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2021年6月4~5日にかけて、G7各国の財務相および中央銀行総裁1による会合がロンドンにて催されました。会合の終了に当たり、主要議題に関する声明文が発表され、経済のデジタル化に伴う課税上の課題に対応するG20・OECD2の包摂的枠組みプロジェクト(BEPS2.0プロジェクト3)について、現在進行中の作業に対する強い支持が表明されました。また、この声明には、BEPS2.0プロジェクトで策定される新ルールの主要なパラメータに関するG7財務相の見解が含まれています。
G7のこの発表は、7月に予定されているG204財務相・中央銀行総裁会議に関連して、包摂的枠組みのメンバーである139の国・地域間での合意を促すことを目的としています。
2021年6月5日、G7財務相・中央銀行総裁による会合の閉会時に発表された声明文は、BEPS2.0プロジェクトの第1の柱(新たなネクサスおよび利益配分ルール)および第2の柱(新たなグローバル・ミニマム・タックス・ルール)に関する国際的な税制改革に関する声明となっています。
グローバル化と経済のデジタル化に伴う課税上の課題に対処し、グローバル・ミニマム・タックスを採用するために、G20/OECDの包摂的枠組みを通じて進められている努力を強く支持する。市場国に対し、最大規模かつ最も収益性の高い多国籍企業の利益率10%を超える部分について、最低税率20%の課税権を与えるという、課税権の配分に関する公平な解決策をコミットする。新しい国際的な課税ルールの適用と、現在のすべてのデジタルサービス税およびその他同様の措置の撤廃により、すべての企業に対し適切な調整が施される。またグローバル・ミニマム・タックスの最低税率を国別に15%とすることにコミットする。BEPS2.0の2本柱についての合意に向けて検討を進めることの重要性に同意し、7月のG20財務相・中央銀行総裁会議で合意に達することを期待する。
会合後、議長国である英国のリシ・スナク財務相が国際的な税制改革について以下のようにコメントしました。
これらの画期的な税制改革は、英国が推進してきたものであり、英国の納税者にとっては、21世紀にふさわしいより公平な税制を構築するという大きなメリットを有している。まさに歴史的な合意がなされ、世界経済の回復に向けた重要な時期に、G7が一丸となってリーダーシップを発揮したことは誇りである。
また、米国のイエレン財務長官は、グローバル・ミニマム・タックスに関し、以下のように述べています。
G7財務相は、最低税率を15%以上とするグローバル・ミニマム・タックスの実現に向けて大きな推進力をもたらす前例のない重要なコミットメントを行った。グローバル・ミニマム・タックスは、法人課税の底辺への競争を終わらせ、米国および世界の中産階級と勤労者にとっての公平性を確保するものである。また、グローバル・ミニマム・タックスは、企業の競争条件を公平にし、各国が労働力の教育・訓練や研究開発、インフラ投資などの前向きな競争を行うようになることで、世界経済の発展を促すものである。
現在BEPS2.0プロジェクトの活動は、2021年7月9日~10日に開催されるG20財務相・中央銀行総裁会議に向け、包摂的枠組みで第1の柱と第2の柱双方について概念的な合意に達すること、10月のG20会議に向けその合意を最終化することに注力しています。G7の声明文に反映された、第1の柱における利益配分やデジタルサービス税(DST)との調整、第2の柱におけるグローバル・ミニマム・タックスの税率に関する具体的なパラメータは、包摂的枠組みの中で集中的に交渉されています。具体的にどのような内容が盛り込まれるかについては、今後の包摂的枠組みにおける課題となります。
BEPS2.0プロジェクトに対するG7の支持が確認されたことは、世界の税制を根本的に変革する上で重要なステップとなります。しかしこの変革の提案には、包摂的枠組みのメンバーである139の国・地域の合意が必要であり、7月に開催されるG20財務相会合での合意達成に向けて検討が進められています。
BEPS2.0プロジェクトは、多国籍企業が活動する国際的な税体系全般に大きな変化をもたらすものです。企業にとっては、今後数週間以降に展開するこれらの変革の動向を注視し、自社のビジネスに与える潜在的な影響を評価することが重要です。
また、影響を受ける企業は、世界中のDSTに関する動向についても確認する必要があります。
巻末注
本アラートの詳細は、2021年6月6日付EY Global Tax Alert 「G7 Finance Ministers express strong support for global tax changes under BEPS 2.0」(英語のみ)をご覧ください。