英国総選挙:税務への影響

5月22日(水)の午後(英国時間)、英国の総選挙が僅か6週間後の7月4日(木)に行われると発表されました。

下記のように英国2大政党の与党である保守党(コンサバティブ・パーティー)と野党である労働党(レーバー・パーティ)の今まで開示された主な税務ポリシーをまとめましたが、今後さらに重要なアナウンスが入り次第お知らせいたします。

どの政党が次期政権を率いるかにかかわらず、大きな変更を導入する次の財政予算は2024年9月から11月の間に開催されると予想されますが、何らかの変更が7月から導入される可能性も僅かながらあります。

選挙の結果、現行の財政法案(Energy Profits Levyに関するエネルギー安全保障投資メカニズム、新たなリザーブド・インベスター・ファンド(RIF)、クリエイティブ産業に対するさらなる減税措置の変更に関する法案)は、残りの承認段階を早めることになります。2024年5月30日までに制定される見込みです。

コンサバティブ・パーティー(保守党、与党)

レーバー・パーティ(労働党、野党)

キャンペーンスローガン

明確な計画、大胆な行動、確実な将来

変革の時

税率の変更

  • (財政状況が許せば)国民保険料(NIC)の再引き下げと最終的な廃止が噂されている
  • 土地印紙税(Stamp Duty Land Tax)の引き下げを検討中との報道
  • 法人税率を25%に抑える

その他の税制提言

  • 第二の柱におけるUTPRの2024年12月31日からの導入
  • 炭素国境調整メカニズム(UK CBAM)の導入
  • キャピタルアローワンスの簡素化
  • リース資産の全額損金化
  • 移転価格税制、恒久的施設税制、迂回利益税制の改正、および移転価格税制の文書化における監査証跡サマリー(Summary Audit Trail)の導入
  • 無形資産に係るオフショア受領(ORIP)規定の廃止
  • 石油・ガス税制の簡素化
  • 英国非永住者に対する税制の改正と居住地ベースの相続税制度の導入
  • 私立学校授業料に対する付加価値税
  • プライベート・エクイティの「抜け穴」(キャリー・インタレスト)の廃止
  • 「ハイストリート(店舗)とオンライン大手の間の負担を均衡させ、競争条件を公平にする」ために、ビジネスレート(事業用資産税)を事業用不動産課税の新制度に置き換え
  • 職業実習賦課金(Apprenticeship Levy)を新しい成長技能賦課金(Growth and Skills Levy)に置き換え
  • 保守党政府の英国非永住者に対する税制の改正案の「抜け穴」を塞ぐ

その他の財政提案

  • 法人法上のre-domiciliation(移住)制度の導入
  • 当選後6カ月以内に法人税に関するロードマップを発表
  • 毎年1回の秋予算
  • 税制や歳出の大幅な変更の前に、予算責任局(OBR)が独立した予測を行うことを義務付ける
  • コンプライアンス違反に取り組むための HMRC への資金提供

本アラートに関するお問い合わせは、下記担当者までご連絡ください。

お問い合わせ先

EY税理士法人

Ernst & Young Tax Co. (Japan), UK Tax Desk, Tokyo

    須藤 一郎 パートナー
    Richard Johnston アソシエートパートナー
    Rebecca McKavanagh シニアマネージャー

Ernst & Young LLP (United Kingdom), London

    Jo Stobbs パートナー
    小林 仁紀 シニアマネージャー
    Jonathon Shepherd シニアマネージャー

※所属・役職は記事公開当時のものです