2024年インドネシアの会計・監査・税務ガイド

本ガイドブックには、インドネシアの会計・監査・税務に関する最新の基礎的概要を掲載しています。すでにインドネシアへ投資されている企業、および今後投資を検討している企業の皆さまの基本的な理解にお役立ていただけますことを願っております。

2024年インドネシアの会計・監査・税務ガイド

はじめに

インドネシア会計基準(Pernyataan Standar Akuntansi Keuangan:PSAK)はインドネシア勅許会計士協会(Ikatan Akuntan Indonesia:IAI)の機関の一つであるインドネシア会計基準審議会(Dewan Standar Adunansi Keuangan:DSAK)が制定しています。他の多くのアジア諸国と同様に自国の会計基準の国際財務報告基準(IFRS)へのコンバージェンスを実施しており、2023年12月現在ではおおむねIFRSと同等の基準となっていますが、新しく適用されるIFRSについては1年程度の遅れをもって適用されるため留意が必要です。

インドネシアの会計監査証明は日本と同様にインドネシア公認会計士協会に登録された公認会計士のみに認められています。インドネシア公認会計士協会は日本と同様に国際会計士連盟のメンバーであり、インドネシアの監査基準は国際監査基準に準拠したものになっています。

インドネシアの税法は国税通則法、所得税法(個人・法人含む)、付加価値税法、奢侈品販売税法、土地建物税法、印紙税法によって定められています。インドネシア税法の特徴として複雑な源泉税の処理と税務帳票方式を採用する付加価値税法による煩雑な税務実務が挙げられます。また法人税の前払いを強制する構成となっている一方で、還付ポジションとなった場合には税務調査が義務付けられており、税務調査対応が必要になります。

 

インドネシアの会計・監査制度(概略)

項目

インドネシア

非上場企業(日本企業の子会社)のIFRS適用の可否*

IFRSと現地会計基準の主な差異


土地に関する権利の取り扱い

決算期の変更

決算期末の選定(暦年以外の採用可否)

会社法で作成が求められる財務諸表

  • 財政状態計算書
  • 包括利益計算書
  • キャッシュ・フロー計算書
  • 株主持分変動計算書
  • 財務諸表への注記(会計方針の記述含む)

提出する財務諸表

  • 税務当局
    税務申告時に監査済財務諸表一式を添付して提出
  • 金融サービス庁
    上場企業の場合は監査済財務諸表の提出が求められる

保存期間

原則10年間

機能通貨適用の可否

必須

法定監査

必要

* 非上場企業のIFRS適用可否については、以下の基準で記載しています。
否:税務申告時または規制当局に提出(添付)する、財務諸表は自国の会計基準で提出しなければならない場合。
可:税務申告時または現地当局に提出(添付)する、財務諸表は自国の会計基準以外にIFRS基準であっても良い場合。

 

インドネシアの会計・監査制度

非上場企業のIFRS適用の可否

インドネシアの会計基準は1973年に初めてインドネシア会計原則1973として規定されました。その後、経済のグローバル化にともない、国際財務報告基準(IFRS)をベースとする現在のインドネシア会計基準(Pernyataan Standar Akuntansi Keuangan:PSAK)に改訂されました。また、会計基準の適用のための解釈指針(Interpretasi Standar Akuntansi Keuangan:ISAK)が公表されています。以降も順次、見直しが行われ2022年1月から開始される会計年度からは、2021年1月1日時点において有効なIFRSと実質的にコンバージェンスしています。インドネシアで事業を行う企業は、PSAKに準拠して年度の財務諸表を作成する必要があります。

なお、2022年12月12日にDSAKより、インドネシア財務報告基準フレームワーク(Kerangka Standar Pelaporan Keuangan Indonesia:KSPKI)が発行されました。当該フレームワークでは一般目的財務諸表作成に関する財務会計基準(Standar Akuntansi Keuangan:SAK)は次の4つの柱で支えられており、2024年1月1日より適用されます。

