中国、印紙税法に関する一連の通達の公布他

中国JBS‐中国税務および投資速報(日本語要約版)2022年7月

税務法規

1. 印紙税

・印紙税の若干事項の政策執行内容に関する公告(財政部、国家税務総局公告2022年22号、以下「22号公告」)

・印紙税法の実施に伴う優遇政策の経過措置に関する公告(財政部、国家税務総局公告2022年23号、以下「23号公告」)

・「中華人民共和国印紙税法」の実施などに関する事項についての公告(国家税務総局公告2022年14号、以下「14号公告」)

概要

2021年6月10日に公布された「中華人民共和国印紙税法」(以下、「印紙税法」)は2022年7月1日に発効し、かつ従来の「中華人民共和国印紙税暫定条例」は同時に廃止されました。

印紙税法の円滑な施行を促進するため、財政部、国家税務総局は2022年6月、印紙税法に関する一連の通達を公布しました。その一部である22号公告では、下記のように規定されています。

事項

具体的な規定

印紙税の納税者

  • 課税文書の納税者は、課税文書に対し直接な権利及び義務関係を有する組織と個人である。
  • 委託貸付の形式で課税文書を作成する賃借契約の納税者は、受託人と賃借人である。委託人は含まれない。
  • 売買契約や財産権譲渡書類の税目に応じて印紙税を納付する競売成約確認書の納税者は、競売物件の所有者と買受人である。競売人は含まれない。

課税文書に関する具体的な状況

海外で課税文書を作成する場合

海外で作成し、国内で使用される課税文書は、規定に基づいて印紙税を納付しなければならない。これには以下の場合を含む。

  • 課税文書の対象が不動産で、かつ当該不動産が国内にある場合
  • 課税文書の対象が株式で、かつ当該株式が中国居住者企業の株式である場合
  • 課税文書の対象が動産または商標使用権、著作権、特許権、ノウハウ使用権であり、その譲渡者または取得者が国内にいる場合(海外の組織または個人が、国内の組織または個人に販売する、完全に海外で使用される動産または商標使用権、著作権、特許権、ノウハウ使用権を除く)
  • 課税文書の対象がサービスであり、かつその提供者または受領者が国内にいる場合(海外の組織または個人が、国内の組織または個人に提供する、完全に海外で発生するサービスを除く)

売買契約を書面作成しない場合

  • 書面化された売買契約が存在せず、当事者間の売買関係や権利・義務が発注書等の書類によって決まる場合、規定に基づいて印紙税を納付しなければならない。

電力売買契約

  • 発電所と電力網の間、または電力網と電力網の間で書面作成された電力売買契約は、売買契約の税項目に従って印紙税を納付しなければならない。

課税標準に関する具体的な状況

  • 同一の課税契約、課税財産権譲渡文書が2者以上の納税者に関連しており、かつ各納税者に帰属する金額が明記されていない場合、納税者は課税文書に記載されている金額(明記されている増値税金額を除く)を均等に割り当てた金額により、課税標準を確定する。
  • 課税契約、課税財産権譲渡文書に記載されている金額と実際に決済された金額が不一致の場合:
    • 課税文書に記載されている金額を変更しない場合、記載されている金額を課税標準とする。
    • 課税文書に記載されている金額を変更する場合、変更後の記載金額を課税標準とする。印紙税を納付した課税文書に対し、変更後の記載金額が増加した場合、納税者は増加分に対する印紙税を追加納付する必要がある。変更後の記載金額が減少した場合、納税者は税務機関に、減少分に対する印紙税の還付か控除を申請することができる。
  • 課税文書に明記されている増値税額の計算を誤ったことにより、課税文書の課税標準の減少または増加が生じた場合、納税者は規定に基づいて課税文書に明記されている増値税額の調整後、印紙税の課税標準を再確定する。印紙税を納付した課税文書に対し、調整後の課税標準が増加した場合、納税者は増加分に対する印紙税を追加納付する必要がある。調整後の課税標準が減少した場合、納税者は税務機関に、減少分に対する印紙税の還付か控除を申請することできる。
  • 株式譲渡に関する印紙税の課税標準は、財産権譲渡文書に記載されている金額(実際に出資していない割当出資額を除く)に基づいて確定する。
  • 課税文書の金額が人民元建て以外の場合、課税文書を作成した日の中間値で人民元に換算し、課税標準を確定する。
  • 国内貨物複合運送:
    • 出発地で全行程運賃を一括決済する場合、全行程運賃を運送契約の課税標準とし、出発地運賃を決済する当事者双方(荷送人と運送人)が印紙税を納付する。
    • 行程別で運賃を決済する場合、行程別の運賃を課税標準とし、運賃決済を行う各当事者が印紙税を納付する。
  • 履行されていない課税契約、財産権譲渡文書について納付済みの印紙税に関して、税額の還付及び控除はできない。
  • 納税者が余分に貼付した収入印紙に関して、税額の還付及び控除はできない。

