EYとは、アーンスト・アンド・ヤング・グローバル・リミテッドのグローバルネットワークであり、単体、もしくは複数のメンバーファームを指し、各メンバーファームは法的に独立した組織です。アーンスト・アンド・ヤング・グローバル・リミテッドは、英国の保証有限責任会社であり、顧客サービスは提供していません。
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人間中心のデジタルプラットフォームと実行アプリケーションが可能にする、EYスマートファクトリーは、製造現場に 動的予測データアナリティクス、VR、AIを取り入れることによって、これまでにないパフォーマンスを実現します。
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本調査はヨーロッパにおける製造業86社を対象としたものですが、その結果はヨーロッパのみならず全世界の製造業に通じるものといえます。過去12カ月で、「自社のビジネスにとってAIの必要性・重要性がさらに増している」と回答した企業は81%に上りました。一方で、具体的にAI導入を目的とした主管部署を設け、詳細な実行計画を策定している企業はわずか10%にとどまります。また16%の企業は、具体的な将来像を描かないままに部分的な開発・導入を行っていると回答しました。全社的に導入できている企業は12%にとどまりますが、そうしたAIにおけるリーディング企業は平均5年以上取り組みを継続し、コスト削減やより的確な意思決定、顧客満足度の向上を実現しています。
ただし、これらの効果は導入さえすれば完全に得られるというものではありません。AIの本来の価値を引き出し、効果を最大化するためには、綿密な導入計画に沿った適切なアプローチが重要です。本記事では、製造業がどのように先進的な取り組みを進めることができるかをご紹介します。(詳細は調査報告書をご確認ください)
オポチュニティと課題
M&Aに関するインサイトを提供するクラウドベースのプラットフォーム「EY Embryonic」によると、製造業がサービス開発力強化を狙ってAI関連事業とM&Aや出資といった形で協業した事例は、2014年時点ではわずか5件でしたが、2019年には59件まで急増しました。この期間での事例総数は179件、複合年間成長率(CAGR)も64%となり、総額は14億ユーロに上りました。
製造業がAIに注目するのには理由があります。工場にスマートセンサーやIoT、AIなどを導入することで予知保全が可能となり、コスト削減や重要資産の寿命延長が期待できます。本調査でも68%の企業が既にデジタルを活用した予知保全を実施していると回答しています。また、デジタルツインによって製品やプロセス、設備などの仮想レプリカを作成し、AIでリアルタイムにデータを分析・処理することができます。デジタルツインを採用していると回答した企業は62%に上り、例えば物流プロセスに関する事例では、主要な港の混雑状況を監視することで、輸送コストやリードタイムへの影響の把握が可能となります。これらは迅速で的確な輸送手段の判断につながります。さらにAIは、生産や物流に限らずバリューチェーン全体にわたり有効であり、66%の企業がAIチャットボットによるテキスト解析により、迅速な問い合わせ対応を実現しています。サイバーセキュリティ関連では、不正アクセスの検知にAIを活用する企業も多く見られました。(69%)
活用法は多岐にわたり、上記の他にも大きな効果が期待されているものがあります。例えば、顧客の需要予測(37%)やシームレスな在庫管理(32%)が挙げられます。また、アナリティクスはより良い意思決定と労働力の有効活用を促進します。ARの活用などにより、遠隔の熟練技術者とデバイス上で確認しながら、新人の技術者でも作業を可能にするビジュアルアナリティクスは、熟練技術者をより高価値な作業に充てることで、生産や保全活動におけるオペレーションの効率向上を実現します。