EYとは、アーンスト・アンド・ヤング・グローバル・リミテッドのグローバルネットワークであり、単体、もしくは複数のメンバーファームを指し、各メンバーファームは法的に独立した組織です。アーンスト・アンド・ヤング・グローバル・リミテッドは、英国の保証有限責任会社であり、顧客サービスは提供していません。
サステナビリティの取り組みを生かして価値を引き出す
消費財企業がどのサステナビリティ⽬標、戦略、KPIを採⽤したとしても、その決断がどのように自社の事業にとっての価値を⽣み出し得るのかといった疑問は残ります。インフレ、不確実性、混乱が⽣じている情勢の中、約8年後の⽬標達成を後押しするために、今投資をするという意欲は減退しているかもしれせん。
消費者も、サステナビリティのために財布のひもを緩めることに消極的になる可能性があり、実際EY Future Consumer Indexでサステナブルな商品の購⼊を妨げる要因として価格の⾼さを挙げた消費者は67%に上りました。企業がすでにコストの上昇分を価格に転嫁している今、サステナビリティを実現するためのさらなる価格の引き上げは「泣きっ⾯に蜂」と受け取られかねません。
しかし、サステナビリティ投資を、転嫁する必要があるコストとみなす姿勢は逆効果を招きます。企業はそうした姿勢を改め、今後の成⻑のけん引役となるものに⽬を向けなければなりません。サステナブルな取り組みを⽀持するブランドは、経済が不安定な時期に料金の上乗せを行わなくとも、同業他社を凌駕するペースで成⻑を続けています。
割⾼であれば購⼊を控える消費者が大半とはいえ、51%は、サステナブルな買い物や⾏動が⽇常⽣活の指針になっていると答えています。また、2022 EY US CEO調査では、CEOの82%がESGをバリュードライバーとみなしています1。
さらに、よりサステナブルな戦略の導⼊は売り上げ成⻑、最終的なコスト削減、そして無形の利益をもたらす可能性を秘めています。サステナビリティの取り組みを強化することで企業の資本コストを削減でき2、また確かなESG対応を通して業務の効率を向上させることができます。
例えば、化⽯燃料価格が変動する中、再⽣可能エネルギーへの転換はバランスシートの変動を防ぐための⼀段と好ましい選択肢となってきており、規模の拡⼤によりエネルギーコストを下げることができます3。無形の価値という視点から⾒ると、若い消費者と従業員は自身の社会と環境に関する価値観を反映でき、支持してくれる組織に加わる傾向を強めています。英国で最近実施された調査から、Z世代の64%が、⾃⾝が勤める企業の環境問題への対応を重視していることが分かりました4。
最後に考慮すべきなのは、その逆を選択した場合のことです。サステナビリティへの投資が財務成果を直ちにもたらさなかったとしても、投資しないことはさらに多くのリスクを⽣みます。SDGsの未達成により、格差、貧困、気候変動が社会や環境を取り巻く状況を引き続き悪化させることに繋がるでしょう。サステナビリティへの投資の⾒通しが現在は暗かったとしても、投資をしないことを選択した場合、今後はるかに厳しい状況に直⾯することになるはずです。