人を中心に据える(humans@center):現場にスマートテクノロジーを浸透させる
VPCでは、搬入された全ての新車に対して決められた一連の整備作業が行われます。しかし、「その車両は今、どこにあるのか。次にどんな整備が施されるのか。その作業は誰が実行する必要があるのか。一連の整備作業が確実に実施されるようにするにはどうしたらよいか。誰と情報を共有すべきか」など、VPC内の状況が明確ではありませんでした。
そこで、EYは、「SAP Vehicle Logistics」ソリューションを活用して新車整備の全プロセスの設計とデジタル化を行いました。本ソリューションを導入することにより、作業員は、「ビジュアルコックピット」を使って敷地内の各整備ヤードの稼働状況をリアルタイムで把握し、そのデータをもとに、新規に搬入された車に対して最善の整備フローを決定することが可能になりました。
Ernst & Young LLP コンサルティング分野のプリンシパルであるSpencer T Farrは、次のように述べています。
「EYでは新車整備プロセスの包括的改善プログラムを立ち上げて、全てのプロセスを精査し、プロセス面の改善機会を特定することでVPCにおけるスループットを一日短縮することを目指しました」
ハンディスキャナー、モバイルアプリ、バーコード技術などはすべて、完全に接続されたデータ駆動型エクスペリエンスを創出します。こうしたエクスペリエンスを通じてすべてのステークホルダーが有益な情報にアクセスできるようになります。
このように透明性が担保されると、VPC内の一台一台の車両の整備プロセスが完全に可視化され、ディーラーは顧客が注文した車の所在と状況を完全に把握し、顧客に伝えることができるため、顧客の期待により良く寄り添うことが可能になります。「現在、新しいホイールリムの取り付けが行われています」などと顧客に伝えることができれば、顧客の高揚感を持続させることができ、期待感もさらに高まるでしょう。これまで顧客がほとんど知る由もなかった整備プロセスの状況を顧客と共有できることにより、顧客満足度とブランドロイヤリティを改善する新たな機会も生まれます。
大規模にイノベーションを推進する(innovation@scale):クラウドソリューションを活用して生産性と従業員パフォーマンスを改善する
車の所在と個々の整備作業に関するデータをリアルタイムで入手できることは、コミュニケーションの改善に役立つだけではありません。こうした新たなクラウドベースのソリューションを活用することにより、自動車メーカーは現場の自動車整備士の稼働状況を複数のVPCにわたって追跡することが可能になります。これにより、従業員の説明責任の向上が期待される他、経営陣にとっては具体的で客観的な指標を見極める一助になります。