  • 第1の柱 国際会計基準(SAK Internasional)
    当該フレームワークにて新たに設定された会計基準で国際会計基準審議会(IASB)の発行するIFRSを翻訳したものです。適用時期も含めてIFRSと差異はありません。資本市場の規制でSAK Internasionalの適用を認められる公的説明責任のある企業のみ適用可能です。
  • 第2の柱 インドネシア会計基準(SAK Indonesia)
    従来SAKとして認識されていた会計基準でPSAKおよびISAKで構成されます。SAK Internasionalの適用を認められない公的説明責任のある企業、および公的説明責任のない企業で適用可能です。
  • 第3の柱 公的説明責任のない企業向けインドネシア会計基準(SAK untuk Entitas Tanpa Akuntabilitas Publik:SAK ETAP)
    KSPKI上で公的説明責任のない企業で適用可能です。2025年1月1日より非公開企業向けインドネシア会計基準 (SAK untuk Entitas Privat:SAK EP)へ置き換えられることが予定されており、SAK EPはIASBが発行する中小企業向けIFRS(IFRS for SMEs)とコンバージェンスしています。
  • 第4の柱 中小・零細企業向けインドネシア会計基準(SAK untuk Entitas Mikro, Kecil dan Menengah:SAK EMKM)
    公的説明責任のない企業かつ、現行のインドネシアの法令で中小・零細企業の定義を最低2年連続で満たした場合に適用可能です。資産および負債を取得価額を基礎として測定するシンプルな会計基準です。

また、財務会計基準の新体系の番号(SAK Nomenclature)が、SAK InternasionalとSAK Indonesiaに適用されます。PSAKとISAKのうち、IFRS由来のものは最初に「1」を追加、IAS由来のものは最初に「2」を追加、IFRS由来ではなくインドネシア固有のものは最初に「3」を追加し、その中でもイスラム金融会計に関連するものは最初に「4」を追加します。

当該フレームワーク適用後、上記4つの柱の中から適切な会計基準を選択して適用することになりますが、非上場企業の場合は、SAK ETAPやSAK ETAPの適用要件を満たしてそれを選択しない限りは、SAK Indonesia(PSAKおよびISAK)に準拠して年度の財務諸表を作成することになります。
 

IFRSと現地会計基準の主な差異

(1) 主な会計基準の差異

PSAKは、ほとんどの分野で現行のIFRSとコンバージェンスしています。ただし、IFRSの新しい会計基準は1年程度遅れて適用され、適用時期に差異が生じる場合があります。それ以外の主な差異は土地に関する権利の取り扱いです。インドネシアでは土地所有権を取得できるのはインドネシア国民であり、内資、外資を問わず法人は土地所有権を取得することが認められず、事業権(HGU)、建設権(HGB)、使用権(HP)を取得することになります。土地基準法でそれぞれの権利の使用期間が定められていますが、延長が可能であることからインドネシアの会計処理は、土地として取得価額で計上し、償却は行いません(PSAK第16号、PSAK第19号、ISAK第36号)。一方、IFRSの会計処理では、契約書に使用期間が記載されていることから、使用権資産に計上し、権利の使用期間にわたり償却する必要があります(IFRS第16号)。

(2) PSAKが採用していないIFRS

PSAKに採用されていない会計基準は、IFRS第1号「国際会計基準の初度適用」とIFRS第14号「規制繰延勘定」です。それぞれIFRS第1号についてはIFRSの全面適用ではないため、IFRS第14号についてはインドネシアの実情に関連しないためPSAKには採用されていません。

(3) インドネシア会計基準とIFRSの対応およびPSAK独自の会計基準

インドネシア会計基準とIFRSの対応は以下の通りです。「関連するIFRS」の欄に参照基準の記載がないものは、IFRSの会計基準にはないインドネシア特有の会計課題に関連するPSAK独自の会計基準です。

