寄稿記事
掲載誌:2023年2月28日~2023年3月28日、日経電子版広告特集にて掲載
執筆者:EY税理士法人 パートナー 橋本 純
十分な対応とは言えない日本
日本企業の税務デジタルトランスフォーメーション(DX)が後れをとっています。ESG(環境・社会・企業統治)という概念とともに、BEPS2.0などグローバルな税制が大きく変化し、欧米では対応が進んでいるものの、日本では今も十分な対応ができているとは言えない状況です。そこで課題として問われているのがグローバル税務ガバナンスへの取り組みです。これには税務部門だけでなく、マネジメントが先頭に立って対応することが重要となります。
情報収集の一元化が不可欠
グローバル税務ガバナンスとは、コーポレートガバナンスの一部として企業価値向上に税務の観点から関与すること。その構築には「組織」「プロセス」「データ」という3つの観点が必要となります。とくにデータについては多様な税務情報の収集を一元化していく仕組みが不可欠であり、企業は税務体制の強化を早期に進める必要があります。
しかし、こうした税務体制を担うべき人材が若手を中心に大幅に減少しています。そのため、日々増え続ける業務量をこなすためにもシステムの効率化が必須となっています。つまり、税務DXを進めることで、有用な人材はより高度な業務に専念することが可能となります。
税務調査に対する予見・対策が必要
一方、日本の税務行政のDXは高度化しています。国税庁ではすでにAI(人工知能)や分析ツール活用した税務調査選定・審理を行っています。令和8年には統合データベースを含めたシステムも刷新される見通しです。リスク・ベース・アプローチ(RBA)による税務調査も開始されており、なぜ調査に来たのか、どこを見に来たのか、企業は予見・予防しなければなりません。その意味でも、企業は税務DXを進めていくことが必要となってきます。
業務プロセスをシステムに合わせる
では、どのように税務DXを進めていけばいいのでしょうか。そもそも日本企業は税務に関する投資予定額も少なく、テクノロジー計画も立ち遅れが目立っています。これからは欧米のグローバル企業と同レベルの投資強化を図り、計画整備を進める必要性があるでしょう。
業務プロセスを見直す開発アプローチについても問題点が少なくありません。今後はSaaS、PaaSに見られるように、必ずしもオーダーメードではなく、自社の業務プロセスをシステムに合わせていくという考え方も必要かもしれません。
EYはベストプラクティスを提供
DXの本質は「トランスフォーメーション」にあります。デジタルを利用して変革していくには、システムに合わせて最適解を導き出すことが一番の近道です。税務DXによるグローバル税務ガバナンスを実現するには、これから外部の力を借りることも必要になるでしょう。そのためにもEYでは税務DXに向けたプラットフォームを用意し、さまざまなベストプラクティスを提供しています。これからシステム導入プロジェクトにとどまらない、業務プロセスの変革を伴う税務DXの推進を検討されている企業の皆様においては、ぜひEYの知見やテクノロジーの活用をご検討いただきますようお願いいたします。ご質問・ご不明な点がございましたら、御社のEY担当またはお問い合わせフォームより気軽にお知らせください。
※2023年2月28日~2023年3月28日に日経電子版広告特集にて掲載。
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