サポートサイドが連携して、シームレスなGXを可能にする
尾山:コンサルティングファームとの今後の連携について、具体的なイメージをお聞かせいただけますか?
奥村 氏:従来のSIerのビジネスモデルは、お客さまが何をやりたいか決まっている状態からスタートします。一方GXは、お客さまはすべきことがわからず悩んでいるので、一緒にシステムを作った上で、実際にどう機能させていくかに落とし込む作業が必要です。これまでのビジネス領域を超えて、お客さまの変革を共創する姿勢が不可欠です。われわれとしては現状把握や実行面をサポートしつつ、戦略面に長(た)けているコンサルティングファームの力を融合して、お客さまがシームレスにGXを実現できるような流れを作っていきたいですね。
佐治 氏:これまでは経営課題と情報システムがそれぞれ別々に近い状態で取り組んできたと感じていますが、GXは経営から実務までがしっかりかみ合わないと進みません。支援する側もかみ合っていかないといけないですし、その過程で異なる強みを持つコンサルティングファームと連携するのは自然な流れです。
尾山:おっしゃるように、SIerが情報システムを中心にアプローチし、コンサルティングファームが経営企画やサステナビリティ企画からアプローチして、サポートサイドがうまく連携していけると、全社的な動きを推進しやすくなるでしょう。
早﨑 氏:とはいえ、お客さまによって成熟度には差があり、世の中の脱炭素の進み方に応じて取り組みは変わるので、現段階ではソリューションをパッケージ化することは難しい状況です。まずは一社一社のお客さまとコミュニケーションをしっかり取って、それぞれの成熟度に応じて適したソリューションを提供していく。その中で、脱炭素の社会的価値についても理解を促し、世の中全体の動きにつなげていきたいと考えています。
尾山:CSV(共通価値創造)の考え方が非常に重要ですね。今後1年前後で情報開示義務化に向けた諸条件が決まっていきます。それに伴い企業の成熟度も高まっていくので、取り組みが一般化していくのは数年後ではないかとイメージしています。
佐治 氏:われわれSIerも、経営全体や社会に視野を広げる必要があります。そうした中で見落としてはいけないのが、そもそもは地球規模で持続可能にしていくことが目的であるということです。脱炭素は手段の一つであり、削減目標を達成するために何かを我慢したり、受け身の姿勢でいては、前向きな変化は生まれません。CTCはデジタルの領域から前向きな課題解決に貢献したいと思っています。