EYとは、アーンスト・アンド・ヤング・グローバル・リミテッドのグローバルネットワークであり、単体、もしくは複数のメンバーファームを指し、各メンバーファームは法的に独立した組織です。アーンスト・アンド・ヤング・グローバル・リミテッドは、英国の保証有限責任会社であり、顧客サービスは提供していません。
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エリア別パフォーマンスの概要: 2023年は各エリアが予想しなかった結果に
2023年の米国におけるIPO件数は、2022年比で15%増加しましたが、注目度の高いディールがいくつかあったため、調達額は2022年の3倍近く増加しました。合計すると、153件が227億米ドルを調達し、そのうち132件が米国取引所に上場しました。2022年における地域の案件数はわずか4件だったのに対し、2023年には7件で5億米ドル以上を調達しましたが、米国取引所では引き続き小規模ディールが中心となっています。全体として、IPO件数の前年からの増加により、2023年のIPO市場が広範に回復するという楽観的な見方が市場に広がりました。楽観的な環境にもかかわらず投資家は依然として慎重であることから、強力なファンダメンタルズと準備が必要です。
2023年、Asia-Pacific(アジア・パシフィック)では732社が新規上場し、調達額は694億米ドルで、それぞれ前年比18%減、44%減となりました。経済的・地政学的な逆風に直面するAsia-PacificのIPO市場にとっては厳しい年となり、中国本土と香港の二大IPO市場は引き続き件数・調達額ともに減少しました。中国本土から米国へのクロスボーダー上場の平均ディール規模も20年ぶりの最低水準となり、2021年の水準から93%減少しました。ただし、中国本土は引き続きIPO資金の重要な源泉であり、2023年の世界全体の調達額の40%以上に寄与しました。Asia-PacificのIPO市場では、ESG(環境、社会、ガバナンス)およびテクノロジー分野でプライベート・エクイティとベンチャーキャピタルに支えられた資本力のある企業は、自社の評価が向上するまで待つ余裕があります。現実的な価格設定とIPO後のパフォーマンスが、強力なガバナンスと優れたエクイティストーリーを備えた上場準備会社の2024年の上場を促すかもしれません。
EMEIAのIPO市場は回復基調にあり、MENAの大型ディール、インドとCESAの活発化、米国への注目度の高いクロスボーダーIPOを背景に、調達額は39%減少したものの、件数は7%増加しました。この地域は、413件、311億米ドルの調達額で1年を締めくくりました。また、世界の上位10案件のうち5案件がEMEIAからのものであったとはいえ、2022年と比較すると、大型IPOよりも小型IPOの件数が多かったため、調達額が減少しました。MENAは2023年のEMEIAにおいてIPOトップ10を引き続き独占しており、IPOの半分はこの地域で行われました。EMEIA全体では、2024年の展望は楽観的ですが、予断を許さない市場環境にあって慎重な歩みが求められます。各国政府および規制当局が、破壊的イノベーションへの投資を促進するため、資本市場を刺激する措置を講じています。