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2021年7月14日、ドイツ連邦財務省は、移転価格に関する行政原則(Administrative Principles Transfer Pricing、以下「AP TP」)を公表しました。ドイツの行政原則は、ドイツの税務規定の第3の要素(税法と行政命令に加えて)に相当します。行政原則は、納税者や裁判所を拘束するものではありませんが、税法と行政命令の解釈や説明のための追加的なガイダンスとして機能します。そのため、納税者にとって実務的に非常に重要です。今回のAP TPの公表は、ドイツにおける移転価格の枠組みの最近の法改正(2022年1月1日以降に開始する事業年度から適用)を受けたものです。
AP TPの目的は、ドイツにおける独立企業原則の解釈を国際基準に合わせることにあります。 具体的には、AP TPは、クロスボーダー取引を行う関連者間の所得配分を調査するために、2020年に公表された金融取引に関する第10章を含む、経済協力開発機構(OECD)の2017年移転価格ガイドライン(以下、OECDガイドライン)を採用しています。
AP TPは、行政上のガイダンスの主要な根拠としてOECDガイドラインを紹介していますが、ドイツ税務の観点から公平な課税を確保する為に必要と考えられるOECDガイドラインに関する追加的な解釈や明確化を行っています。最も注目すべき点は、AP TPは、グランドファーザー条項(既得権者適用除外条項)無しに、すべての未決事案に対して直ぐに有効になるということです。
全ての行政上の移転価格問題の中心的な参考資料であるAP TPが、課税を価値創造に合わせるというコンセプトの下、移転価格における経済的観点の拡大を強調していることは好ましいことであり、例えばドイツにおける独立企業原則がインバウンドとアウトバウンドの事案に一貫して適用されなければならないことを明確にしています。
しかし、AP TPは、特に関連者間の資金調達取引に関して、OECDガイドラインから意図的に逸脱している部分があります。進行中の税務調査の経験に基づき、連邦財務省は、OECD基準からの一方的な逸脱であるとの議会グループの反対により、何度も法制化されずに終わった最新の立法案の中から、大いに議論された内容を修正してAP TPに盛り込みました。
取り上げられた側面の多くが実際に一般的に適用されている中、AP TPは法的確実性を高める水準を提供していますが、AP TPは移転価格に関する論争をさらに高めることも予想されます。
本アラートの詳細は、2021年7月23日付EY Global Tax Alert 「German Ministry of Finance issues new Administrative Principles regarding transfer pricing | EY - Global」(英語のみ)をご覧ください。