EYとは、アーンスト・アンド・ヤング・グローバル・リミテッドのグローバルネットワークであり、単体、もしくは複数のメンバーファームを指し、各メンバーファームは法的に独立した組織です。アーンスト・アンド・ヤング・グローバル・リミテッドは、英国の保証有限責任会社であり、顧客サービスは提供していません。
2021年4月15日、経済協力開発機構(OECD)は、BEPS行動14(紛争解決メカニズムの有効性向上)ミニマムスタンダードの実施状況に関して、日本のステージ2ピアレビュー報告書を公表しました。ステージ2では、ステージ1のピアレビュー報告書によってなされた勧告のフォローアップをモニターすることに重点が置かれています 1。日本は行動14のベストプラクティス採用に関するフィードバックを提供するようOECDに要請しているため、OECDはピアレビュー報告書に加えて、ベストプラクティス報告書も併せて公表しました 2。
報告書は全体として、日本がステージ1のピアレビュー報告書で指摘された問題点のほぼすべてに対処したと結論づけており、日本は、紛争の未然防止、相互協議手続き(MAP)の利便性・アクセス、MAP事案の解決、MAP合意内容の実施に関して、行動14のミニマムスタンダードを満たしているとされています。しかし、また本報告書では、日本はいくつかの租税条約に関して対処すべきであるとの指摘もなされています。
ポストBEPSの世界で、多国籍企業(MNE)は税務当局からの多大な圧力と監視に直面しています。日本のステージ2ピアレビュー報告書の公表は、国境を越えた取引の税務上の確実性を達成することがMNEにとって必須かつ重要であるとの認識を示すものとなっています。調査が強化され二重課税のリスクが大幅に高まると予想されますが、税務当局がピアレビューを受ける可能性があるという事実は、MNEにとって、効果的でタイムリーな相互合意プロセスへのアクセスを最も確実にする前向きなステップであると考えることができます。
本アラートの詳細は、2021年5月6日付EY Global Tax Alert「OECD releases Japan Stage 2 peer review report on implementation of Action 14 minimum standard」(英語のみ)をご覧ください。
巻末注
1. 2018年11月7日付EY Global Tax Alert 「OECD releases Japan peer review report on implementation of Action 14 minimum standard」をご参照ください
2. 「OECD BEPS Action 14 MAP Peer Review Report Stage 2: Best Practices – Japan (2021)」をご参照ください。