EYとは、アーンスト・アンド・ヤング・グローバル・リミテッドのグローバルネットワークであり、単体、もしくは複数のメンバーファームを指し、各メンバーファームは法的に独立した組織です。アーンスト・アンド・ヤング・グローバル・リミテッドは、英国の保証有限責任会社であり、顧客サービスは提供していません。
向こう数か月の間にオーストラリア国税局(ATO)による次のCombined Assurance Review(CAR)が開始されることが見込まれているため、納税者にとってCARに備えて準備をしておくことが大切になります。今週は、CARプログラムの概要と、CARの対象となるトップ1,000に分類される大企業がCARレビューの前に準備しておくべき事項について解説していきます。
CARは法人税および商品サービス税(Goods & Services Tax, GST)に関わるレビューで、Streamlined Assurance Review (SAR)に代わり実施されることになりました。その目的は、売上高2億5,000万豪ドル超の大企業や多国籍企業が、GSTについて正しい金額を納税しているかを確認する法人税のためのレビューであるとされています。
CARでは「justified trust(根拠のある信頼) methodology」が採用されています。これにより、CARレビューの対象となる納税者は、合理的な一般人が、正しい税額が納税されたと判断するのに十分な客観的なエビデンスを提出することが求められます。そのため、ATOに情報を提出する際には、納税者による納税が問題なく行われていることを「単に説明する」のではなく、「証明する」ことに重きを置く必要があります。
CARは、一般に、法人税で過去3~4年間、GSTで直近年度の12カ月間がその対象期間とされます。ATOにより既にSARが実施されたことのある納税者については、CARの対象期間が短くなる可能性が考えられます。
法人税のレビュー
法人税については下記の4つの柱に基づいたレビューが中心となります。
ATOは特に下記の税務事項について着目しています。
ここで重要となるのは、ATOが法人税に関して単なる税務リスクの洗い出しを行っているわけではなく、納税者への確信を求めていることにより、ATOより求められる情報の種類が広範囲に及ぶ可能性がある点です。SARを受けていない納税者に対して法人税に関するCARが開始された場合、情報提供の依頼事項が初回だけで70項目を超える可能性があります(各項目についてさらに多くの情報が請求される可能性があります)。ATOは、この情報提供の依頼事項に対する回答期限を通常8週間としており、この期限の延長は難しいと思われます。
GSTのレビュー
GSTのレビューでは、法人税よりも税務リスクの洗い出しに焦点をおいたアプローチが取られています。その中でも、特にデータの統一性、データ管理、Business Activity Statements(BAS)申告の税務プロセスのガバナンス等が重要視されており、通常業務範囲外で行われる取引などATOによりリスクが高いと考えられる事項についても質問される可能性があります。
CARの結果
CARの完了後、納税者に対しATOより通知書が発行されることになっています。この通知書には法人税における「全体的な」アシュアランスレベルの評価付け、およびレビューを行った各分野(特に税務コーポレートガバナンス)に対する格付が記載されることになっています。GSTに対する評価付けは通知書に記載されませんが、(納税者またはATOにより)さらなるアクションが必要となる事項がある場合はそれらの点について記載されることになります。
法人税で全体的な格付が「高」となった場合は、その対象年度について法人税が適正に納税されたとATOが納得したことを意味しています。そして、それ以降に新しい問題が発見されない限り、そのレビュー対象年度の法人税についてATOより連絡が来る可能性は低くなると思われます。
ATOは、納税者の税務リスク管理および税務ガバナンスが最低でも「ステージ2」でないと、「高」レベルの評価付けを行うことができません。税務ガバナンスで「ステージ2」が認められるためには、税務管理フレームワークが確立しており、かつ効果的に機能する仕組みになっていることを証明するエビデンスが求められます。
CARではATOから詳細な情報の提供を求められるため、CARに向けた準備を早期に開始することが重要となります。上述した通り、ATOから情報提供の依頼がある場合、通常、8週間以内にATOに回答することが求められます。CARへの準備には以下の方法が挙げられます。
※この記事の見解は、Ernst&Youngではなく、著者の見解です。この記事は一般的な情報を提供するものであり、専門的な助言として解釈すべきではありません。利用者は、決定を下す前に、自らの特定の事実関係を理解する専門アドバイザーに相談し、助言を求める必要があります。責任は専門基準法の下で承認されたスキームによって制限されます。
Sydney/Brisbane
渡辺登二 Toni Watanabe
Director, Tax
+61 2 9248 4771
Sydney/Melbourne
篠崎純也 Junya Shinozaki
Director
JBS NSW Leader
+61 2 9248 5739
Sydney
パトリック ジャイルズ・ジョーンズ
Patrick Giles-Jones
Director, Transfer Pricing
+61 2 9248 4170
Perth
井上恵章 Shigeaki Inoue
JBS Perth Leader
+61 8 9217 1296
近藤貴輝 Takaki Kondo
Senior Manager, Assurance
+61 8 9222 8715
EY | Assurance | Tax | Strategy and Transactions | Consulting
About EY
EY is a global leader in assurance, tax, transaction and advisory services. The insights and quality services we deliver help build trust and confidence in the capital markets and in economies the world over. We develop outstanding leaders who team to deliver on our promises to all of our stakeholders. In so doing, we play a critical role in building a better working world for our people, for our clients and for our communities.
EY refers to the global organization, and may refer to one or more, of the member firms of Ernst & Young Global Limited, each of which is a separate legal entity. Ernst & Young Global Limited, a UK company limited by guarantee, does not provide services to clients. Information about how EY collects and uses personal data and a description of the rights individuals have under data protection legislation is available via ey.com/privacy. For more information about our organization, please visit www.ey.com.
© 2021 Ernst & Young, Australia.
All Rights Reserved.
This communication provides general information which is current at the time of production. The information contained in this communication does not constitute advice and should not be relied on as such. Professional advice should be sought prior to any action being taken in reliance on any of the information. Ernst & Young disclaims all responsibility and liability (including, without limitation, for any direct or indirect or consequential costs, loss or damage or loss of profits) arising from anything done or omitted to be done by any party in reliance, whether wholly or partially, on any of the information. Any party that relies on the information does so at its own risk. Liability limited by a scheme approved under Professional Standards Legislation.