EYとは、アーンスト・アンド・ヤング・グローバル・リミテッドのグローバルネットワークであり、単体、もしくは複数のメンバーファームを指し、各メンバーファームは法的に独立した組織です。アーンスト・アンド・ヤング・グローバル・リミテッドは、英国の保証有限責任会社であり、顧客サービスは提供していません。
生成AIの活用領域は止まるところを知りません。行動をログ化し、そのログを反映したペルソナを読み込ませて人のデジタルツインを作成する実験を通じて、人の思考をより深く理解し、新たな結合を見いだすことで、今までにない価値を生み出せる可能性が見えてきました。
さらに発展的なケースも考えられます。「今紹介したプロトタイプでは、周りに展開されている情景を把握することに取り組みました。その情景の中には人も入っています。その『人』の思考を把握できないか、人のデジタルツインを作れないかという実験です」(山本)
これは、いわゆるマズローの五段階要求で最上位にある「自己実現」に貢献し、ひいてはEYが掲げる「Building a better working world」というパーパスを実現するため、人の思考を読み解き、それに沿って個別最適を図っていく狙いによるものです。
山本は家族の了解を得た上で、自身で撮影した娘の動画を独自に開発したマルチモーダルAIに分析させ「娘ログ」を生成。それをさらにAIにインプットしてペルソナをロードさせ、仮のデジタルツイン(娘モデル)を作成しました。その娘モデルにいろいろ質問してみると、どのようなことに関心を持ち、どんな感情を持っているかなど、実際の娘のペルソナに照らしても違和感のない答えが得られているそうです。
山本はこうした取り組みを踏まえ、「人を理解しないことにはビジネスは成り立ちません。人を知るにはいろいろな切り口がありますが、こうしたやり方で人のペルソナを理解できれば、人の考えのより深い部分にリーチできるのではないでしょうか」と述べました。
ただ、ペルソナを理解し、その言うことを聞くだけでは、ただの御用聞きに終わってしまいます。人の思考を知った上で、さらにさまざまなデータを通して「世の中の流れ」「企業の取り組み」といった事柄も学習させ、結びつけていくことにより、今までになかった「気づき」「Wow」が得られるはずです。ただしプライバシーの問題等、技術面以外にも慎重に検討するべき課題は多々あるところですので、EYとしてもしっかりと検討した上で取り組んでいくべきと考えております。
「人の部分を企業に置き換えれば、新事業の創出という文脈で考えることもできます。こういった価値ある新結合を見いだすところから、まさに新しい価値が生まれてくるのではないでしょうか」と山本は述べました。