ニュースリリース
2022年10月20日  | Tokyo, JP

EY調査、ESGは業界成長に伴い重要な岐路に直面

プレス窓口

・標準化された基準、規制、共通のパーパスの欠如は、拡大するサステナビリティ推進活動への信頼を脅かす
・本レポートはサステナビリティ情報における信頼と意思決定の有用性を構築する5つのポイントを提示

EYとOxford Analyticaが発表した最新レポート「サステナビリティ情報エコシステムの出現(The emerging sustainability information ecosystems)」によれば、環境・社会・ガバナンス(ESG)への投資および報告は、標準化された基準、規制、共通のパーパスが欠如する中で、存在意義を問われる問題に直面しており、インフレ進行とウクライナをめぐる情勢が問題をさらに難しくしていると指摘しています。
本レポートでは、ESGの信頼性と成功を揺るがす重大な問題の一つとしてグリーンウォッシングが増えつつあることを挙げています。ESGがすでに確立している財務報告エコシステムと遜色がないシステムであるとステークホルダーに認めてもらうには、サステナビリティエコシステムに携わる多くの関係者が責任を持ってこうした問題に対処し、ESGに対する信頼性を高めていかなければなりません。
また、本レポートは、ESGにどのような要素を含めるべきか、合意にもとづいて定められた評価指標をどのように運用すべきか、得られたデータをどのように有効活用すべきかという点について合意形成がいまだになされていないことも指摘しています。ESGへの信頼を高めるために取り組むべき主な領域として次の5つを挙げています。

  1. ESG格付に関する透明性の向上
  2. サステナビリティ情報のさまざまな活用方法についての理解促進
  3. 保証可能な条件の整備
  4. 比較可能で、相互運用可能なタクソノミーの開発
  5. 新興諸国の市場参加者が直面している障壁への対処

EY Global Vice Chair(サステナビリティ担当)のSteve Varleyのコメント:
「ESG推進をめぐる動きは目覚ましい勢いで拡大していますが、一方で土台となる重要な概念について整合や合意がなされていないことが妨げとなっています。最も懸念すべき点は、グリーンウォッシングを指摘する声が増えています。今まさにESGは岐路に立っていると言えます。ESGが直面しているこうしたさまざまな問題に対処していくためには全体的な観点からの体系的なアプローチが必要であり、サステナビリティは誰もが関わるべき課題です。業界のステークホルダーによるオープンな協力体制や信頼の構築に向けた努力を後押しする取り組みを拡大していく必要があります」

本レポートでは、ESGへの格付け、マテリアリティ(重要課題)、サステナビリティ情報のさまざまな用途、保証に求められる条件について理解を深める必要性を指摘しています。また、ESGと財務報告の関連性が高まるにつれ、ESGエコシステムを形成する別の角度からの声や視点を提供する存在として、市民社会や従業員などに着目しています。そして、こうしたさまざまなステークホルダーが関与を深めながら、報告および開示の基準やサステナブルファイナンス・タクソノミーの策定、そして財務リスクと社会への影響を重視する投資家らに有用なESG格付の開発をさらに進めていくことを求めています。

EY Japan 気候変動・サステナビリティ・サービス(CCaSS)リーダーの牛島 慶一のコメント:
「近年、インパクト投資に関する議論も盛んになってきていますが、直近の開示を巡る標準化の議論では、まずは長期的な経済的価値との関係から整理が始まっています。ESG情報開示の促進や標準化は、多様な側面を有するESGを巡る議論の整理や、信頼できるデータの蓄積を通じた新たな投資モデルの構築に役立ちます。
ESGデータについては、見る時間軸や評価目的によってデータの解釈が異なります。企業にとって重要なことは、数字作りの裏にあるストーリーや目的です。ストーリーや目的なき数字は単なる数字で、活用のされ方いかんでさまざまな解釈が成り立ちます。企業の持つパーパスやストーリーと統合されてこそ、意味あるESGデータ開示となると言えます」

※本プレスリリースは、2022年7月14日(現地時間)にEYが発表したプレスリリースを翻訳したものです。英語の原文と翻訳内容に相違がある場合には原文が優先します。
英語版ニュースリリース:
ESG faces ’make or break’ moment as industry comes of age, according to new report


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