EYとは、アーンスト・アンド・ヤング・グローバル・リミテッドのグローバルネットワークであり、単体、もしくは複数のメンバーファームを指し、各メンバーファームは法的に独立した組織です。アーンスト・アンド・ヤング・グローバル・リミテッドは、英国の保証有限責任会社であり、顧客サービスは提供していません。
欧州連合(EU)はこのほど、香港における国外源泉所得免除(FSIE:Foreign-Source Income Exemption)制度の審査を実施しました。EUはFSIE制度自体は問題ではないことを認めましたが、香港にて実質的経済活動を営んでいない企業が、国外からの受動的所得(利息やロイヤルティなど)について課税を受けておらず1、二重非課税という事態を引き起こしていると懸念しています。
香港は2021年10月5日、税務面で非協力的な国・地域のEUリスト(EU list of non-cooperative jurisdictions for tax purposes)の付属書II(いわゆるグレーリスト)に追加されました2。
香港税制に関するEUの評価を受けて、香港政府は、受動的所得と能動的所得共に源泉地国課税の原則を維持すると強調しました。
そうしたことから、香港は2022年末までに受動的所得に関するオフショアクレーム3を修正するか、あるいは同クレームについて追加条件を課すことを明言しています。ただし、施行は2023年が予定されています。
香港政府は、同法律改正案は、香港において実質的経済活動を営んでいない企業が受動的所得の稼得を通じて租税を回避する行為を対象とするにとどまることと示唆しています。香港政府はさらに、法改正の具体的内容について利害関係者と協議し、企業によるコンプライアンス上の負担を最小限に抑えるよう努めるとの方針を示しています。
香港政府が、将来的にオフショアクレームについて十分な実体要件を求めることが想定されています。納税者においては、これらの動向を注視し、事業運営や税務方針に対する影響について評価する必要があります。
巻末注
須藤 一郎 パートナー
大堀 秀樹 ディレクター