EYはカーボンネガティブを維持、2025年のネットゼロ実現に向け前進


EYは2022年度に7項⽬のCO2削減アクションプランを強⼒に実行し、2025年のネットゼロ達成に向けて引き続き順調に取り組みを進めています。


要点

  • EYは引き続き温室効果ガス(GHG)排出量の削減を図っており、CO2の相殺・除去量が排出量を上回るカーボンネガティブを2年連続で実現した。
  • 今後の課題は、クライアントをサポートし独自のグローバルな文化を維持しつつ、排出量を抑制しながら事業を成長させることである。
  • クライアントが事業の脱炭素化を図り、低炭素経済への移行を加速させる手助けをするため、サービス、テクノロジー、プロダクトへの投資を行っている。

国連気候変動枠組条約第26回締約国会議(COP26)を受け、脱炭素化が最⼤の世界的ビジネス課題に浮上し、ネットゼロ実現に取り組む企業が急増しています。ネットゼロ宣⾔をし、Science Based Targetsイニシアチブ(SBTi)と連携して、気候科学に従って排出量の削減を図る企業や⾦融機関はすでに3,000社を超えました。

企業がオペレーション変⾰を進め、脱炭素化を後押しする今、その機運は⾼まり続けています。とはいえ成⻑企業の場合、プラス成⻑を遂げれば国や地域を問わず結果的に排出量が増加するリスクがあるので、これに対処することが急務です。

「2023年度以降の課題は引き続き事業を成⻑させ、独⾃のグローバルな⽂化を維持しながら、CO2絶対排出量を削減することです」とEY Global Vice Chair – SustainabilityのSteve Varleyは述べています。これが課題であることは、EYの⼈材基盤(フルタイム当量(FTE)ベース)が基準年である2019年度以降29%拡⼤していることからも明らかです。

また、出張が再開されたことで2023年度は⾶⾏機での移動に伴うCO2排出限度の真価が問われる最初の年になるでしょう。

「この課題に対応する準備は整っており、CO2削減アクションプランに打ち出した対策がネットゼロ達成に向け引き続き取り組みを進める上で役⽴つと確信しています」とVarleyは⾔います。

2023年度以降の課題は引き続き事業を成⻑させ、独⾃のグローバルな⽂化を維持しながら、CO2絶対排出量を削減することです。

EYは2021年1月にCO2削減への取り組みに着手しました。スコープ1、スコープ2、スコープ3の温室効果ガス絶対排出量を(基準年の2019年度から)40%削減し、2025年にネットゼロを実現させることを目指しています。これは、SBTiから承認を受けた1.5°C⽬標に沿ったものです1 。またこの⽬標は気候科学の観点からも、地球の気温上昇を1.5℃に抑えるというパリ協定の⽬標の達成に必要とされています。

EYは2021年度に、世界全体でカーボンネガティブを実現するという⼤きなマイルストーンを達成しました。カーボンネガティブの実現とは排出量を上回る量のCO2を相殺または除去することを意味します。2022年度もカーボンネガティブを実現し、2025年のネットゼロ達成に向け引き続き順調に取り組みを進めていることを誇りに思います。
 

EYではどのように温室効果ガスの排出量を削減し、カーボンネガティブを維持しているか

2022年度にEYが排出した温室効果ガスは合計で⼆酸化炭素に換算して59万7千CO2換算トン(tCO2e)でした。基準年である2019年度の135万4千CO2換算トン(tCO2e)から56%削減できたことになります。⼀⽅、スコープ3の出張によるCO2排出量とスコープ2のオフィス電⼒消費量が激減した2021年度と⽐べると53%の増加です。ただ、2022年度にはEYの事業の多くが通常業務を再開しており増加は想定内のことです。EYの1.5°C⽬標にもコロナ禍後の温室効果ガスの排出量増加を織り込んでいます。

まだ削減できていない排出量を相殺するため、EYでは有数のプロジェクト開発企業やグローバルな気候変動ソリューションプロバイダーと共同で引き続きCO2オフセット・ポートフォリオに投資をしています。これらのプロジェクトで相殺したCO2排出量は合計72万3千CO2換算トン(tCO2e)です。これは2022年度にEYが排出した量の121%に相当し、2022年度も確実にカーボンネガティブを実現できます。いずれのプロジェクトも相殺の質についてEYが定めた基準を満たしています。また独⽴した検証を受け、追加性と永続性があり、別の⽬的では使⽤されずリーケージにもつながらない、かつコミュニティにプラスの効果をもたらすことはその実績から明らかです。

多くのクライアントと同様、⾃社の排出量をより正確に把握する⼀助としてEYでは新たなテクノロジーを導⼊しています。Enablonを導⼊したことでスコープ1とスコープ2の排出量をより正確に把握できるようになりました。対象となるデータポイントはEYネットワーク全体にある約650カ所のオフィスのエネルギー使⽤量、⽔消費量、燃料データなどです。

