Question
退職給付債務の計算に用いられる割引率は、どのようなときに変更しなければなりませんか。
Answer
割引率は各事業年度末において再検討し、その結果、少なくとも、割引率の変動が退職給付債務に重要な変動を及ぼすと判断した場合には割引率を見直す必要があります。重要な影響の有無の判断にあたっては、前期末に用いた割引率により算定した場合の退職給付債務と比較して、期末の割引率により計算した退職給付債務が10%以上変動すると推定されるときには、重要な影響を及ぼすものとして期末の割引率を用いて退職給付債務を再計算することになります。
割引率に関しては、退職給付の支払ごとの支払見込期間を反映するものでなければならないとされており、単一の加重平均割引率を使用する方法や複数の割引率を使用する方法が例として挙げられています。
単一の加重平均割引率を採用している場合であれば、割引率の変更を必要としない範囲の目安として、公益社団法人日本年金数理人会及び公益社団法人日本アクチュアリー会から公表されている「退職給付に関する数理実務ガイダンス」の付録1の資料を参照することができると考えられます。
一方、複数の割引率を採用している場合には、「退職給付に関する数理実務ガイダンス」の付録1の資料を直接参照することはできませんが、単一の割引率を概算等で算定できる場合には、その割引率により付録1の資料を用いる方法や、上記のガイダンスに添付されている付録4にある「4.デュレーションを用いた退職給付債務の近似 イ.イールドカーブ直接アプローチによる退職給付債務」に記載されている近似関数を用いる方法等が考えられます。
根拠条文
- 「退職給付に関する会計基準の適用指針」第24項
- 「退職給付に関する会計基準の適用指針」第30項
- 「退職給付に関する数理実務ガイダンス」付録1、4