「ニューノーマル」における想定シナリオに基づいた打ち手オプションの検討・評価方法

「ニューノーマル」において求められるサプライヤー・事業パートナーのリスクマネジメントとは


新型コロナウイルス感染症(COVID-19)がもたらした、これまでに前例のない世界同時多発的なパンデミックは、「ニューノーマル(New normal)」として私たちの生活様式を大きく変えました。

この「ニューノーマル」における企業とサプライヤー・事業パートナーの関係構築は、Beforeコロナからどのように変化したのでしょうか。サプライヤー・事業パートナーに対するリスクマネジメントという切り口から、EYのグローバルネットワークを活用した知見をご紹介します。


グローバルサプライチェーンにおける脅威には何があるか? 

現代のグローバルサプライチェーンは、新型コロナウイルス感染症のパンデミックをはじめ、自然災害、貿易障壁、サイバー攻撃など、さまざまなリスクにさらされています(図1)。弾力的なサプライチェーンをグローバルレベルで構築するために、サードパーティー(サプライヤー・事業パートナー)を含むエコシステム全体でリスク耐性を強化する必要があります。

図1 グローバルサプライチェーンにおけるリスクとその例

図1 グローバルサプライチェーンにおけるリスクとその例

ニューノーマルにおけるリスクマネジメントの要点は何か? 

変化の著しい「ニューノーマル」において、企業を取り巻くさまざまな脅威を考慮した弾力的なサプライチェーンを構築するためには、リスクシナリオの分析とサードパーティーの戦略的重要性を踏まえた、危機に対する行動計画(プレイブック)の導入が必要です。

プレイブックは、①リスクシナリオの分析、②対策オプションの検討、③プレイブックの策定、④対応手順の作成・検討、⑤プレイブックに基づく対応、という流れで導入します(図2)。

ここからは、サプライヤー・事業パートナーといったサードパーティーのリスクマネジメントやプレイブック導入を考えるうえで、特に重要なポイントとなる①リスクシナリオの分析、②対策オプションの検討、③プレイブックの策定について、具体的な方法をご紹介します。

図2 「New normal」におけるリスクマネジメントフレームワークと対応方法

図2 「New normal」におけるリスクマネジメントフレームワークと対応方法

サードパーティーのリスクマネジメントは具体的にどう行うのか? 

A.    リスクの影響度とリスクの脆弱性から、優先順位をつける(図3)

「想定シナリオが経営に与える影響(リスクの影響度)」と「重要なサードパーティーのリスク脆弱性」という2つの観点を切り口とし、エコシステムで優先的に取り組むべきリスクを認識・評価することが重要です。

図3 リスクの影響度とリスクの脆弱性による優先順位付けの流れ

図3 リスクの影響度とリスクの脆弱性による優先順位付けの流れ

B.    想定シナリオにおける打ち手オプションを検討・評価する(図4)

サプライヤー・事業パートナーといったサードパーティーの戦略的重要性ごとにリスク対応の方向性を把握し、想定シナリオの打ち手オプションを網羅的に評価することで、平時から重大リスク発生に対する備えの整った行動計画(プレイブック)を策定できます。

図4 想定シナリオにおける打ち手オプションの検討・評価の流れ

図4 想定シナリオにおける打ち手オプションの検討・評価の流れ

サプライヤーや事業パートナーのリスクマネジメントにおける、具体的なリスク影響度や脆弱性の認識・評価手法、対応の検討方法については以下を参照してください。



サマリー

サプライヤーや事業パートナーを含むエコシステム全体でリスク耐性を強化し、弾力的なサプライチェーンを構築するためには、新型コロナウイルス感染症といったパンデミックだけでなく、貿易戦争や自然災害などさまざまなリスクを前提とする必要があります。そうした前提を伴ったサプライチェーンの構築には、リスクシナリオの分析とサードパーティーの戦略的重要性を踏まえた、危機に対する行動計画(プレイブック)の策定が有効です。


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