現行

新体系
2024年1月1日以降

概要

関連するIFRS

PSAK第1号

PSAK第201号

財務諸表の表示

IAS第1号

PSAK第2号

PSAK第207号

キャッシュ・フロー計算書

IAS第7号

PSAK第3号

PSAK第234号

期中財務報告

IAS第34号

PSAK第4号

PSAK第227号

個別財務諸表

IAS第27号

PSAK第5号

PSAK第108号

事業セグメント

IFRS第8号

PSAK第7号

PSAK第224号

関連当事者についての開示

IAS第24号

PSAK第8号

PSAK第210号

後発事象

IAS第10号

PSAK第10号

PSAK第221号

外国為替レート変動の影響

IAS第21号

PSAK第13号

PSAK第240号

投資不動産

IAS第40号

PSAK第14号

PSAK第202号

棚卸資産

IAS第2号

PSAK第15号

PSAK第228号

関連会社に対する投資

IAS第28号

PSAK第16号

PSAK第216号

固定資産

IAS第16号

PSAK第18号

PSAK第226号

退職給付制度の会計および報告

IAS第26号

PSAK第19号

PSAK第238号

無形資産

IAS第38号

PSAK第22号

PSAK第103号

企業結合

IFRS第3号

PSAK第24号

PSAK第219号

従業員給付

IAS第19号

PSAK第25号

PSAK第208号

会社方針、会計上の見積りの変更および誤謬

IAS第8号

PSAK第26号

PSAK第223号

借入費用

IAS第23号

PSAK第28号*

PSAK第328号

損害保険業会計

PSAK第36号*

PSAK第336号

生命保険業会計

PSAK第38号

PSAK第338号

共通支配下の企業結合会計

PSAK第46号

PSAK第212号

法人所得税

IAS第12号

PSAK第48号

PSAK第236号

資産の減損

IAS第36号

PSAK第50号

PSAK第232号

金融商品―表示

IAS第32号

PSAK第53号

PSAK第102号

株式報酬

IFRS第2号

PSAK第55号

PSAK第239号

金融商品―認識および測定

IAS第39号

PSAK第56号

PSAK第233号

1株当たり利益

IAS第33号

PSAK第57号

PSAK第237号

引当金、偶発負債および偶発資産

IAS第37号

PSAK第58号

PSAK第105号

売却目的で保有する非流動資産および非継続事業

IFRS第5号

PSAK第60号

PSAK第107号

金融商品―開示

IFRS第7号

PSAK第61号

PSAK第220号

政府補助金の会計処理および政府援助の開示

IAS第20号

PSAK第62号*

PSAK第104号

保険契約

IFRS第4号

PSAK第63号

PSAK第229号

超インフレ経済下における財務報告

IAS第29号

PSAK第64号

PSAK第106号

鉱物資源の探査および評価

IFRS第6号

PSAK第65号

PSAK第110号

連結財務諸表

IFRS第10号

PSAK第66号

PSAK第111号

共同支配の取り決め

IFRS第11号

PSAK第67号

PSAK第112号

他の事業体への関与の開示

IFRS第12号

PSAK第68号

PSAK第113号

公正価値測定

IFRS第13号

PSAK第69号

PSAK第241号

農業

IAS第41号

PSAK第70号

PSAK第370号

タックスアムネスティ

PSAK第71号

PSAK第109号

金融商品

IFRS第9号

PSAK第72号

PSAK第115号

顧客との契約に基づく収益認識

IFRS第15号

PSAK第73号

PSAK第116号

リース

IFRS第16号

PSAK第74号*

PSAK第117号

保険契約

IFRS第17号

PSAK Syariah

PSAK第401号以降

イスラム金融会計


* 2025年1月1日以降開始する事業年度から、PSAK 第74号が従前の3つの会計基準(PSAK 第28号、PSAK 第36号、PSAK 第62号)に取って代わって適用となります。
 

(4) PSAKが調整して取り入れたIFRS

例えば以下のPSAKはインドネシアの実情に応じて、IFRSを調整して取り入れています。

(連結財務諸表と個別財務諸表に関するインドネシア特有の事情)

  • PSAK第65号はIFRS第10号にある連結財務諸表作成免除の要件を採用しませんでした。これは金融サービス庁(OJK)は全ての親会社に連結財務諸表作成を要請しているためです。
  • PSAK第4号は親会社が一般報告目的で個別財務諸表を開示することは認めておらず、連結財務諸表の補足情報として開示することを定めています。
  • PSAK第15号はIAS第28号にある親会社が連結財務諸表の作成免除に該当する場合の持分法適用の免除を採用していません。

(その他)

  • PSAK第1号はIAS第1号にあるまれな例としての会計基準からの逸脱について認めていません。
  • PSAK第8号はIAS第10号にあるような企業の所有者その他の者が財務諸表を公表後に修正する権限を有している場合の開示について定めていません。
  • PSAK第3号はIAS第34号にあるように公開企業において期中財務諸表の作成を奨励するようなことはしていません。これは期中財務諸表は関連する法令等に基づいて作成されるためです。
     

決算期の変更

決算日の変更は、税務当局の許可を受ければ可能です。12月末決算を翌年3月末決算に変更する場合は12月末決算終了後、新しい会計期間の開始後(1月以降)に税務当局に変更の申請を行い、許可が下り次第(通常2カ月程度)定款を変更して決算期を変更します。税務上は特別な場合を除き12カ月超の申告期間が認められないため、移行期(1~3月)の会計期間を経て4月から新しい会計期間が開始されます。この場合の移行期(1~3月)の対応は以下の通りです。

