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現金収支の赤字がやや縮小するのに伴い、純債務は2024/25年までに9,150億豪ドルに増加すると予想されます。これはGDPの37.4%に相当し、予算案の41%から低下しています。
この数字は目を覆いたくなるようなものですが、米国や英国など他の先進国で見られる純債務がGDPの100%を超えているのに比べれば、ほんのわずかな数字に過ぎません。正味金利支払いの対GDP比は0.7%で、先立った予測からの変更はありません。これは、債務が若干減少する一方で、金利が若干上昇すると想定されるためです。
回復基調にある経済
GDPプロファイル、企業投資、公共需要、名目GDP、賃金、インフレ、労働参加率、移民など経済見通しの上方修正は至るところに見られます。
実際、年央経済・財政中間見通しは、デルタ株の流行が大きな歯止めというよりも短いつまずきであったことを示し、デルタ株の脅威が生じる前だった予算案発表時点からGDPのプロファイルが上方修正されました。
失業率は2022/23年に4.25%まで低下すると予測され、予算案発表時の4.75%を下回ります。
経済見通しの引き上げの中心にあるのは、家計と企業による支出に見受けられる強い勢いです。5月の予算案では、2022/23年に民間需要の拡大が成長の主役になるとしていましたが、今回の数字でもそれは変わっていません。ただし、2022/23年には公共部門がより大きな役割を果たすと予想されています。
年央経済・財政中間見通しは、2022年初頭から短期滞在や永住を目的とした移住が徐々に回復し、2022年の第1学期には留学生が、また2022年初頭から観光客が幅広く回復することを想定しています。
その結果、2021/22年の人口成長率は予算案の0.2%から0.3%に、2022/23年は予算案から0.4%ポイント増の1.2%に加速すると修正されました。
これは多くの企業にとって歓迎すべきことであり、経済成長を制約している労働市場の不足をある程度緩和するはずです。
企業もまた、景気回復の追い風となることを期待されています。今日の労働力人口や求人広告、欠員状況などの先行指標から、企業は大規模な投資を行い雇用も回復すると予想されます。
家計については、パンデミック開始以来、家計の貯蓄が1人当たり1万豪ドル以上増加したことが、個人消費の力強い回復の裏付けになると予想されます。
家計消費は、予想を下回った2021/22年に続き、2022/23年も5.5%の上昇を見込んでいます。州にとって重要なのは、商品サービス税(GST)が適用される家計消費はさらに10.25%強く増加すると予想されることです。これは、必需品よりも高い課税の傾向がある裁量的支出へのシフトを明確に示しています。
政府の経済計画の実行に不可欠なのは、消費者が前向きで、貯蓄を控え、過去数年間にできなかったことにたくさん支出することで、経済見通しに織り込まれたオミクロン株(新型コロナウイルス感染症の変異株)による混乱は最小限にとどまるでしょう。
移民や観光客の受け入れは経済にとってプラスですが、オーストラリア人の海外旅行がいつ復活するのか、また国内ではなく海外でどの程度消費するのかは不透明です。今回の年央経済・財政中間見通しでは、2022/23年に輸入が12.5%と急激に増加することを想定していますが、これは同年のGDPに顕著な足かせとなるものです。
経済の改善と予想を上回る失業率の低下を受けて、賃金上昇率とインフレ率も上方修正されました。2022/23年の賃金価格指数は予算時から0.5ポイント上方修正され、2.75%となり、インフレ率の伸びを0.5%上回る見込みです。これは、3会計年度ぶりに実質賃金が上昇することを意味します。
年央経済・財政中間見通しは、他の予算書と同様に、いくつかの予測を設けており、それらは全体として慎重であるように思われます。重要なのは、名目所得と税収の主要な原動力である鉄鉱石の価格が、予算時より1四半期遅れて2022年4~6月四半期末に1トン55米ドルにまで下落すると、政府は再び保守的な予測をしている点です。
また、現在高騰している原料炭や一般炭の価格も下落する見込みです。このような商品価格の下落により、2022/23年の交易条件は低下し、国民所得と貿易収支にとって逆風となるでしょう。