EYとは、アーンスト・アンド・ヤング・グローバル・リミテッドのグローバルネットワークであり、単体、もしくは複数のメンバーファームを指し、各メンバーファームは法的に独立した組織です。アーンスト・アンド・ヤング・グローバル・リミテッドは、英国の保証有限責任会社であり、顧客サービスは提供していません。
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従来の「⽣命保険」は、今から12〜15年後にも存在しているでしょうか。ファイナンシャルウェルネスに対する顧客の需要の増⼤、⻑寿化、ギグエコノミーの出現、そして膨⼤な数の消費者がこれまでと同様の定年退職を迎える可能性は低いことを考慮すると、この疑問は決して突⾶なものではありません。
このような状況を踏まえ、NextWave Insuranceの最新レポートでは、⽣命保険、団体保険、医療保険、リタイアメント領域に焦点を当てています。
当然ながら、2030年代半ばになっても、⼈々は⽣命保険が従来提供してきた保障を必要とするでしょう。しかし、⽣命保険をこれまでと同じ位置付けと捉え続ける企業は、極めて近い将来にその存在意義が危ぶまれることになるかもしれません。⽣命保険、団体保険、医療保険、リタイアメントの状況は国・地域により異なりますが、いくつかのテーマは主要なグローバル市場に共通し、例えば、顧客エンゲージメントの強化や、より優れたテクノロジーの採⽤、新しいビジネスモデルおよびエコシステム形成を含むチャネルの開発が挙げられます。
本レポートでは、今⽇の市場に変化をもたらしている重大な要因と、⼤胆かつ創造的なイノベーションによりまい進している世界各国の企業に焦点を当て、インスピレーションの源にしていただきたいと考えています。
カスタマージャーニーを描く — 社会に出るときからリタイアメントまで
これまでと同様、業界の未来を決めるのは顧客です。顧客のニーズ、⽬的、願望は、業界の全ステークホルダーの成長戦略やイノベーションのアジェンダに反映されるべきです。また、保険アドバイザーや規制当局も⾮常に重要なステークホルダーであり、彼らを顧客とみなすのが望ましいでしょう。
テクノロジーの活用と強⼒なパートナーシップ形成により、保険会社は、経済に大きな影響を与えることが見込まれながらも、現状では相応のサービスを受けられていない女性を含む多様な顧客と、より深く有意義な関わりを持つことで、ホリスティックな価値を提供することができるでしょう。
近い将来、保険会社にとってエコシステムがもっとも効果的なモデルになるでしょう。なぜならば、保険会社単独では、消費者の重要なライフステージにわたって進化するニーズに応えることができないためです。団体保険および従業員福利厚⽣分野では、すでにエコシステムの効果が表れています。世界の保険会社は、特にメンタルヘルスと、心や身体だけでなく経済的な健康も含めたホリスティックウェルビーイングの領域でエコシステムの編成を進め、サービスを拡充し、多様化するニーズに応えています。
焦点となるのは保障、貯蓄、投資を統合したソリューションで、これらは5つの重要なライフステージにわたって拡大・進化する顧客ニーズに、柔軟に対応できるよう設計されています。
1. はじめはファイナンシャルウェルネスから
保険会社や年⾦プロバイダー、その他企業は、若年層を取り込む必要性を長い間認識してきましたが、⼤半の企業は彼らとのエンゲージメント形成に苦労してきました。最初のステップは、退職貯蓄以外の経済的目標に対する保険の価値を示すことです。コロナ禍後に⾼まった、短期的な経済的打撃(収⼊の減少や予期せぬ⼊院など)に対する保障ニーズに応えることは1つのチャンスとなるでしょう。
社会⼈⽣活を始めたばかりの若者には、ライフステージにフィットした少額短期保険(簡易ミニ保険)が適しているでしょう。若年層の支持を得るためには、保険会社はスマートフォンからの加入など、完全デジタルの体験を提供しなければなりません。また、代理店や保険アドバイザーに対し、投資資産をほとんど持たない顧客とのエンゲージメント形成・強化を働きかけることも保険会社の重要な役割です。