Web3ビジネスのトップランナーが示唆するWeb3の新潮流とは?

Web3ビジネスのトップランナーが示唆するWeb3の新潮流とは?


Web3の現状、課題、将来予測などについて、金融業界、ゲーム業界、通信業界など多岐にわたる分野からの専門家による議論をご紹介します。


要点

  • トークンに関する金融規制の整備が進み金融サービスの幅が広がる一方、トークンビジネスのマスアダプションは遅れている。
  • ブロックチェーンゲームの普及にはユーザー体験の提供に加え、法規制を順守するための環境整備が重要となる。
  • 暗号資産の会計処理は一定の整備が進んでいるが、トークン保有に関して未整備な箇所が存在する。
  • トークンは、分断されている経済圏をシームレスに結びつける可能性があるが、課題もまだ存在する。
  • 本記事は2024年11月28日に開催したウェビナーのサマリーであり、2025年11月30日までアーカイブが視聴可能である。


2024年11月28日(木)、ウェビナー「Web3ビジネスの潮流」を開催しました。本イベントは、全4パートに分けて、Web3ビジネスの現状と課題、業界の将来予測について、さまざまな業種の事業者からの貴重な発表を2時間にわたりお届けしました。

 

金融、ゲーム、キャリア、ブロックチェーン、業界団体など多岐にわたる分野からの専門家が、それぞれの視点から現状の分析、課題の共有、将来予測について意見を交わしました。

 

 

パート1では「ブロックチェーン・プラットフォームの現状とリスク対策」をテーマに、KDDI株式会社事業創造本部Web3推進部の部長、舘林俊平氏と株式会社BOOSTRYのCOO、周藤一浩氏が登壇しました。モデレーターはEY新日本有限責任監査法人(以下、EY新日本)アソシエートパートナーの安達が務めました。

 

舘林氏は、KDDIが法人や自治体と協力してNFTやWeb3サービスを展開している一方で、Web3のマスアダプションが予想よりも遅れているという課題を認識していると述べました。このため、国内ユーザーにWeb3を普及させるには、Web3やNFTという用語を明示しない方が効果的な可能性があるとの見解を示しました。

 

周藤氏は、金融商品取引法の改正によってセキュリティトークンの定義が明確になり、その結果、金融サービスにおけるトークンビジネスへの大手企業の参入が容易になったと述べました。この変化の背景には、関係省庁や金融機関のプレーヤーとの頻繁な対話があったことを指摘しました。さらに、セキュリティトークンは、これまで専門家だけが扱っていた商品の流動性を高め、投資機会を広げてきたことも紹介しました。

法的な課題については、暗号資産の取引に関与する仲介業者向けライセンスの必要性や、LPS法改正によるトークン投資の可能性への期待についても議論がなされました。

 

パート2では、株式会社スクウェア・エニックスのブロックチェーン・エンタテインメントディビジョン ディレクター、畑圭輔氏と一般社団法人コンピュータエンターテインメント協会のガイドライン委員会副委員長、村瀬俊介氏が登壇し、「Web3ゲームビジネスの発展とコンテンツ・ビジネスにおけるリスク管理」をテーマに扱いました。モデレーターはEY新日本のブロックチェーンセンター共同リーダーで、パートナーの田中が務めました。

畑氏は、NFTプラットフォームの設計におけるビジネスモデルとして、ユーザーに価値を感じてもらうための戦略について語りました。自社ブランドを生かし、サービスを通じてユーザーにストーリー体験を提供することの重要性、投機的な販売を避けること、景品表示法に準拠するなどの法的な観点を意識しながら成長を目指していることを述べました。

村瀬氏は、ブロックチェーンゲームのガイドライン改定の背景と経緯について説明しました。自民党デジタル社会推進本部のWeb3プロジェクトチームや関係省庁との確認を経て内容をまとめたこと、そしてブロックチェーンゲームに適用される可能性のある法令への対応という主要な課題について、事業者の負担を考慮しつつ論点を整理したことを紹介しました。

 

パート3では「トークンに関する会計処理の課題と検討状況」をテーマに、double jump.tokyo株式会社の取締役/CFO、𠮷田友斉氏が登壇しました。モデレーターはEY新日本パートナーの内藤が務めました。

𠮷田氏は、Web3を主戦場とする企業のCFOであり、同時に日本ブロックチェーン協会の会計関連分科会にも関与している立場から、ブロックチェーン関連ビジネスにおける会計の課題についての議論を行いました。暗号資産の会計処理では一定の整備が進んでいるものの、トークン保有に関する会計処理にはまだ整備されていない点があると指摘されました。Web3ビジネスを志向する企業が暗号資産やトークンを扱う際に消極的にならないよう、環境整備が必要であるという議論がなされました。

 

4つ目のパートでは、これまで登壇いただいたKDDIの舘林氏、BOOSTRYの周藤氏、スクウェア・エニックスの畑氏、double jump.tokyoの𠮷田氏に加え、株式会社コナミデジタルエンタテインメントのweb3事業部部長、金友健氏に、EY新日本パートナーの田中を含めた6名のパネリストと、Web3ビジネスの将来像をテーマとしたパネルディスカッションが行われました。

金友氏は冒頭で、トークンがリアルとデジタルの世界をつなぐ共通の「価値」や「通貨」としての機能を果たし、現在分断されている経済圏をシームレスに結びつけ、将来的には世界中の人々が容易に取引できるビジョンについて述べました。しかし、現状では事業者がユーザー情報を分散して管理していることや、異なるブロックチェーン間での共通利用が困難であるなど、トークンの自由な流通には多くの障壁があるという課題を指摘しました。

この発言を受けて、他のパネリストたちはWeb3ビジネスの成功例やリスク対策に関する観点から、さまざまな情報を共有し、議論を深めました。

 

本記事は概要のみとなっていますが、上記以外にも多くの論点が議論されました。ご関心のある方は本ウェビナーのアーカイブをご視聴いただけますので、ぜひご利用ください。

・申し込みサイトのリンク:Web3ビジネスの潮流 
 ※視聴期限:2025年11月30日


今後の市場の拡大や法整備の進展に伴い、各事業者、業界団体、専門家のWeb3ビジネスへの対応が本格化することが予想されます。EYは、クライアント企業の皆さまに有益な情報を提供し続ける予定です。今回のウェビナーが、Web3ビジネスへの理解を深め、ガバナンス設計の一助となることを願っています。


Web3ビジネスのトップランナーが示唆するWeb3の新潮流とは?

サマリー

金融業界、ゲーム業界、通信業界など幅広い業界のWeb3ビジネスのトップランナーが集い、Web3の現状と将来に向けた課題について議論しました。
金融機関等、法整備含め先行している領域はあるものの、法律・会計処理等で整備中の部分もあり、マスアダプションへの道半ばの状況であることが見えてきました。


この記事について

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