わかりやすい解説シリーズ「キャッシュ・フロー計算書」 第1回:キャッシュ・フロー計算書とは

公認会計士 蟹澤啓輔
公認会計士 牧野幸享

1. キャッシュ・フロー計算書とは

【ポイント】
キャッシュ・フロー計算書とは、一会計期間の企業のキャッシュ・インとキャッシュ・アウトを捉え、企業のキャッシュの流れを計算して表示する財務諸表です。

キャッシュ・フロー計算書とは、その名称のとおりキャッシュ(=お金)のフロー(流れ)を計算するための財務諸表です。

図1-1

図1-1

企業は事業活動に伴いさまざまな取引を行っていますが、企業の取引には当然キャッシュが関連しています。取引には企業にキャッシュを流入(キャッシュ・イン)させる取引とキャッシュを企業から流出(キャッシュ・アウト)させる取引があります。キャッシュ・フロー計算書は一会計期間の企業のキャッシュ・インとキャッシュ・アウトを捉え、キャッシュの期首残高に加減算してキャッシュの期末残高を計算する形式で、企業のキャッシュの流れを計算して表示する財務諸表です。


2. キャッシュ・フロー計算書と貸借対照表・損益計算書

【ポイント】
キャッシュ・フロー計算書と貸借対照表や損益計算書は相互に密接に関係しています。

キャッシュ・フロー計算書は貸借対照表や損益計算書と同じく財務諸表の一つに位置付けられており、これらの財務諸表は相互に密接な関係を持っています。

設例

財務諸表関連図

設例 財務諸表関連図

貸借対照表は期首時点(=前期末時点)や期末時点といった「一時点」の資産、負債、純資産という財政状態の状況を示す財務諸表であるのに対し、キャッシュ・フロー計算書及び損益計算書は1年や四半期会計期間等の「一期間」のキャッシュ・フローや損益の状況を示す財務諸表になります。それぞれの財務諸表の間には以下のような関係があります。


3. キャッシュの範囲

【ポイント】
キャッシュ・フロー計算書におけるキャッシュの定義を確認します。

キャッシュ・フロー計算書におけるキャッシュとは「現金及び現金同等物」のことを意味します。

図1-2

図1-2 キャッシュ=現金及び現金同等物

現金とは、文字通り紙幣や硬貨のことです。また、現金同等物は、①普通預金、当座預金などの企業がいつでも出し入れが可能な預金(要求払い預金と呼ばれます)、②預入期間が3カ月以内の定期預金(預入期間が3カ月超の定期預金は投資として捉えます)、③リスクが僅少な投資等その他の現金同等物から構成されます。


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