EYとは、アーンスト・アンド・ヤング・グローバル・リミテッドのグローバルネットワークであり、単体、もしくは複数のメンバーファームを指し、各メンバーファームは法的に独立した組織です。アーンスト・アンド・ヤング・グローバル・リミテッドは、英国の保証有限責任会社であり、顧客サービスは提供していません。
EYの関連サービス
-
【EY Japan】EYのサプライチェーン&オペレーションズ(Supply Chain and Operations)コンサルティングチームでは、世界のサプライチェーン課題の複雑性が増す中、高い専門性を持つサプライチェーン専門のコンサルタント集団が、企業の強靭かつ持続性あるグローバルサプライチェーンの構築を支援します。
続きを読む
o9ソリューションズは、同様にサプライチェーン管理・計画を支援するi2テクノロジーズの創立者が2009年に設立した企業です。当初はコンサルティングサービスを中心に手掛け、その知見を生かしてサプライチェーンにまつわる経営課題を解決するシステム「o9デジタルブレイン」を開発し、世界中で販売しています。
o9デジタルブレインの特徴は、単一のプラットフォーム上で、販売、配送、生産、購買などの計画の水平統合と、月単位の長期計画、週単位の詳細計画、日単位による短期の実行計画の垂直統合を実現することだと朱氏は説明しました。また、「ナレッジグラフ機能」では、サプライチェーンの各拠点を、拠点の優先度や配送リードタイム、生産カレンダーといった付随する情報とともに、グラフィカルに表示できます。「この図は単にサプライチェーンネットワークを可視化するだけではなく、計画に関する全ての要素が書き込まれます。また、何かリスクが発生した場合にはリアルタイムに反映されます」(朱氏)。
このプラットフォームを活用すると、例えばとあるサプライヤーの工場が被災して予定通りの調達が困難になった場合、今手元にある在庫で顧客の需要をどのくらい満たすことができるのかを瞬時に分析できます。また、サプライヤーからの情報を即座に反映し、数値に基づいて顧客に具体的に見通しを伝えることも可能になります。
さらに、欠品が避けられない場合、利益率を優先して製品を生産するか、それとも利益はいったん度外視して特定の顧客向けを優先するか、それぞれのシナリオをシミュレーションし、経営層に示しつつ判断を仰ぐといったことも可能となります。
また、急なオーダー追加のような需要変動があった場合、画面上でリアルタイムにサプライヤーと連携し、計画数値を調整することもできます。
朱氏は「一般にサプライヤーの情報は分断されており、有事の時もメールや電話といった手段でコミュニケーションを取ることが多いのですが、それではスピードが遅くなってしまいます」と指摘し、こうしたプラットフォームを活用することで、迅速に、しかもわかりやすい形で情報を共有できると説明しました。
平井はこうした説明を受け、「供給困難によってどのようなインパクトが生じるのかを瞬時に把握し、顧客やサプライヤーと連携していく事例が生まれ始めています。単にサプライチェーンを組み替えるだけの話ではなく、自社の経営に対するインパクトやお客さまに対するサービスレベル、さらには最終顧客へのサービスレベルを瞬時に判断し、代替策を検討する余地を持つことが求められています」とまとめました。
セミナーの最後には、視聴者から寄せられた質問へ回答する時間も設けられました。
まず「統合されたプラットフォームやデータの重要性は理解しているものの、現状ではデータが点在しており、どこから準備を始めればいいか」という悩みに対し、伊藤は、データを集める前提として「どのような有事に対し、どのような対応が必要か」というシナリオを洗い出し、優先順位をつけていくことを初期段階のステップとして推奨しました。
もちろん、シナリオは無限に考えられるでしょう。伊藤は「過去に起きた、あるいは直近で起きる可能性が濃厚なシナリオを選定し、その上で考えていくことが大事です」とアドバイスしました。
また、特に製造業の場合、自社とサプライヤーという一対一の関係にとどまらず、その先のティア2、ティア3も含めて影響をどう見積もり、対応していくかがポイントになります。ティア1の情報ならばある程度把握できても、ティアNの情報をどう把握していけばいいのでしょうか。
平井は、1つの鍵としてBOMを挙げました。もちろん、ティアNの情報を全てBOMに埋め込むことは不可能です。そこで、まずキーパーツだけを別枠で管理し、影響を受ける恐れのあるBOMの情報を管理していくケースが増えていると言います。さらに、o9のようなプラットフォームを活用し、情報をうまく組み合わせることで、コラボレーションを進めて影響範囲を可視化し、対応策に結びつけることができると回答しました。
また伊藤は、単に「情報をください」と依頼して終わるのではなく、サプライチェーンの強靭化に向けた取り組みを進めていること自体をステークホルダーと共有し、自ら発注計画などを開示して歩み寄る姿勢を示すといった地道な取り組みを広げることが、互いの情報共有とサプライチェーンの最適化につながるのではないかとコメントしています。