関連法令等の改正

2024年7月25日
カテゴリー IPOの動向

EY新日本有限責任監査法人
企業成長サポートセンター
マネージャー 公認会計士 安藤 正伸

1. 東京証券取引所は、2024年3月28日に「金融商品取引法改正に伴う四半期開示の見直し等に係る有価証券上場規程等の一部改正について」を公表

東京証券取引所は、2024年3月28日に「金融商品取引法改正に伴う四半期開示の見直し等に係る有価証券上場規程等の一部改正について」を公表しています。

本改正は、2024年4月1日から施行された「金融商品取引法等の一部を改正する法律」により、2024年4月1日以降に開始する四半期から四半期報告書が廃止され、従来の第1・第3四半期が取引所規則に基づく四半期決算短信に「一本化」されることを契機に上場制度の整備を行うものです。

2. 改正の主な概要

(1) 第1四半期及び第3四半期に係る決算短信の開示内容

四半期決算に係る内容の開示において、連結又は個別の四半期財務諸表及び主な注記など、最低限以下の事項の開示が求められています。

四半期(連結)財務諸表

  • (連結)貸借対照表
  • (連結)損益計算書及び(連結)包括利益計算書

主な注記

  • 継続企業の前提に関する注記
  • 株主資本の金額に著しい変動があった場合の注記
  • 会計方針の変更、会計上の見積りの変更、修正再表示に関する注記
  • 四半期(連結)財務諸表の作成に特有の会計処理に関する注記
  • セグメント情報等の注記
  • キャッシュ・フローに関する注記(※1)

その他

  • 経営成績等の概況(※2)
  • 継続企業の前提に関する重要事象等
  • レビュー報告書(レビューを受ける場合のみ添付)

太字 新たに開示を求められることとなった注記

※1 任意に四半期(連結)キャッシュ・フロー計算書を開示する場合を除く

※2 決算説明資料等、決算短信以外で開示を行うことも可(ただし、その場合は参照先や参照方法等を記載する)

上記のように開示が求められている事項以外にも、投資者のニーズを適切に把握し、投資判断に有用と考えられる情報を自社で判断し、そのニーズに応じて積極的な開示をすることも併せて求められています。

投資判断に有用と考えられる情報の例示として、以下の事項が挙げられています。

四半期(連結)財務諸表

  • (連結)キャッシュ・フロー計算書

主な注記

  • (連結)貸借対照表関係の注記/(連結)損益計算書関係の注記
  • 金融商品/有価証券/デリバティブ取引関係の注記
  • 重要な後発事象の注記

その他

  • 経営成績等に関する説明にあたり考えられる事項
    • 経営管理上重要な指標
    • 設備投資・研究開発費に関する事項
    • 適時開示を行っている場合、当該事象が決算に与える影響
      (企業結合関係や子会社の取得等による四半期業績への具体的影響など)

(2) 第1四半期及び第3四半期の決算短信の開示タイミング

第1四半期及び第3四半期の決算短信は、決算の内容が定まり次第開示することが求められ、半期報告書と同様に各四半期末日後45日以内に開示することが求められています。

具体的には、「⑴第1四半期及び第3四半期に係る決算短信の開示内容」に記載している決算短信において開示を予定している事項が定まった時点で開示することとなります。

なお、開示時期が各四半期末日後45日を経過する場合には、その状況について適時開示することも求められています。

(3) 第1四半期及び第3四半期の決算短信に対する監査人によるレビュー

第1四半期及び第3四半期の決算短信に含まれる財務諸表等に対し、監査人によるレビューは、原則として任意とされています。ただし、会計不正等により以下のいずれかの要件に該当した場合には、いずれにも該当しなくなるまでの間は、財務諸表の信頼性を確保する観点から、年度の監査と同一の監査人によるレビューを義務付けています。

  • 直近の有価証券報告書、半期報告書又は四半期決算短信(レビューを受ける場合)において、無限定適正意見(無限定の結論)以外の監査意見(レビューの結論)が付される場合
  • 直近の内部統制監査報告書において、無限定適正意見以外の監査意見が付される場合
  • 直近の内部統制報告書において、内部統制に開示すべき重要な不備がある場合
  • 直近の有価証券報告書又は半期報告書が当初の提出期限内に提出されない場合
  • 当期の半期報告書の訂正を行う場合であって、訂正後の中間財務諸表に対してレビュー報告書が添付される場合

(出所)東京証券取引所「四半期開示の見直しに関する実務の方針」(2023年11月22日)、「金融商品取引法改正に伴う四半期開示の見直し等に係る有価証券上場規程等の一部改正について」(2024年3月28日)を基にEY作成

(4) 上場申請時の提出書類

本改正前においては、上場申請時期に応じ、上場申請期の第1四半期及び第3四半期に係る「新規上場申請のための四半期報告書」の提出が求められていましたが、改正後は「新規上場申請のための半期報告書」(新規上場日が申請期の6か月を経過した後となる場合)のみ提出が求められることとなりました。なお、2024年4月1日から始まる新たな四半期会計期間から適用されるため、当該日より前に第1四半期又は第3四半期が開始している場合には、従前どおり「新規上場申請のための四半期報告書」が必要である点に留意が必要です。

また、上場申請時の「新規上場申請のための四半期報告書」の提出が不要となる一方、第1四半期又は第3四半期に係る「四半期決算短信」の提出が新たに求められている点にも留意が必要です。

(出所)東京証券取引所各市場の「2023 新規上場ガイドブック(2024年3月29日公表)の主な改正点

3. 上場準備会社の対応

2024年4月1日から施行された「金融商品取引法等の一部を改正する法律」により、2024年4月1日以降に開始する四半期から四半期報告書が廃止されることから、有価証券上場規程等を一部改正しています。今般の改正に伴い、第1四半期及び第3四半期決算短信における開示義務の範囲が拡充されるとともに、開示が義務づけられている事項以外にも、投資家ニーズを把握し、自発的に「投資判断に有用と考えられる情報」を開示することが求められています。また、上場申請時には、申請年度の経過期間に応じ、上場申請に係る提出書類として第1四半期又は第3四半期決算短信の提出が必要となることから、上場準備会社においては、四半期決算短信にて開示する「投資判断に有用と考えられる情報」を十分検討し、それを踏まえた上で、45日以内に四半期決算短信を提出できる体制の構築が必要です。

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