日経225対象銘柄の企業のうち、9割以上がTCFD開示にコンプライしており、積極的な開示姿勢が見て取れます。また、気候関連リスクおよび機会について取締役(会)への報告体制を9割以上の企業が構築するなど、ガバナンス体制の整備が進められています。一方で、気候変動対応の目標に対するパフォーマンスが社内報酬制度とひも付いている企業は3割弱であるなど、ガバナンス体制の構築として取り組むべき課題も残されています。
「戦略」においては、気候変動問題への対応策・緩和策を4種類以上記載している開示が7割以上を占めるなど、定性的な開示は充実しています。一方で、財務影響を定量的に開示している企業は2割弱にとどまっています。また、「リスク」の定量化は項目数を含め充実していますが、「機会」の定量化を行っている企業は比較的少なく、「リスク」と「機会」の開示のバランスも今後の課題となります。
「指標と目標」において、削減目標を9割以上の会社が開示しているものの、総括的な開示にとどまらずアクションごとの目標設定をしている企業は3割弱にとどまっています。TCFD開示の積極的な姿勢を実際のアクションにつなげ、より具体的に「指標と目標」を開示することが今後求められます。
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日経225対象銘柄企業におけるTCFD開示の動向
中田 満
(EY新日本有限責任監査法人 CCaSS事業部 シニアマネージャー)
※所属・役職は記事公開当時のものです。
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