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2023年6月15日、ブラジル連邦官報において、経済協力開発機構(OECD)が定めるガイドラインに沿ったブラジルの移転価格税制の枠組みを規定する新しい法律が公布されました。
この2023年6月14日法律第14,596号(法律14,596/23号)の新移転価格税制は、ブラジルをグローバルなバリューチェーンに統合すること、および二重課税と二重非課税の両方のシナリオを排除することを目指すものです。さらにこの新移転価格税制によって、ブラジルが関与するクロスボーダー取引において支払われた/源泉徴収された(法人)所得税から生じる米国での税額控除(すなわち、外国税額控除)の認識に関して、主要な障害の1つが取り除かれることになると思われます。
ブラジルの新たな移転価格税制の枠組みを導入する取組みの一環として、2022年12月28日、暫定措置第1,152/22号(PM1,152/22号)が公表されました。PM1,152/22号は連邦議会下院および上院の双方で承認された上で、2023年5月25日に最終承認のためブラジル大統領に送付されました。
2023年6月14日、ブラジル大統領の署名により、PM1,152/22号は法律14,596/23号として成立しました。ブラジル連邦議会で承認された条文に対し、重要な修正は加えられていません。
ブラジルの納税者は、OECDのガイドラインに沿ったこの新たな移転価格税制を今年から適用する選択を認められます。かかる選択を行う場合、納税者は2023年9月1日から9月30日までの間にブラジル連邦歳入庁(RFB)に通知しなければなりません1。2024年1月1日より、新移転価格税制はすべての納税者に強制適用されます。
ブラジル連邦歳入庁(RFB)は、新移転価格税制について議論を交わすためのパブリックコンサルテーションを今後数週間以内に実施する見込みです。RFBはこのパブリックコンサルテーションに基づいて、従うべき指針を提供し要件を定義する一連の標準措置(Normative Instruction)を公表すると思われます。このパブリックコンサルテーションは、ブラジルの納税者にとって、新たな移転価格環境を作り出すプロセスに実質的に参加する機会であるといえます。
法律14,596/23号の公布はブラジルにとって大きな節目であり、同国の国際的な活動が新たな章に入ったことを意味します。この移転価格税制の枠組みが新規の海外直接投資を呼び込み、ブラジルのグローバルなバリューチェーンへの統合を促すことが期待されます。この変化は税制の問題を超え、ブラジルに進出している多国籍企業の経営モデルに影響を及ぼすものです。
多国籍グループにとって、この変化への十分な備えは不可欠です。特に、自社のブラジル国内外の事業に対する潜在的な影響(例えば、早期適用、(法人)所得税や関税評価への影響、米国における外国税額控除等)のマッピングを行うことが重要です。
法律14,596/23号が持つ重要な側面には以下が含まれます。
巻末の注意事項
1. RFBが提供するデジタルポータル「Portal do Centro Virtual de Atendimento (Portal e-CAC)」を通じて通知を行う
2. 独立価格比較準法(PIC — 独立価格の比較)
3. 再販売価格基準法(PRL — Preco de revenda menos lucro)
4. 原価基準法(MCL — Custo mais lucro)
5. 取引単位営業利益法(MLT — Margem líquida da transação)
6.利益分割法(MDL —利益分配)
アーンスト・アンド・ヤング税理士法人、ラテンアメリカ税務課、日本およびアジア太平洋地域
ラウル・モレノ パートナー&デスクリーダー
ルイス・コロナド パートナー
ヘクター・ロサノ マネージャー
パトリシオ・ベラスコ マネージャー
アーンスト・アンド・ヤングLLP(米国)、ラテンアメリカビジネスセンター
森本 孝シニアマネージャー
APAC税務デスクリーダー-米国税務デスクリーダー
ジェレミー・リットン パートナー
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