EYとは、アーンスト・アンド・ヤング・グローバル・リミテッドのグローバルネットワークであり、単体、もしくは複数のメンバーファームを指し、各メンバーファームは法的に独立した組織です。アーンスト・アンド・ヤング・グローバル・リミテッドは、英国の保証有限責任会社であり、顧客サービスは提供していません。
※本記事は、2022年2月18日実施GT東京法律事務所主催ナスダック上場セミナーの一部を記事化したものです。
要点
以下の文章は、原則、米国外の企業を前提に記載しております。
FY21において、ナスダックは資金調達額が最も多い市場です。セクター別に見た場合、上場件数はライフサイエンスがトップ、資金調達額ではテクノロジーがトップとなります。また、新規上場企業の監査人は、上場件数、資金調達額共にEYがトップでした。
上場準備
上場準備として各種検討を進める際に、実際に上場するタイミングで自らの企業がEGC(Emerging Growth Companies)の要件を満たし、上場規制の一部免除(提出が必要な監査済み財務諸表の期間の短縮、内部統制監査期間の短縮)の適用を受けられるか考慮に入れる必要があります。また、希望する上場時期を決定しておくことも必要です。
上場手続き
ここが1番時間を要するボリュームゾーンであり、短期での上場を目指す場合、いかにこの期間を短縮できるかが鍵となります。
証券会社・専門家(弁護士事務所・アドバイザリーとしての監査法人)、会計監査人としての監査法人などが選任されて、IPOに向けたプロジェクトチームが組成されます。また、上場に必要な英文の目論見書であるフォームF-1の作成が行われます。
作成されたフォームF-1はSECにファイリングされます(SECに提出されること)。SECはフォームF-1に対してレビューを実施、企業に対してコメントを提出します。企業側では受領したコメントに対する回答を作成、回答書とともに修正後フォームF-1・監査報告書が再度SECに提出されます。このやり取りを複数回繰り返し、全てのコメントがクリアされればSECから上場が承認されます。
会計監査人監査はPCAOB監査基準でより厳格な手続きが要求されることもあり、非常に時間を要する可能性があります。また、IPOプロジェクトチームの組成もスムーズに進まないケース(証券会社、弁護士事務所、監査法人が決まらない)も発生しているようです。そのため、IPOに向けた手続きは可能な限り早期に開始されることをお勧めします。
上場の維持
企業はナスダック市場に上場したのち、期末日後4カ月以内にフォーム20-Fの提出が求められます。また、要求はされていないですが、四半期または期中財務諸表であるフォーム6-Kを投資家に対して任意で提出することも考えられます。そのため、上場後の継続開示があることを見据えて、上場前から体制を整備しておく必要があります。
ナスダックに上場するためには、会計基準はIFRS又はUSGAAPを適用する必要があります。この新会計基準の適用に向けて、1つの例としてフェーズ1~4に分けて進めていくことが考えられます。
上記、フェーズ1~4で新会計基準を導入した後も、フェーズ5として導入後のさらなる効率化が進められます。
開催日:2022年2月18日
主催:GT東京法律事務所
主な講演内容:
ナスダック上場に向けた企業の関心は年々高まっています。上場への道のりは、決して平たんではありませんが、今後の企業の海外進出を通じたさらなる成長の手段として、ナスダック上場を目指すことを1つの選択肢として検討されることが非常に有用です。