わかりやすい解説シリーズ「連結」 第4回:未実現利益の消去

公認会計士 蟹澤啓輔

1. 未実現利益とは

未実現利益とは、連結グループ会社間の内部取引から生じた利益のうち、期末までに実現していないものをいいます。

連結グループ会社間取引利益がすべて実現しているケース

連結グループ会社間取引利益がすべて実現しているケース

連結グループ会社間取引利益が実現していないケース

連結グループ会社間取引利益が実現していないケース

連結グループ会社間で例えば商品の売買取引を行った際に、商品を販売した連結会社が計上した利益は、連結グループにおける内部利益となります。内部利益は、内部取引の対象商品が連結外部に販売されることによって実現します。しかし、期末時点で内部取引の対象商品が棚卸資産として連結グループ内で保有されている場合には、当該内部利益は期末に商品を保有している連結会社の棚卸資産残高に含まれており、期末時点で、まだ実現していません。このように、連結グループ会社間の内部取引から生じた利益のうち、期末までに実現していないものを未実現利益といいます。

2. 棚卸資産の未実現利益の会計処理

未実現利益が計上される典型的な取引は、連結グループ会社間で行われる製商品など棚卸資産の売買取引です。棚卸資産のグループ内部取引で内部利益が計上され、売買取引に係る商品が期末に在庫として保有されている場合には、連結上当該商品に含まれる未実現利益を消去する必要があります。

未実現利益が発生しているケース

未実現利益が発生しているケース

3. 固定資産の未実現利益

連結グループ会社間の固定資産の売買取引によって生じた未実現利益についても、棚卸資産の場合と同様に、連結財務諸表の作成上、当該固定資産に係る未実現利益を消去する必要があります。

図3 未達取引の調整

図表は機械を親会社が外部より購入し子会社に譲渡した場合を想定しています。当該親会社から子会社への機械の譲渡取引は、連結グループでは内部取引となります。

4. 減価償却

連結上消去した固定資産の未実現利益に関して、子会社の個別財務諸表において計上した減価償却を修正し、連結上の減価償却費計上額を適正額とする必要があります。

減価償却

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