  • 決算期間は3カ月間
  • 決算書類(3カ月間)を作成、外部監査人による会計監査
  • 税務申告の期限は通常と同じ決算日から4カ月以内
  • 税務当局に提出する書類は申告書類一式、外部会計監査を受ける企業は監査済財務諸表の提出が必要
  • 取締役会は財務諸表を含めた年次報告書を作成して、コミサリス会の監査を経たうえで株主総会の承認を受ける必要がある(決算日後6カ月以内)
  • 3カ月間は1期の会計期間とみなされ、繰越欠損金の使用期間の1期とカウントされる
     

決算期末の選定(暦年以外の採用可否)

会計年度としては1月1日から12月31日までの暦年が一般的ですが、1月1日から開始されない会計年度を選択することもできます。税務申告も会社の会計期間に基づいて行われます。インドネシアは決算日に関する規定はなく、会社は任意の決算日を定めることができます。
 

会社法で作成が求められる財務諸表

以下が必要です。

  • 財政状態計算書(貸借対照表)
  • 包括利益計算書(損益計算書)
  • キャッシュ・フロー計算書
  • 株主持分変動計算書
  • 財務諸表への注記(会計方針の記述含む)

ただし、親会社の場合は連結財務諸表となり、親会社の個別財務諸表は連結財務諸表の補足情報となります。
 

提出する財務諸表

会社法で作成が定められた財務諸表一式が対象になります。主な提出先は以下の通りです。

  • 税務当局
    税務申告時に監査済財務諸表を添付して提出
  • 金融サービス庁(Otoritas Jasa Keuangan:OJK)
    上場企業の場合は金融サービス庁への提出も必要保存期間

インドネシアの帳簿の保存期間は、原則として10年間です。税務上の訴求期間は5年間ですが、法人所得税の申告は会計上の利益を基礎として計算されるため、税務調査に備えるためにも適切に帳簿を保存しておく必要があります。
 

機能通貨適用の可否

通常はインドネシア・ルピア(IDR)が使用されますが、決済通貨としてルピア以外の通貨も使用されており、外国通貨が機能通貨となる場合もあります。その場合、企業が営業活動を行う主たる経済環境の通貨を機能通貨として記帳する必要があります。ただし、税務ではルピア建てと米ドル建てしか認められません。また、税務上で米ドル建てを採用する場合は財務大臣の承認が必要です。機能通貨を円とする場合、会計上は円、税務上ではルピアとなり会計用と税務用の帳簿を作成する必要があります。

インドネシア中央銀行は2015年3月に法律No.17/3/PBI/2015を発行し同年7月1日以降にインドネシア国内で行われる現金取引および銀行間取引についてルピア決済を義務化しました。適用除外はありますが、国内取引はルピアで行う必要があります。
 

法定監査

年次財務諸表はコミサリス会の監査を受ける必要があります。また以下に該当する企業は、公認会計士による外部監査をあわせて受けなければなりません。

  • 公開企業
  • 銀行、保険会社、不特定多数から資金を集め運用する企業
  • 社債を発行する企業
  • 総資産または売上が500億ルピア超の企業
  • 国有企業
  • その他法令で規定されている企業

外部監査は、企業から独立した立場の公認会計士による財務諸表監査であり、公認会計士は企業が作成した財務諸表の適正性について、監査報告書を発行し意見を表明します。外部監査を義務付けられる企業は、コミサリス会の監査を経たうえで、決算日後6カ月以内に公認会計士による監査報告書を年次報告書に添付し、株主総会で承認を受ける必要があります。

そして、監査を受けている会社は原則として決算日後4カ月以内に税務申告書に監査済財務諸表一式を添付して提出する必要があります。なお、この期日は2カ月延長をすることも可能です。

また、上場企業は、中間財務諸表を作成し、監査を受けない場合は決算日後1カ月以内、公認会計士によるレビュー報告書を添付する場合は決算日後2カ月以内、公認会計士による監査報告書を添付する場合は決算日後3カ月以内にOJKに提出する必要があります。そして、上場企業は、年次財務諸表を作成し、監査報告書を添付して決算日後3カ月以内にOJKに提出し、さらに決算日後4カ月以内に前述の株主総会で承認を受ける必要があります。
 

会計、監査上の留意点

インドネシア会計基準はIFRSにほぼ準拠しているため、会計処理の理解は日本人にとっても比較的容易といえます。ただし、インドネシア全体で会計人材が不足しており、基準に求められる処理を会社のローカル会計担当者が理解できていない場合もあります。日本で一般的な処理も理解を得ることが難しい場合もあります。

インドネシア監査基準も国際監査基準に基づいて設定されているため、実施される手続きは日本での監査と同様です。特徴的な手続としては株主持分に対する残高確認書の送付などがあります。また税当局による差異の追及のリスク回避のため、財務諸表に計上される期末法人税の金額は税務申告において申告される金額と完全に一致させる点が日本の実務と異なります。

