米国において暗号資産業界に係るコンプライアンスと統制を徹底させるには
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米国における暗号資産業界に係るコンプライアンスと統制 (PDF)
暗号資産とブロックチェーンのテクノロジーの統合が進む中、米国では規制や規制当局による監視も進歩し続けています。
パブリック型ブロックチェーンネットワークが企業と投資家から選ばれる存在にならなければ、ブロックチェーンは、社会からの期待に応えることはできません。
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暗号資産に関する 金融サービス特有の課題とは
1. さまざまな種類の暗号資産の適切な分類
- 暗号資産に対処し、これを規制するため、米国ではさまざまな規制当局や州が独自のアプローチを考案してきました。しかし、統一された規制の枠組みはまだありません。世界各国の多様な暗号資産の微妙な差異への対処に行政機関が日々取り組んでいるのが現状です。
2. 通貨としての暗号資産
- 米国では規制当局が暗号資産を「通貨」に分類することを避け、暗号資産とする場合もあります。通貨に代わるものを提供することを目指すコインの開発者は、「ステーブルコイン」を手がけるようになってきました。ステーブルコインには、例えば中央銀行が発行する通貨である法定通貨と1対1で交換することができるように運営されているトークンなどがあります。そのため、従来の法定通貨の代わりを果たすのに適しており、規制当局による業界への介入がさらに不可避となります。
3. 従来の市場から未来型の市場への移行
- 米国では従来、同じ機能を果たす活動は同じ規則の下で扱うべきだという基本方針に基づき、既存の規制やガイドラインを活用して市場の新たな動きに迅速に対応してきました。そのため、さまざまな州や管轄区域の規制当局の多くが、証券投資に関する既存の法律の枠組みで暗号資産やトークンに対して規則しています。
- 暗号資産を取り巻く環境が急激に変わり、その機能が変化と拡大を続けているため、暗号資産業務に携わる金融機関と米国の規制当局は、最終的にまったく新しい体制を作り、この業界に対応する必要があると考えられます。
4. 投資家の分類
- 米国の規制当局は元来、資産、取引規模、法的地位などの指標に基づいて投資家を分類してきました。これは一般的に、流通市場ではなく、発行市場に言えることです。一方で暗号資産マーケットには誰でも参加することができるため、投資家保護の観点から問題が生じています。
5. 仲介者への依存
- 個人向け暗号資産ウォレットを利用したセルフカストディ(自己管理)により、証券規制の中核的要素である仲介者を排除します。
6. 犯罪への利用
- 暗号資産は、マネーロンダリングや脱税などの犯罪の温床となる恐れがあります。一方、相場操縦のためにどのように暗号資産が利用されるかについては、その方法がまだ定まっておらず、暗号資産の特性から、法定通貨のようには利用されない可能性も出てきました。とはいえ、従来型の通貨と同様、暗号資産も犯罪に利用されやすいことに変わりはありません。
サマリー
コンプライアンス対応の誤りは、多大な損失をもたらし、組織の成長の妨げとなりかねません。また、この変化の早い時代に、暗号資産関連の事業の成否を左右する可能性もあります。法的要件と規制の枠組みは絶えず進化しており、暗号資産の発行元と取引プラットフォームには柔軟性と適応力が不可欠です。このようなコンプライアンス問題に対処し、今あるテクノロジーと専門知識を最大限に活用しなければ、暗号資産とブロックチェーンの動向にうまく対応していくことができません。
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