わかりやすい解説シリーズ「キャッシュ・フロー計算書」 第3回:営業キャッシュ・フローの表示方法

公認会計士 蟹澤啓輔
公認会計士 牧野幸享

1. 営業キャッシュ・フローの表示方法

【ポイント】
営業キャッシュ・フローには、直接法と間接法という二通りの表示方法があります。ただし、実務的には間接法が採用されることがほとんどです。

営業キャッシュ・フローの記載方法には直接法と間接法の二通りがあります。

図3-1

図3-1

企業はどちらかの記載方法を選択してキャッシュ・フロー計算書を作成することになりますが、実務的には、直接法が手数を要することから、間接法が採用されることが多いです。


2. 直接法による営業キャッシュ・フロー

【ポイント】
直接法による営業キャッシュ・フローは、商品の販売や仕入、給料の支払い、経費の支払いなどの主要な取引ごとにキャッシュ・フローを総額表示する方法です。

直接法による表示方法では、商品の販売や仕入、給料の支払い、経費の支払いなどの主要な取引ごとにキャッシュ・フローを総額表示します。

設例1

設例1

直接法による営業キャッシュ・フローにおける総額表示とは、例えば商品の販売による収入と仕入による支出を相殺せず、それぞれ総額で表示することを意味します。
このため、直接法による表示を行う場合、商品の販売や仕入などの主な取引ごとにキャッシュ・フローの総額を計算する必要があります。


3. 間接法による営業キャッシュ・フロー

【ポイント】
間接法による表示方法は、損益計算書の税金等調整前当期純利益に非資金損益項目や、投資活動や財務活動の区分に含まれる損益項目を加減して表示する方法です。

間接法による表示方法では、税金等調整前当期純利益に減価償却費などの非資金損益項目、有価証券売却損などの投資活動や財務活動の区分に含まれる損益項目等を加減して表示します。

設例2

設例2

間接法による営業キャッシュ・フローは、損益計算書の税金等調整前当期純利益からスタートします(設例2 ※1)。税金等調整前当期純利益は、売上高や売上原価、販売費及び一般管理費、営業外損益、特別損益とさまざまな科目から構成されています。収益及び費用は基本的にはキャッシュを伴うものが多いですが、一部キャッシュを伴わないものや、翌期などにキャッシュが動くものもあります。このため間接法によるキャッシュ・フロー計算書では、以下の項目について調整を行うことになります。


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