EYとは、アーンスト・アンド・ヤング・グローバル・リミテッドのグローバルネットワークであり、単体、もしくは複数のメンバーファームを指し、各メンバーファームは法的に独立した組織です。アーンスト・アンド・ヤング・グローバル・リミテッドは、英国の保証有限責任会社であり、顧客サービスは提供していません。
BEPS2.0第2の柱プロジェクトは、現在、OECD/G20包括的枠組みにより行われています。このプロジェクトは国際課税ルールの改革を目的としており、特に、多国籍企業(Multinational Enterprise、以下、「MNEs」)が、事業を展開する国・地域で発生する所得に係る最低限の税金を支払うことに重点を置いています。第2の柱では多国籍企業向けの新しいグローバルミニマム課税ルールが導入され、15%の税率が合意されています。一般的にこれらのルールは、年間収益が7億5千万ユーロ(約280億バーツ)以上の多国籍企業グループに適用され、特定の国・地域内の構成事業体の実効税率 (Effective Tax Rate、以下、「ETR」)が15%ミニマム税率を下回る場合にトップアップ税が適用されます。
OECD/G20のBEPS包括的枠組みの142加盟国・地域の1つとして、タイ国は、第13回BEPS包括的枠組み会議において、グローバルミニマム課税実施の原則に合意しました。
タイ閣議は2023年3月7日、BEPS 2.0 第2の柱に沿ってタイ国でグローバルミニマム課税を徴収することを原則として承認しています。この決定を踏まえ、タイ投資委員会(Board of Investment、以下「BOI」)などには、第2の柱の実施により既存の租税優遇措置に生じる潜在的な影響を緩和する措置を策定する任務が与えられました。
グローバルミニマム課税の影響を緩和し、多国籍企業の投資先としてのタイ国の魅力を維持することが目的です。
2023年3月7日閣議決定を受け、BOIは第2の柱の実施に呼応して、既存のBOI奨励企業及び新規BOI申請者の両方に対して即時発効する救済措置を公表しました。この救済措置は、グローバルミニマム課税の影響を緩和し、多国籍企業の投資先としてのタイ国の魅力を維持することを目的としています。
新しいインセンティブパッケージの概要は、以下のとおりです。
既存のBOI奨励企業 |
新規BOI申請者 |
|
---|---|---|
適格投資家のための選択肢 |
現行の免税制度から通常の法人所得税率の50%低減に転換でき、その結果、低減法人所得税率10%となるオプション |
次ののいずれかを選択するオプション |
期間 |
残存する通年の優遇期間の2倍。ただし、10年を上限とする |
免税制度
減税制度
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開始日 |
新たなBOI証明書を受け取った後の最初の収益計上の日から起算 |
最初の収益計上の日から起算 |
その他の権利及びインセンティブ |
変更なし |
基礎的インセンティブパッケージよるものと同様 |
a. 申請者は、連結収益が280億バーツ以上の多国籍企業グループ会社であるか、申請前の会計期間において国別報告要件の対象でなければなりません。
b. 申請者は、追加の特別な投資奨励措置(生産効率改善など)を有さず、基礎的BOI投資奨励措置の資格があるか、又は現在享受していなければなりません。
c. 既存のBOI奨励企業の場合、申請者は、法人所得税免除期間が少なくとも1年間残存しており、かつ法人所得税免除累積額が上限額に達していないことが必要です。
d. 関連する申請手続を順守することが求められます。
今後、BOIによってさらなる具体的なガイドライン及び関連説明が発表される可能性があります。
対象となる多国籍企業、特に既存のBOI恩典を有する企業、又は新しいBOI恩典を申請する予定の企業は、第2の柱の影響評価を実施して、タイ国の法人所得税実効税率が15%を下回り、第2の柱の実施によりトップアップ課税がされる可能性があるか否かを判断することを推奨します。その際、多国籍企業が新しい法人所得税減税制度への転換又は申請が有益か否かを判断し、その適切な時期を判断するために、BOI税務状況のレビュー及び制度適格性評価を含む、実現可能性調査を実施することを強く推奨します。
このタックスアラートの目的は提案事項の理解を容易にすることであり、事前に専門家に相談せず、税務計画のためだけに使用しないようご留意ください。
The purpose of this Tax Alert is to facilitate understanding of the proposals and it should not be used exclusively for tax planning without prior consultation with experts.
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日付:2023年6月7日
Date: 7 June 2023
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