 

インドネシアの法人税(概要)

法人税率(%)

 

22 (a)

キャピタルゲイン税率(%)

 - (b)

源泉徴収税率(%)

配当金10/15/20 (c)

 
利息10/15/20 (c)

 
特許、ノウハウ等からのロイヤルティー15/20 (c)

 
賃借料土地および建物10 (d)

 
その他、資産の使用に対する賃借料2 (e)

 
サービス料居住者への支払い技術、管理およびコンサルタントサービス2 (e)

 
建設業務サービス1.75/2.65/4 (f)

 
建設コンサルティングサービス3.5/6 (f)

 
その他のサービス2 (e)

 
非居住者への支払い10/20 (g)

 
支店利益税20 (h)

欠損金(年)

繰戻0

 
繰越5-10 (i)

(a) この税率は、外国企業のインドネシアにおける恒久的施設にも適用されます(フルバージョンの「B.法人の所得に対する税金」を参照)。

(b) キャピタルゲイン課税に関する詳細については、フルバージョンの「B.法人の所得に対する税金」を参照。

(c) 一般に、非居住者への支払いに対して、20%のファイナルタックス(源泉分離課税)が課されます。この税率は、租税条約に基づき軽減することができます。居住者企業に支払われる配当金は、非課税扱いとなります。居住者である個人に(株主総会を通じて)支払われた配当金は、その配当金が一定期間インドネシア国内で投資される場合、非課税扱いとなります。非課税扱いにならない場合、税務上の居住者である個人に支払われた配当金には、10%のファイナルタックスが適用されます。金融機関以外が居住者に支払う利息に対して、15%のファイナルタックスが課されます。銀行が居住者に支払う銀行預金利息に対して、20%のファイナルタックスが課されます。居住者と非居住者に支払われる債券の利息には、10%のファイナルタックスが課されます。

(d) これは、土地または建物に関する地代家賃の総額に対して課されるファイナルタックスです。

(e) この税金は、所得税の前払いとみなされます。これは、居住者に支払われる総額に対して課されます。この源泉徴収税の課税対象であり、かつ納税者番号(Tax Identification Number)を有しない納税者に対しては、通常の源泉徴収税率の100%が上乗せして課されます。

(f) この税金は、ファイナルタックスにあたります(企業が黒字か赤字かに関係なく、特定の税率を用いて、請負価額などの特定の課税標準に課されます)。適用される税率は、提供されるサービスの種類、および建設会社の「資格(qualification)」によって異なります。「資格」は、建設会社の能力(すなわち、会社が業務能力証明書(work competency certificate)を有しているかどうか)に応じて、関係当局から交付されます。

(g) これは、非居住者に支払われる総額に対して課されるファイナルタックスです。特定の種類の所得に対する源泉徴収税率は、二重課税防止条約に基づき軽減することができます。ただし、特定の国内要件の充足が条件となります。
(h) これは、恒久的施設の税引後純利益に対して課されるファイナルタックスです。税率は、二重課税防止条約に基づき軽減することができます。この税金は、所得が実際に送金されるかどうかに関わらず課されます。利益をインドネシアで再投資する場合、非課税扱いとなります。

(i) 一定の事業に従事している納税者に生じた欠損金、または一定の地域から生じた欠損金は、最大10年間繰り越すことができます(フルバージョンの「B.法人の所得に対する税金」を参照)。

 

インドネシアの付加価値税(VAT)(概要)

税金の名称

 

付加価値税(VAT)

現地語の名称

 Pajak Pertambahan Nilai(PPN)

導入日

 1983年12月31日(適用開始日は1984年7月1日)

加盟貿易圏

 東南アジア諸国連合(ASEAN)

所管

 国税総局(Directorate General of Taxation)(www.pajak.go.id)

VAT税率

標準11% (2022年4月1日から、従前の10%から引き上げ)

 
その他ゼロレート(0%)もしくは非課税

VAT番号の形式

 11.111.111.1-111.111

VAT申告書の期間

 月次

基準値

登録小規模事業者課税売上年間48億インドネシア・ルピア以下 

 
その他なし

固定的施設を有しない事業者 によるVATの回収

 なし


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2024年(2023年7月~2024年6月)各国/地域情報アップデート

本資料はEY内で定期的に開催されている研修で使用された資料を外部の皆様に届けられるように改変しており、該当国に馴染みの無い方でも読み易くなるように工夫しております。



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