学術研究目的活用が記載され、学術研究者などを対象とした共同研究、匿名データの提供、会社標本調査の充実などが検討されています。また、申告漏れの可能性が高い納税者などの判定、滞納者への最適な接触方法の予測に活用することも目指しています。
「事業者のデジタル化推進」では、税務手続のデジタル化と合わせ、事業者の業務のデジタル化を促す施策に取り組むとされています。また、インボイス制度の導入に合わせ、デジタル庁が取り組むデジタルインボイス導入によるデジタル化も紹介されています。