EYとは、アーンスト・アンド・ヤング・グローバル・リミテッドのグローバルネットワークであり、単体、もしくは複数のメンバーファームを指し、各メンバーファームは法的に独立した組織です。アーンスト・アンド・ヤング・グローバル・リミテッドは、英国の保証有限責任会社であり、顧客サービスは提供していません。
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日本でもDX(デジタルトランスフォーメーション)ブームに加え、「新しい資本主義の実現」構想で人・技術・スタートアップへの投資が示され、リスキリングの重要性が高まっています。一方で、業種・業界やその企業の置かれた状況により、DX人材の獲得や育成が加速しない、または着手できないなどの困難に直面しているケースが増えています。私たちの考える講ずべき手段、および効果的なアプローチについてご紹介します。
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混乱が広がり、複雑化していく社会の中で、より良い組織体制への従業員の期待も高まっています。チェンジマネジメントへの新しいアプローチを採用することは、トランスフォーメーションの成果を向上させることにつながります。
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「ISO9100に対応する適格な人員計画を目的に、業務に必要なスキルと個人が保有するスキルを同時に同じプラットフォームで見たいというニーズがありました。また、スキルや教育記録に関するヒューマンエラーの撲滅、トレーサビリティーの強化、個人が持つスキルデータの活用という理由から、システムの導入を決めました」
川崎重工業がスキルデータを使って目指すのは、人材の流動化と“適所適材”です。
「コロナ禍が明け、航空機の需要は戻ったものの、人手不足による人材の流動化は避けられない見通しです。各人のスキルを最大限に生かすことが切実な課題となる中、人が少ない部署に合わせて人員を配置する必要があります。そこで、その人に合った仕事をさせる“適材適所”ではなく、あえて“適所適材”としています」(服部)
スキルデータの活用シーンとして、服部氏が挙げたものは主に次の3つです。
「1つ目は技能伝承です。ベテランから従業員が減っていく中、失われるスキルを明確にし、確実に伝承していくためには、育成計画をしっかり練らなければなりません。2つ目は変化への対応と最適配置です。先ほどもお伝えしたように、時代の変化によって仕事は増減します。そのため、人材流動を行い、少ない人数で“適所適材”を目指していく必要があります。そして3つ目が、個人のキャリア開発やエンゲージメントの向上です。従業員のやりがい、エンゲージメントを高める企業風土がなければ、会社をけん引していく人材も育ちません。これまでは上司の経験則で一方的に決まっていた人事を、スキルベースで可視化していくことでキャリアパスを明確にする。その実現に向けて現在取り組んでいるところです」(服部氏)
今や航空宇宙カンパニー全体でSkillnoteを導入している川崎重工業ですが、そこに至るまでにはさまざまな苦労や課題があったと服部氏は言います。
「一番の課題は社内の説得や巻き込みでした。当時、紙で記録していたISO9100の監査書類をデータベース化することによってヒューマンエラーを防げるなど、スキルデータのメリットを上層部に説明。上層部の理解を得た上で、会社全体で取り組むという流れをつくりました。そして、まずは私が所属する生産技術部門でスモールスタートし、その効果を実証してから全社に反映するという形をとりました」(服部)
運用も9割ほど進み、スキルデータに基づく人員計画ができるようになった結果、社内の意識も変わりつつあると服部氏は述べます。
「次のテーマはスキルデータを分析し、人材流動や個人のエンゲージメントを上げていくことです。そこに力を発揮するのが、このSkillnoteというシステムだと思います」(服部氏)
山川氏もまさにそれこそが本日のテーマであるとして、「スキルデータをベースにした人材マネジメントについて、現在多くの企業が課題を持っていると思います。従業員が将来像を思い描きながら成長していけるように、われわれもさらなる貢献をしていきたいと考えています」と述べ、次の講演へとバトンを渡しました。