EYとは、アーンスト・アンド・ヤング・グローバル・リミテッドのグローバルネットワークであり、単体、もしくは複数のメンバーファームを指し、各メンバーファームは法的に独立した組織です。アーンスト・アンド・ヤング・グローバル・リミテッドは、英国の保証有限責任会社であり、顧客サービスは提供していません。
EYアドバイザリー・アンド・コンサルティング(株)
IAドメイン 服部 伸一郎
外資系のBPOベンダーやコンサルティング会社で、BPO/SSC設立やデリバリー、業務改革、要員再整理や人事制度設計など多数のプロジェクトに参画。当法人では、BPO/BPOの戦略立案、設計、立ち上げから、デリバリー以降の各種管理(契約管理、プロセス管理など)までを支援するSRA(Sourcing Risk Advisory)サービスのリードを務める。EYアドバイザリー・アンド・コンサルティング(株)パートナー。
品質向上や業務コストの削減の方策としてSSC(Shared Service Center)やBPO(Business Process Outsourcing)が存在します。近年、特に日本国内では、労働人口減少に伴う人材不足を補う手段として、これらを検討する企業が増えてきました。
業務の担い手が不足しがちなため、場合によっては現行よりコストが増えても、長期的な人材確保の観点からSSCやBPOの導入に踏み切る企業も存在します。
SSCもBPOも業務を集約し、そのスケールメリットを活かして管理コストの削減やオペレーターの業務効率の向上、集約化された業務を統一的な品質管理方法論によって行うことにより、品質の向上が見込まれるといった効果がありますが、SSCでは自社もしくは自グループでセンターを設立して業務運営を行うのに対し、BPOは全く外部の委託業者(アウトソーサー)に業務運営を委ねるという違いがあります。
今回はSSCとBPOの違いを整理し、どのような企業がどちらを選択するとふさわしいのかを考察します。
SSCとBPOの違いとして、初期準備、業務運営の二つの観点から特徴的な違いを<表1>のとおり整理します。
前述のとおり、SSCもBPOも業務集約という方法論の意味では同じですが、SSCのメリットがBPOではデメリットになります。
前述のⅡの整理から、どのような企業がSSC、BPOの導入に適しているかを考察します。最近は、SSC、BPOの双方のメリットを活かすため、SSC/BPOのハイブリッド型(SSCで集約した業務の一部をBPOにする)も存在しますが、今回は議論を整理するため、SSC、BPOのどちらかの選択という形で考えます。
<SSCに適している企業>
<BPOに適している企業>
SSCもBPOも導入することが目的ではなく、当該手段で永続的に発生する業務オペレーションの品質や効率を常にモニタリングすることが重要です。センターやアウトソーサーに全てを委ねてしまうのではなく、本社部門など責任のある部署が常にコストや品質、リソースやリスク管理などを管理していくことが重要なのは言うまでもありません。