マレーシア2022年予算案 - 税制改正案(速報)

マレーシアJBS ‐ November 10, 2021


概要

2021年10月29日、マレーシアの2022年予算案が発表されました。
COVID-19のパンデミックにより停滞した経済を再構築するため、2022年予算案は再生、回復、改革を主要テーマとして策定されています。
税制面では税収の増加と投資の促進を目的とした改正案が盛り込まれています。

主な税制改正案

  • 現行の国外源泉所得免税制度を2022年1月1日で撤廃し、国外源泉所得のうちマレーシア国内で受領された所得は課税対象とする改正
  • 大会社に対し課税所得がRM 1億を超える部分について法人税率33%の適用(2022年賦課年度限定)
  • 現行の欠損金繰越期限7年を10年に延長。2019年賦課年度に遡及して適用
  • 現行の再投資控除(RA)について2024年賦課年度まで2年間の延長
  • 個人が取得後5年を超える不動産を処分した際の不動産利得税(RPGT)について税率を0%に引き下げ
  • 間接税の特別自主開示プログラムが導入されフェーズ1ではペナルティの全額、フェーズ2ではペナルティの50%が免除。本税部分についても個別判断により減免が受けられる可能性あり
  • 国内で製造する自動車(CKD)について売上税の全額、完成車として輸入する自動車(CBU)について売上税の50%を免除する現行の規定を2022年6月30日まで延長


税目ごとの改正案概要

個人所得税

  • 電気自動車の充電設備を購入、設置、リース、利用した際の費用について上限RM 2,500の所得控除制度の新設。2022年賦課年度および2023年賦課年度が対象
  • 自己または自己と生計を一にする配偶者や扶養者の医療費控除の対象となる医療費の範囲を拡大し、メンタルヘルスに関する検査や診察を対象
  • EPF(従業員積立基金制度)への拠出に対する所得控除の範囲を拡大し、自主的な拠出も対象
  • SOCSO(労働者社会保障制度)への拠出に対する所得控除の範囲を拡大し、EIS(雇用保険)への拠出も対象にすると共に上限をRM 250からRM 350へ引き上げ
  • 携帯電話、パソコン、タブレットなどを購入した際の費用について上限RM 2,500の所得控除を1年延長し、2022年賦課年度も対象
  • 事業をマレーシアに移転する企業の外国人重要ポスト人材について、軽減税率15%を5年間適用。2022年12月31日までにMIDA(マレーシア投資開発庁)へ申請

別段の定めがある場合を除き、上記改正は2022年賦課年度から適用

間接税

  • 上場株式の仲介業務にかかるサービス税については2022年1月1日から免除
  • 物品税の対象となる甘味飲料について、2022年4月1日からチョコレート、ココア、麦芽、コーヒー、お茶などの加糖飲料を課税対象に追加。また2022年1月1日からニコチンを含有した電子タバコまたは加熱式タバコ用のリキッドやカートリッジを対象に追加
  • 電気自動車の輸入にかかる輸入関税、物品税、売上税の免除について2022年6月30日までの延長
  • Eコマースを含む物品配達事業について、2022年7月1日からサービス税の対象。ただし飲食の配達や物流事業はサービス税対象外
  • テーマパークや映画館で課される遊興税(Entertainment duty)の免除について2022年12月31日まで延長
  • 観光税(Tourism tax)の免除について2022年12月31日まで延長
  • マレーシア居住者に対しオンラインで販売される少額物品のうち輸入されるものに対して、2023年1月1日から売上税の対象に追加


法人税

  • すべての企業は法人税の見積額(予定納税額)について、2022年10月31日まで6ヵ月目と9ヵ月目に加え11ヵ月目の修正が可能
  • 事業所などの改修や改装に要した費用について上限RM 300,000の損金算入制度を2022年12月31日まで延長
  • 奨学金を支給した企業に対する二重控除について、対象となる学生を全分野に拡大すると共に2025年賦課年度まで延長


優遇税制

  • 2022年1月1日から2023年12月31日までに財務省が申請を受理した認可社会的企業について3年間の法人税免除
  • 2022年1月1日から2023年12月31日までにMIDAが申請を受理した環境保全技術に対する優遇税制について、雨水の貯留再利用システムを対象に追加
  • デジタルエコシステムの推進に関わる業務に対する優遇税制;
    • デジタル技術提供法人: 最長10年間にわたり新設法人は0%から10%の軽減税率適用、既存法人は10%の軽減税率適用
    • デジタルインフラ提供法人: 適格資本的支出について10年間にわたり100%の投資税額控除
      2021年10月30日から2025年12月31日までにMIDAが申請を受理した事業が対象


印紙税

  • 2022年1月1日から契約書に課される印紙税率が0.1%から0.15%に引き上げられると共に、現行の上限RM 200は撤廃
  • 既存の借入契約を見直す際の印紙税免除について2022年12月31日まで延長


中小企業者

  • 2022年6月30日まで、中小企業者などに対する法人税の分割納付延長
  • 2021年7月1日から2022年6月30日までに起業家開発省(the Ministry of Entrepreneur Development and Cooperatives)が申請を受理した中小企業者の再編のうち、2022年12月31日までに作成されたもろもろの文書に関する印紙税免除


その他

  • 2022年からすべての法人と18歳以上の個人に納税者番号を割当
  • 政府調達の入札参加資格として2023年1月1日から税務コンプライアンス証明書の導入
  • パーム油に対する超過利潤税の課税基準価格を、マレーシア半島ではRM 2,500 / トンからRM 3,000 / トンへ、東マレーシアでは RM 3,000 / トンからRM 3,500 / トンへ引き上げ
  • 東マレーシアの超過利潤税の税率を、マレーシア半島に合わせ1.5%から3.0%へ引き上げ

 

本アラートは2022年予算案スピーチに基づき作成されています。今後の国会における審議の過程において修正、削除、追加などが行われる可能性があることにご留意下さい。

 

2022年 マレーシア予算案 ウェビナーのご案内

2021年11月25日(木)
マレーシア時間 9:30 a.m. ~11:30 a.m. 
日本時間 10:30 a.m. ~ 12:30 p.m.

参加申込
申込締切:2021年11月24日(水)17:00
申込方法:こちらのリンクからご登録ください

ウェビナーに関するご質問などについては、山田までご連絡ください。


お問い合わせ先

EY Malaysia Japan Business Services

Janice Wong
Partner and Asean Japan Business Services Tax Leader
Ernst & Young Tax Consultants Sdn. Bhd.
+603 7495 8223

Tatsuya Enomoto / 榎本 竜也
Senior Manager
Ernst & Young Tax Consultants Sdn. Bhd.
+603 7495 8337


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