役員報酬の開示分析 第7回:財務諸表本表、重要な会計方針、追加情報

公認会計士 横井 貴徳

Question 

役員向け株式交付信託を採用している会社の財務諸表本表、重要な会計方針に係る注記、及び追加情報に係る注記の開示状況を知りたい。

Answer 

【調査範囲】

  • 調査日:平成29年9月
  • 調査対象期間:平成29年3月31日
  • 調査対象書類:有価証券報告書
  • 調査対象会社:平成29年4月1日現在の日経株価指数300に採用されている会社及び東証マザーズに上場している会社のうち、以下の条件に該当する266社
    ① 3月31日決算
    ② 日本基準を採用

【調査結果】

分析対象会社266社のうち、有報「第4【提出会社の状況】」の「6【コーポレート・ガバナンスの状況等】」で開示されている「役員報酬等」の記載から、役員向け株式交付信託を採用している会社について、財務諸表本表、重要な会計方針に係る注記、及び追加情報に係る注記の開示状況を分析した結果は、<図表1>のとおりである。

役員向け株式交付信託を採用している会社23社のうち、財務諸表本表において引当金として開示しているのは、連結財務諸表が12社、個別財務諸表が14社であり、その大半が「株式給付引当金」又は「役員株式給付引当金」の科目名で開示している結果となった。一方で、約半数の会社が引当金として開示していないが、これは、役員向け株式交付信託を導入して間もないこと等により、役員に割り当てられたポイントが少なく、財務諸表への影響が限定的であることなどが要因ではないかと考えられる。

<図表1>役員向け株式交付信託に係る財務諸表本表の開示状況

区分

連結
会社数

個別
会社数

財務諸表本表の開示あり

役員株式給付引当金


株式給付引当金


株式給付関連引当金


変動報酬引当金


小計

4


6


1


1


12

6


6


1


1


14

財務諸表本表の開示なし

11

9

合計

23

23


また、財務諸表本表において引当金として開示している会社の多くが、重要な会計方針(重要な引当金の計上基準)を開示していた。さらに、引当金として開示していない会社であっても、大半の会社が取引の概要等を追加情報として開示している結果となった(<図表2>参照)。

<図表2>役員向け株式交付信託に係る会計方針および追加情報の開示状況

区分

連結
会社数

個別
会社数

会計方針の開示あり

追加情報の開示あり


追加情報の開示なし


小計

11


0


11

(※) 13


1


14

会計方針の開示なし

追加情報の開示あり


追加情報の開示なし


小計

11


1


12

(※) 8


1


9

合計

23

23

(※) 連結財務諸表の「注記事項(追加情報)」に同一の内容を記載しているため、注記を省略している旨を記載した会社を含む。

(旬刊経理情報(中央経済社) 平成29年11月1日増大号 No.1494「役員報酬の開示分析」を一部修正)


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