役員報酬の開示分析 第6回:ストック・オプション制度の内容分析

2017年12月21日
カテゴリー 解説シリーズ

公認会計士 大竹 勇輝

Question 

各社が発行している通常型及び株式報酬型ストック・オプションの業績条件の有無の状況が知りたい。

Answer 

【調査範囲】

  • 調査日:平成29年9月
  • 調査対象期間:平成29年3月31日
  • 調査対象書類:有価証券報告書
  • 調査対象会社:平成29年4月1日現在の日経株価指数300に採用されている会社及び東証マザーズに上場している会社のうち、以下の条件に該当する266社
    ① 3月31日決算
    ② 日本基準を採用

【調査結果】

<図表>通常型・株式報酬型ストック・オプションの業績条件の有無

日経300採用会社又は
マザーズ上場会社の別
種類 業績条件の有無(※4) 会社数
(※1)、(※2)、(※3)
日経300採用会社 通常型
あり 2
なし 19
小計 21
株式報酬型 あり 2
なし 60
小計 62
ストック・オプション採用会社計 72
マザーズ上場会社 通常型 あり 17
なし 58
小計 64
株式報酬型 あり 0
なし 3
小計 3
ストック・オプション採用会社計 65

(※1) 複数のストック・オプション制度を採用している会社はそれぞれ1社とカウントしている。

(※2) 従業員向けのストック・オプションのみを記載している会社を除外しているが、付与対象者が明示されていないケースはカウントしている。

(※3) 子会社及び関連会社の役員にのみ付されている場合もカウントしている。

(※4) 行使の条件において、新株予約権割当契約に行使条件が記載されている旨等が記載されており、実際に業績条件が付与されているか明示されていない場合には業績条件「なし」とカウントしている。

日経300採用会社においては、186社中72社がストック・オプションを採用しており、通常型ストック・オプション採用会社は21社、うち業績条件を付与している会社は2社のみである。
また、株式報酬型ストック・オプション採用会社は62社となっているものの、業績条件を付与している会社は2社のみとなっている。

マザーズ上場会社においては、80社中65社がストック・オプションを採用しており、通常型ストック・オプション採用会社は64社、うち業績条件を付与している会社は17社であり、通常型ストック・オプション採用会社の約27%が業績条件を付与している。
また、株式報酬型ストック・オプション採用会社は、3社のみであり、業績条件を付与している会社はなかった。

日経300採用会社では、業績条件を付与するよりも株式報酬型ストック・オプションを付与することで、企業価値を向上させるような経営を目指すようにインセンティブを付与している一方、マザーズ上場会社は、通常型ストック・オプションに業績条件を付与することで、企業価値を向上させるような経営を目指すようにインセンティブを付与している。これは、マザーズ上場会社は、いわゆる新興企業やベンチャー企業が多く、具体的な数値目標を業績条件として明示することで、企業価値及び企業規模の拡大を図っていると考えられる。

(旬刊経理情報(中央経済社) 平成29年11月1日増大号 No.1494「役員報酬の開示分析」を一部修正)

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