EYとは、アーンスト・アンド・ヤング・グローバル・リミテッドのグローバルネットワークであり、単体、もしくは複数のメンバーファームを指し、各メンバーファームは法的に独立した組織です。アーンスト・アンド・ヤング・グローバル・リミテッドは、英国の保証有限責任会社であり、顧客サービスは提供していません。
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こうした税制度の変更には、特に複数国間で課税⽅法に統⼀性がない場合には、多額の先⾏費⽤が伴います。EUは付加価値税(VAT)などの特定の税に関しては、共通最低税率を設定するなどおおむね統⼀的なアプローチを採⽤しており、貿易圏全体で税務登録の簡素化を図るためのさらなる施策も⾏っています。しかし、サステナビリティに関する新施策の多くは統⼀性に⽋け、EU加盟国は各国独⾃の規制を導⼊しています。EU以外でも、世界中で、新しい環境対策のために設けられた国ごとの報告義務や基準に対して合意形成が⽋如していることによって負担が拡⼤しています。
このように多くの取り組みには、多額の投資をしても明確な⾒返りが明らかでないことから、その⽀出を裏付ける明確なビジネスケースが存在しません。
「カーボンニュートラルに意欲的な企業も、顧客や市場の嗜好を踏まえて輸送量の最⼩化や貨物船の電化を図っていますが、単に政策レベルでの要件定義が完全にはなされていないため、企業⾃⾝が正しいことを⾏っているのかどうかさえも分からない状態です」と、EY Global Trade Leader – Indirect TaxかつErnst & Young Belastingadviseurs LLP Indirect Tax PartnerであるJeroen Scholtenは⾔います。「それが正しいことなのであれば、企業とその顧客が何を得られるのかを把握することも必要です」
新たなコンプライアンス義務の順守
現在の重要なビジネス課題の1つが、ESGコンプライアンスです。その潜在的影響を十分に把握するために、企業は課税対象となる事業活動について、その実施前後の状況を⼗分理解できているかどうかを確かめようとしています。
「ESGコンプライアンスに対する責任は、単純な徴税・納税の責任よりも重いものかもしれません」とHeldebrandは述べ、以下に続けます。「企業は正しくコンプライアンスを果たせているかの確認に苦戦しています。それができていない場合は、罰則の対象となる可能性があるからです。企業が自らの義務を正しく把握していない場合、ペナルティーは瞬く間に積み重なってしまいます」
グローバルコンプライアンスの継続的な監視に注⼒しなければならないことを考えれば、企業の戦略、計画、コミットメントに重⼤な影響が及ぶ可能性があります。多くの組織は内部プロセスを徹底的に⾒直し、合理化と透明性の向上を図る必要が出てくるでしょう。ESGをめぐる諸状況の変化により、進化する規制に対応する正確な情報を提供するための⾃動化やシステムの機能改善を強いられる場合もあります。
多くの経営幹部がサプライチェーンにおける⻑期的なサステナビリティ⽬標を掲げているにもかかわらず、進捗を適切に測るための可視化ツールやテクノロジーなど、全社的に⼗分なプログラムを確⽴している企業はわずかです。
「間違いなく企業を疲弊させることになるでしょう」とScholtenは⾔います。「多くの場合、既存の要件と密接に連携・調整されたシステムを持つ企業がデータ要素を追加・変更するには、多額の投資が必要となるため、⾮常に重⼤な問題です。仮に⾃由に使える⼤量のデータを所有していたとしても、それらを引き出す新たな⽅法を考案するなど、データの実⽤化に四苦⼋苦する企業が多いでしょう。データによる管理はパワフルですが、それらを使⽤して正しい情報に基づいた意思決定を⾏うという局⾯は⼿作業のままなのです」