出版社 |
日経BP日本経済新聞出版 |
価格(税抜き) |
2,000円 |
発行年月 |
2023.10 |
概要
BXとは、行動科学トランスフォーメーション(Behavioral Insight Transformation)の略称で、「行動経済学・心理学を起点として、人の心に寄り添った方向に企業のコミュニケーションのあり方を変革(トランスフォーム)すること」を指します。
本書は、アカデミックな専門的知見を出発点としたうえで、あくまで企業の経営課題を実践的に解決することを目指しています。そのため、単なる理論・法則の紹介ではなく、問題解決を支援するコンサルタントの視点から、企業経営の現場で活用可能な行動経済学の知見を体系化したうえで、読者が現場で活用しやすいツール(フレームワーク)として集録しています。
前半では、「なぜ人が動かないか」を、本能のメカニズムの観点から分析し、社会課題が生じるメカニズムと、BXの市場規模や世界的なトレンドを説明します。その上で、人を動かす心のツボの見極め方と、そのツボをいかに押すかを解説します。後半では、筆者らが実際に携わったプロジェクトを中心に、「消費者のSDGs行動を促す」「従業員のウェルビーイングを促す」「投資家のESG投資を促す」「不健康行動を抑制する」「企業の再エネ利用を促すためにルール形成によって社会を変える」といった事例を交えて、BXアプローチによって経営課題を解決する新しい筋道を示します。
目次
第1章 なぜ人は動いてくれないのか
- 正論をぶつければ人は動くという勘違い
- 正論で人が動かない理由
- 正論が生み出す社会の分断
- 科学の力で人を動かす
- 実践行動経済学2.0とは
第2章 行動経済学2.0の活用が11兆円市場の取り込みに貢献する
- 時代は行動経済学2.0に突入した
- 行動経済学2.0が社会課題解決の切り札に
- 行動経済学2.0によって11兆円市場を取り込む
第Ⅰ部 行動経済学2.0のツール
第3章 人を動かす心のツボの見極め方
- 人を動かす心のツボの既存のマップ(理論・モデル)の問題点
- 人を動かすトリガーは4つの心のツボにあった(新たに開発したARMSモデル)
- 人によって心のツボの押し方が大きく異なる
- 押すべき心のツボの見極め方(ARMSモデルの活用)
第4章 心のツボの押し方
- 人の考え方を変えることは難しい
- 人の考え方を変えなくても行動は変えることができる
- ナッジで「ついつい」「できそう」という心のツボを押す
- 「今・ここ・私」に近づけることで「したい」「やろう」を押す
補論 ナッジや行動経済学に渦巻く疑念
第Ⅱ部 行動経済学2.0で企業経営を変える
第5章 消費者を変える
- 「環境にやさしい」と言わずに、SDGs行動を促す
- 消費者に刺さる再エネの価値を発見し家庭の再エネ利用を促す
- 限られた予算のなかでインセンティブのかけ方を工夫し、安全運転を促す
第6章 従業員を変える
- 心のツボを正しく押して従業員のウェルビーイングを実現する
- 「自律感」と「有能感」を高めることで入社意欲を高める
- 「つながり感」を醸成して優秀な人材の流出を防ぐ
第7章 投資家を変える
- 投資家の心のツボを押す形で企業のSDGs活動を伝えることで、投資を呼び込む
第8章 社会を変える
- 心に寄り添ったルールをつくることでより良い社会を実現する
- あえて甘えを認めるルールをつくることで健康な行動を促す
- 新たな評価軸を設定することで、「当たり前」を変える
終章 ビジネスとアカデミアの2つの溝を埋める
- ビジネスとアカデミアの間に横たわる大きな溝
- 人材の育成とツールの整備が不可欠
- 行動経済学・心理学に関するアカデミアの知見をビジネスで使う際に求められる姿勢
執筆等
編著:EYストラテジー・アンド・コンサルティング、國分 俊史、伊原 克将、伊藤 言
備考
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