EYとは、アーンスト・アンド・ヤング・グローバル・リミテッドのグローバルネットワークであり、単体、もしくは複数のメンバーファームを指し、各メンバーファームは法的に独立した組織です。アーンスト・アンド・ヤング・グローバル・リミテッドは、英国の保証有限責任会社であり、顧客サービスは提供していません。
EY新日本有限責任監査法人
公認会計士 前田 和哉
金融庁が「令和5年金融商品取引法等改正に係る政令・内閣府令案」(以下「本改正案」という。)を公表しました。本改正案は、2023年11月20日に成立した「金融商品取引法等の一部を改正する法律」(以下「改正金商法」という。)のうち、四半期報告書制度の廃止に関する規定の施行に伴い、内閣府令及び規則等の規定の整備を行うものです。
開示府令案第18条第1項において、半期報告書の様式は以下のように規定することが提案されています。
新半期報告書の作成において使用する改正案の開示府令における第四号の三様式は、従来の四半期報告書の第四号の三様式で規定されていた内容を引き継ぐことを提案しています。
なお、開示府令第四号の三様式中「議決権の状況」欄を記載する場合において、中間会計期間の末日現在の状況を記載することができないときは、中間会計期間の末日の直前の基準日に基づく株主名簿による議決権数を記載することができることを提案しています(開示府令ガイドライン24の5-7-2)。
有価証券届出書を提出する企業で、金融商品取引所の定める規則により四半期に係る財務情報を作成している場合、開示府令第二号様式記載上の注意(61)の規定による連結貸借対照表、同様式記載上の注意(62)の規定による連結損益計算書及び連結包括利益計算書又は連結損益及び包括利益計算書並びに同様式記載上の注意(64)の規定による連結キャッシュ・フロー計算書並びに中間連結会計期間に係るこれらの書類のほか、直近の四半期連結累計期間に係るこれらの書類を併せて掲げることができることを提案しています。この場合には、当該四半期に係る財務情報に対するレビューの有無を記載し、当該四半期に係る財務情報に対するレビューが行われている場合にはそのレビュー報告書を併せて掲げることに留意が必要とされています(開示ガイドライン5-21-2)。
また、有価証券届出書を提出しようとしている企業で、金融商品取引所の定める規則により四半期に係る財務情報を作成している場合、開示府令第二号様式記載上の注意(66)bの規定による記載にあたっては、直近の四半期連結累計期間に係る経営成績の概要を併記することができることも提案しています(開示ガイドライン5-21-3)。
その他、財務諸表等規則等の一部改正等を踏まえ、開示府令の各様式の文言についての修正等を提案しています。
「中間財務諸表等規則」、「四半期財務諸表等規則」、「中間連結財務諸表規則」、「四半期連結財務諸表規則」を廃止することを提案しています。
これらの規則の廃止と新半期報告書の含まれる中間財務諸表等の規則を作成するにあたり、財務諸表等規則及び連結財務諸表規則の改正案では、従前の四半期財務諸表及び四半期連結財務諸表を第1種中間財務諸表及び第1種中間連結財務諸表として、従前の中間財務諸表及び中間連結財務諸表を第2種中間財務諸表及び第2種連結中間財務諸表として、中間財務諸表及び中間連結財務諸表の作成方法等を含めて規定することを提案しています。
第1種中間財務諸表等は、上場会社等において、新半期報告書に含まれる中間財務諸表等であり(財務諸表等規則案第1条第2項及び連結財務諸表規則案第1条第2項)、第2種中間財務諸表等は、銀行等の特定事業会社又は非上場会社が提出する半期報告書に含まれる中間財務諸表等とすることを提案しています(財務諸表等規則案第1条第3項及び連結財務諸表規則案第1条第3項)。
財務諸表等規則等の改正案は、金融審議会ディスクロージャーワーキング・グループ報告のとおり、上場企業の半期報告書については、現行と同様、第2四半期報告書と同程度の記載内容とすることを提案しています。
ただし、第1種中間財務諸表及び第1種中間連結財務諸表に適用される会計基準については、現在、企業会計基準委員会において議論が行われているところであり、その基準案の内容を踏まえた修正を行う可能性があるとされています。
その他、金融商品取引法施行令の改正案第4条の2の10第3項及び第4項において、四半期報告書の提出期限に関する規定を改め、新半期報告書の提出期限(改正金商法第24条の5第1項の表の第1号の下欄に規定する政令で定める期間)を45日とし、従来の半期報告書の提出期限(同表の第2号の下欄に規定する政令で定める期間)を60日としています。
臨時報告書の提出事由に以下の事由が追加することを提案しています。これは、2022年12月に公表された金融審議会ディスクロージャーワーキング・グループ報告で、四半期報告書において、直近の有価証券報告書の記載内容から重要な変更があった場合に開示が求められてきた事項については、臨時報告書の提出事由とすることが考えられるとされたことを踏まえ、改正を行うものです。
開示府令案第19条第2項第12号の2における重要性の乏しいものの例示として、少数株主を保護する必要性が乏しい場合、契約の相手が株主としての立場に基づかない場合や会社のガバナンスと無関係なものである場合が示されています(開示府令ガイドライン24の5-24-2)。
2024年4月1日公布・施行予定です。
ただし、改正後の規定のうち、有価証券報告書等の様式に係る規定の適用については、以下を予定しています。
なお、以下の図表のとおり、四半期報告書は、施行日以後開始する四半期会計期間に係るものから提出が不要となりますが、施行日前に開始する四半期会計期間に係るものについては提出が必要となります(改正金商法附則第2条第1項)。また、改正後の規定に基づく半期報告書は、施行日以後開始する事業年度に係るものから提出する必要があります(改正金商法附則第3条第1項)。
施行日前に事業年度が開始し、かつ、施行日以後に第2四半期会計期間が開始する会社(12月期決算会社、1月期決算会社及び2月期決算会社)については、当該四半期会計期間が属する事業年度に係るものから、改正後の規定に基づく半期報告書を提出する必要があります(改正金商法附則第3条第2項)。
(内閣府令等の略語)