タイ、専門家及び投資家向けの新たな10年間の長期滞在査証(LTR)を発表

タイJBS モビリティ・出入国管理アラート2022年9月

要旨

タイ政府は2022年9月1日、高度な技能を有する外国人専門家、デジタルノマド、及びタイ国で適格投資を行う個人を対象に、新たな長期滞在査証(Long-Term Resident Visa: 以下、LTR)を導入しました。LTR査証は最長10年間有効で、保有者は適格な扶養家族の保証人になることができます。

適格基準

LTR査証は、以下のカテゴリーの労働者に適用されます。

  • 「高度な技能を有する専門家」とは、タイ投資委員会が対象とする産業に雇用されている外国人のことです。申請者は、当該分野で博士号以上を有する個人及びタイ政府機関で勤務する人を除いて、対象分野で5年間以上の勤務経験を有している必要があります。一般に、申請者は申請書を提出する前の2年間に年間8万米ドル※以上を稼得している必要があります。申請書を提出する前の2年間に年間4万米ドル※から8万米ドル※を稼得している申請者は、科学又は技術分野の修士号以上、もしくは職務に関連する特別な専門知識を有している必要があります。タイ政府機関で勤務する個人は、給与要件が免除されます。
  • 「タイ国で働く専門家」とは、申請書を提出する前の3年間に1億5,000万米ドル※以上を稼得している、証券取引所に上場している公開会社又は非公開会社に3年間以上雇用されている外国人専門家です。一般に、申請者は申請書を提出する前の10年間に、専門とする業界で5年間以上の実務経験を有する必要があります。5万米ドル※以上の補償がある医療保険証書、10万米ドル※以上の貯蓄、またはタイ国で必要な治療をカバーする他国での社会保障基金に加入している必要があります。一般に、申請者は、申請書を提出する前の2年間に年間8万米ドル※以上を稼得している必要があります。申請書を提出する前の2年間に年間4万米ドル※から8万米ドル※稼得している個人は、このカテゴリーの資格を得るために修士号以上を有している、知的財産を所有している、またはシリーズA資金を受けている必要があります。

LTR査証はまた、以下のグループにも適用されます。

  • 「裕福なグローバル市民」とは、多額の個人資産を有する外国籍者です。100万米ドル※以上の資産を有し、申請書を提出する前の2年間に年間8万米ドル※以上を稼得している必要があり、さらに50万米ドル※以上のタイ国債、タイ国内の不動産又は外国直接投資を有する必要があります。
  • 「裕福な年金生活者」とは、申請書の提出時に年間8万米ドル※以上の年金を受け取る引退した外国人です。受け取る年金額が4万米ドル※から8万米ドル※である申請者は、25万米ドル※以上のタイ国債、タイ国内の不動産又は外国直接投資を有する必要があります。

※ 他通貨の同等額でもよい。

特典

LTR査証は、対象者に以下の特典を提供します。

  • LTR査証の申請プロセスはほとんどオンラインで完了し、申請者は申請から20営業日以内に申請書が承認されたかどうかを通知されます。
  • 申請者には最長10年間有効なビザが発行され、タイ国に出入国するための再入国許可証を取得する必要はありません。
  • 申請者は、査証の有効期間と同じ期間、タイで仕事又は勉強をするために、婚姻関係にある異性の配偶者、及び20歳以下の子の保証人になることができます。
  • タイ国で就労する許可は、デジタル労働許可証形式(すなわち、モバイルアプリ)を通じて発行され、労働許可証を取得(更新)する必要はなくなります。
  • 申請者は、タイ国内の国際空港のいずれかに到着した時点で、迅速な入国手続きを受ける対象となります。
  • 申請者は、90日ごとではなく、年に1回のみタイ出入国管理局に居住地の詳細を報告する必要があります。
  • 「高度な技能を有する専門家」のカテゴリーでLTR査証を取得する申請者は、17%の固定所得税率の対象となります。

また、タイ雇用主に以下の特典を提供します。

  • 「高度な技能を有する専門家」のLTR査証を後援する企業は、外国人従業員1人につき4人のタイ人従業員の割合を維持する要件を免除されます。

雇用主への影響

LTR査証は、タイ雇用主に外国人の才能及び投資を誘致するための新たな道筋、及び後援する申請者に簡素化された迅速なプロセスを提供します。この進展は、新型コロナウイルスの世界的流行後のタイ経済を刺激する手段として、高度な技能を有する外国人労働者及び富裕層の投資家を誘致するというタイ国が発表している目的と合致しています。

重要なステップ

EYは今後もこれらの動向を注視していきます。ご不明な点がございましたら、弊社の出入国管理専門家にお問い合わせください。


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