その他、22号公告では、印紙税が不徴収となる場合(例えば人民法院により発効した法律文書等)及び免税となる場合(例:「中華人民共和国電子商務法」で規定されている電子商経営等)についても列挙されています。

加えて23号公告では、2022年7月1日以降にも継続適用、廃止または失効される印紙税優遇政策が明示され、14号公告では印紙税に関する徴収管理の取決めについて定められています。

各関連規定の全文は下記よりご確認ください。

22号公告
www.chinatax.gov.cn/chinatax/n367/c5176914/content.html

23号公告
www.chinatax.gov.cn/chinatax/n367/c5176915/content.html

14号公告
www.chinatax.gov.cn/chinatax/n367/c5176919/content.html

 

2. 関税

・税務違反行為の自発的申出に対する処理に関する事項についての公告(税関総署公告2022年54号、以下「54号公告」)

概要

税関総署は2022年6月30日、対外貿易の安定化及び質の向上を推進することを目的として、54号公告を公布しました。これは、輸出入企業や組織による税務違反行為の自発的な申出を奨励することを意図するものです。

54号公告により、自発的に税務違反行為を申し出た企業及び組織は、一定の条件下において、行政処罰の免除、滞納金の減免、信用記録への記載が免除されること等が明らかにされています。その具体的な内容は、以下の通りです。

事項

具体的な内容

行政処罰の免除

自発的に税務違反行為を申し出た輸出入企業、組織が、次のいずれかの状況に該当する場合、行政処罰を行わない。

  • 税務違反行為が発生した日から6カ月以内に、自発的に税関へ税務違反行為を申し出た場合

  • 税務違反行為が発生した日から6カ月以降1年以内に、自発的に税関へ税務違反行為を申し出、かつ納付漏れ、過少納付税額が未払税金に占める割合が30%以下、あるいは納付漏れ、過少納付の税額が100万人民元以下の場合

滞納金の減免

上述の行政処罰を行わない状況に該当する輸入出企業や組織が自発的に税関に税務違反行為を申し出た場合、税関は滞納金を減免することができる。

企業信用記録への記載免除

輸入出企業、組織が自発的に税関に税務違反行為を申し出、かつ税関に警告され、あるいは行政処罰で100万人民元以下の罰金が科された行為に対しては、税関が作成する企業信用状況の記録には記載されない。

54号公告は2022年7月1日から2023年12月31日まで適用され、同時に税関総署公告2019年161号(「税務違反行為の自発的申出に対する処理に関する事項についての公告」、以下「161号公告」)は廃止されます。

54号公告の全文は下記よりご確認ください。

54号公告
http://www.customs.gov.cn/customs/302249/302266/302267/4463104/index.html

 

3. その他

・市場主体の休業および税務登記抹消の段階における税務関連事項の簡素化処理に関する公告(国家税務総局公告2022年12号、以下「12号公告」)

概要

国家税務総局は2022年6月14日、ビジネス環境をさらに最適化するために、市場主体(企業等)の休業、税務登記抹消の段階における税務関連事項の簡素化処理について、12号公告を公布しました。12号公告は2022年7月14日より施行されます。

12号公告は、休業期間中の市場主体に対する税務申告の簡素化、及び登記抹消段階にある企業等に対する完納証明書類手続の簡素化を認めています。その主な内容は、以下の通りです。

税務申告の簡素化

  • 市場主体が自然災害、公共衛生上、社会安全上の理由により経営が困難になり休業する場合、規定に基づいて登記機関に休業を申請すれば、税務機関への別途の報告は不要となる。
  • 企業所得税の予納申告を月次で行う市場主体は、休業を申請した次の四半期から、四半期ごとの予納申告に調整することができる。分支機構を有する企業が分支機構のみを休業する場合には、その予納申告期限の調整は行わない。

完納証明書類手続の簡素化

  • 人民法院が強制清算の裁定を下した市場主体は、人民法院による手続完了の裁定をもって完納証明書類の発行を税務機関に申請した場合、税務機関は即時にその証明書類を発行する。

12号公告の全文は下記よりご確認ください。

www.chinatax.gov.cn/chinatax/n810341/n810825/c101434/c5176916/content.html
 

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