「指標と目標」では、企業の戦略とリスク管理プロセスに即して気候関連のリスクと機会を評価するために用いる指標のほか、温室効果ガス(GHG)総排出量の削減目標について、Scope 1、Scope 2およびScope 3※3についても開示している企業があります。なお、指標と目標については、その実績値も含めて開示することが重要となります。これらのデータについては、データブックとして別冊としている企業が多くあります。
気候変動リスクの開示については、現在の企業価値に影響を及ぼさない場合であっても、将来生じ得る影響を踏まえて開示を行う必要があり、そこに難しさがあると考えられます。
このように不確実な情報の開示には、開示内容の前提を示すことが重要になると考えられます。そのためには、経営者がどのようにリスクを捉え、その対応策を検討しているかが重要であり、気候変動リスクを評価するガバナンス体制を整備することが重要と考えられます。
2. 人的資本に関する開示
人的資本の開示については、多様な人材の雇用、経営リーダー層の育成や役員のダイバーシティの強化に関する開示が行われています。また、指標として、例えば、女性役員比率や女性管理職比率、障害者雇用率、社内認定制度の認定者などが定められています。
人的資本に関する開示についても、気候変動リスクの開示と同様に、経営者が人材についてどのように課題を認識しその対応策を検討しているかという観点での開示が重要と考えられます。このため、単に指標を掲げるのではなく、経営戦略に関連した開示を行うことが重要と考えられます(<図3>参照)。