世界有数の大手医薬品企業である武田薬品は、2019年にシャイアー社を買収した後、ベスト・イン・クラスのファイナンス組織になるための取り組みを開始しました。
同社グローバルCFOのCosta Saroukos⽒は、自社ビジョンの達成にはファイナンス組織を進化させる必要があることを認識していました。そのため、EYのチームと3年契約を交わして決算プロセスの徹底したトランスフォーメーションに取り組み、プロセスの短縮とユーザーエクスペリエンス向上を⽬指したのです。
このビジョンを実現し、決算プロセスを改善してベスト・イン・クラスを⽬指すべく開始したのが「プロジェクト・クァンタム」です。
「2020年初めにプロジェクト・クァンタムを⽴ち上げた時、ベスト・イン・クラスの決算プロセスを構築するという⽬標に到達するには長い道のりが待っていることは明らかでした。しかし私は、武⽥薬品のファイナンス部⾨の優秀な⼈材と適切なアプリケーションがあれば、この⽬標は達成できると確信していました」。Saroukos⽒はこう振り返ります。
プロジェクトの範囲は業績目標にまで拡⼤され、ファイナンス・リーダーシップ・チームの強⼒な⽀持のもと、主要指標が設定されました。この主要指標は、各⼦会社のパフォーマンス⽬標に対する達成度合いをトラックする、モニタリングやガバナンスのワークストリームを有効活用するものです。
変⾰を実現させるために、同プロジェクトチームはR2D(Record-to-Disclose:記帳から開⽰まで)のグローバル・プロセス・オーナーが責任者を務め、以下の4つのワークストリームを構築しました。
- 各社個別決算(現地の決算手続きからコーポレートチームへの提出まで)
- 決算スケジュールとそのガバナンス
- 財務システム、連結手続きとそのガバナンス
- 外部開示
同社のプロジェクト・クァンタム責任者 兼 グローバル・プロセス・オーナー(R2D)を務めるBarbara Lenzlinger⽒いわく、「プロジェクト・クァンタムの開始以来、私たちは懸命にではなく、賢明に働き、決算プロセスを短縮することを⽬標にしてきました」