スコープ3の排出量についても出張の予約や航空機、鉄道、⾃動⾞関連の⽀出額を分析して引き続き詳細に把握しています。卓越したクライアントサービスを提供し、市場で優位を保ち、EYのチーム全体で連携し、EYの企業⽂化を強化する上で、出張は⽋かせません。⼀⽅、2025年のネットゼロ実現という⽬標達成に向け引き続き取り組むことができるよう、環境に配慮し、熟慮した上で出張をする必要があることも認識しています。2023年度の⾶⾏機での移動に伴うCO2排出限度は、2022年度の限度から6%引き下げました。この限度を確実に守るためには、排出量の削減と、クライアント対応などの活動で必要となる出張とのバランスを取ることが2023年度以降の課題となるでしょう。
 

2025年のネットゼロ実現に向けた7項目のCO2削減アクションプランの進捗状況

2025年にネットゼロを実現するため今後も7項⽬のCO2削減アクションプランの実⾏に努め、今まで以上に持続可能な組織づくりに取り組みます。2022年度は1年を通して、主要となる各アクションで⼤きな実績を上げることができました。

    • クライアントのサステナビリティに関わる⽬標と宣⾔の達成に向けた取り組みを⽀援しています。EYの⾰新的なソリューションとテクノロジーで企業やセクターのサステナビリティに関わる最⼤の課題に対処します。具体的には、アライアンスパートナーであるMicrosoftIBMSAPEnablonServiceNowと連携して、クライアントがこれまで以上にサステナビリティを戦略に組み込めるよう有効なテクノロジー、商品、サービスを開発しています。

この7項⽬のアクションプランに基づいてネットゼロ実現に向け活動する⼀⽅で、引き続きSBTiの動向にも注意を払っています。その動向の1つが先ごろ⾏われたネットゼロの定義の更新です。EYは多くのクライアントと共にこの定義の変更がもたらす影響をより明確に把握し、それがEYにとってどのような意味を持つのかを⾒極めるべく取り組んでいます。
 

低炭素社会の実現に向け他者と連携

「他のプロフェッショナルサービスファームと同様、EYのビジネスモデルは製造業、⼩売業、削減が難しい業界など多くの業界に⽐べてシンプルです」とVarleyは指摘します。「EYでは、⾃社の排出量⾃体が少ないことを認識しつつ、⾃らの経験、招集⼒、スキル、サービス、⼈材を⽣かして他者が低炭素化を進める⽀援をしています」

脱炭素化に取り組むクライアントとサプライヤーをサポートする他、引き続き招集⼒を⽣かして、志を同じくする組織を結集し、企業、社会、そして地球のためにサステナビリティから価値を創造し、守っています。

他者と連携することですべての⼈の排出量削減に役⽴つ、⼒を結集させた解決策を⾒いだすことができるはずです。結局のところ、サステナビリティはすべての⼈に関わりのある問題なのです。

2021年11⽉にはEYのリーダーらがCOP26に参加しました。ビジネス界と⾦融界のリーダーが各国政府のリーダーと共に集結し、⼀致団結して対応する必要性があるとの判断をCOP会議で下したのは、これが初めてのことです。2022年11⽉にエジプトで開催されるCOP27を⾒据え、EYでは今後もネットゼロ社会の実現に向けた進捗を加速させる取り組みを後押ししていきます。またクライアントと連携して、宣⾔を企業活動へと具現化し、真の変化を⽣み出していく⽅針です。
 

サステナビリティの測定と報告に関しては引き続き基準策定機関と連携し、また、英国のチャールズ3世国王が創設した持続可能な市場のためのイニシアチブ(SMI、Sustainable Markets Initiative)やサステナビリティ責任者のフォーラム「S30」(SMIの一部)など外部組織との取り組みを通じて脱炭素化を推し進めています。
 

気候科学で明確に⽰されているように、規模の⼤⼩にかかわらず組織が⼤気中のCO2の量を削減するあらゆる取り組みを速やかに前進させることが不可⽋です。また全員が役割を果たす必要があり、さらに⼀歩進んだ取り組みができる企業はそれを実⾏に移さなければなりません。⼀致団結することでネットゼロという難しい課題に⽴ち向かい、より良い、より持続可能な社会を構築できるはずです。
 

「気候変動と脱炭素化という難しい課題の解決策は、⼒を合わせて探すしかありません。他者と連携することですべての⼈の排出量削減に役⽴つ、⼒を結集させた解決策を⾒いだすことができるはずです」とEY Global会⻑兼CEOのCarmine Di Sibioは述べています。「結局のところ、サステナビリティはすべての⼈に関わりのある問題なのです」

  1. ネットゼロを実現するためのEYの取り組みは、2020年にSBTiから承認を受けました。ネットゼロ基準についてのSBTiの最新の動向に引き続き注意を払っています。

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    サマリー

    EYは2025年のネットゼロ実現に向けてCO2絶対排出量の削減に取り組んでおり、カーボンネガティブを2年連続で実現できたことを誇りに思います。経験、サービス、ソリューション、⼈材を⽣かし、他者と連携して低炭素社会への移⾏を後押ししていきます。