EYとは、アーンスト・アンド・ヤング・グローバル・リミテッドのグローバルネットワークであり、単体、もしくは複数のメンバーファームを指し、各メンバーファームは法的に独立した組織です。アーンスト・アンド・ヤング・グローバル・リミテッドは、英国の保証有限責任会社であり、顧客サービスは提供していません。
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差別化要因としてのインテグリティの重要性
今はインテグリティを重視する時期ではなく、ビジネスの存続と経済の回復のために企業は「アニマルスピリッツ」にもっと注⼒する必要があると主張する⼈もいるでしょう。しかし実際のところ、危機がもたらすストレスは⼤きく、経済の回復は不均⼀でジグザグ型となる可能性が⾼いことから、企業のビジネス関係を⽀えリスクを管理する上でインテグリティの重要性は強調されることになるでしょう。
インテグリティを主導する企業は、以前は⾒られなかった形で差別化を達成する⼀⽅で、そうでない企業は、この危機が過ぎ去った後、期待に対する裏切りを許容しない利害関係者から説明責任を問われる可能性があります。
このため、ビジネスリーダーは⾃らの組織におけるインテグリティ・アジェンダの策定と維持について、 4つの側⾯(ガバナンス、⽂化、統制・⼿順、データに基づくインサイト)から慎重に検討する必要があります。その時必要となるのが、以下の⼀連の重要な問い掛けです。
- 適切な⾏動に関するガイダンスは、明確で⼀貫性があり適切に伝達されているか
- 経営トップの適切な姿勢を組織内で促進させるためにこれ以上できることはないか
- 雇⽤が喪失している中、職務分掌は依然として有効か。また、経営陣はこの状況において管理とチェックを強化する必要性を理解しているか
- 会計上の⾒積もりにおける経営陣の先⼊観が⼀線を越えて不適切な会計となる事態を識別するために、どのようなプロセスがあるか
- 財務制限条項違反のリスクを管理するためにはどんなプロセスがあるか
- 利益⽬標を達成できない可能性が⾼い場合、次に挙げる点を確保するために必要なプロセスとは何か。「未実現収益を計上しない」「経費を適切に集計する」「次期以降の⽬標達成に向けて引当⾦や未払費⽤を過大計上しない」
- 今回の危機の下、経済⾯または倫理⾯の新たなジレンマに直⾯した場合、従業員に「正しいことをする」よう促す最善の⽅法は何か
現在、監査委員会は不正リスクの⾼まりに特に注意を払う必要があります。監査委員会は社内外の監査⼈と話し合い、不正、贈収賄、汚職、マネーロンダリングや、より広範な経済犯罪のリスクを軽減するため、監査⼿続の拡⼤が必要か否かを検討する必要があります。
成⻑回復に向けた準備
この危機もいつか終息する時が来ます。企業の⼤半は、直⾯する課題に適切かつ公正に対処し、顧客、サプライヤー、従業員を尊重してきました。しかしながら、企業は対岸で何が起きているのか常に⽬配りし、現在のみならずその先においても、⾼いレベルのインテグリティを⽰し続ける必要があります。
緊急⽀援策が徐々に緩和され、競争が再び活発になるにつれて、責任あるビジネスに対する社会の関⼼はかつてないほど⾼まっていきます。前出の問い掛けに効果的に対処しない限り、この⾮常な時期においてインテグリティの⽂化を維持することは困難でしょう。危険なのは、この先3カ⽉、6カ⽉または12カ⽉の間に不正(および倫理的)問題が顕在化するということです。
今こそ、リソースを注ぎ込んで⾼い基準を維持し、現状が⽣み出している潜在的な新しい倫理的脅威を認識して、適切なインテグリティの⽂化に根差した新たなビジネス成⻑の基盤を準備する時です。