EYとは、アーンスト・アンド・ヤング・グローバル・リミテッドのグローバルネットワークであり、単体、もしくは複数のメンバーファームを指し、各メンバーファームは法的に独立した組織です。アーンスト・アンド・ヤング・グローバル・リミテッドは、英国の保証有限責任会社であり、顧客サービスは提供していません。
EY新日本有限責任監査法人
公認会計士 宮﨑 徹
令和4年法務省令第43号「会社法施行規則等の一部を改正する省令」(以下「本改正」という。)が2022年12月26日に公布され、同日付けで施行されています(ただし、いわゆるウェブ開示によるみなし提供制度に関する改正規定(下記2.(2)参照)は、2023年3月1日から施行されます。)。
本改正は、事業報告の一部、貸借対照表及び損益計算書並びに連結貸借対照表及び連結損益計算書について、電子提供制度(概要は「令和5年3月1日以降に開催される株主総会から」参照。また、会社法改正時の会計情報トピックス(「会社法の改正に伴う法務省関係政令及び会社法施行規則等の改正のポイント」)の(3.(3))参照)における書面交付請求をした株主に交付する書面(以下「電子提供措置事項記載書面」という。)に記載することを要しない事項とするとともに、いわゆるウェブ開示によるみなし提供制度の対象事項においても同様の見直しをするため、以下の規則を改正するものです。
なお、電子提供制度とは、2019年の会社法改正によって創設された制度で、株主総会資料を自社のホームページ等のウェブサイトに掲載し、株主に対し、そのウェブサイトのアドレス等を書面により通知することによって、株主総会資料を提供することができる制度です。基本的に上場会社(正確には振替株式を発行する会社)では、2023年3月1日以降開催される株主総会から、電子提供制度の利用が必要になります。電子提供制度において、株主総会資料を書面で受け取りたい株主は書面交付請求を行うことができ、その際に提供される書面が電子提供措置事項記載書面となります。
以下の事項について、電子提供措置事項記載書面に記載することを要しないものとされました(会社法施行規則第95条の4第1項第2号~第4号)。
① 事業報告に記載又は記録すべき事項のうち役員の責任限定契約に関する事項、事業の経過及びその成果、対処すべき課題、補償契約に関する事項及び役員等賠償責任保険契約に関する事項
② 貸借対照表及び損益計算書に記載又は記録すべき事項
③ 連結貸借対照表及び連結損益計算書に記載又は記録すべき事項
上記(1)と同様の事項について、インターネット上のウェブサイトに掲載し、そのウェブサイトのURL等を株主に通知すれば、当該事項に係る情報が株主に提供されたものとみなすものとされました(会社法施行規則第133条、会社計算規則第133条)。
① いわゆるウェブ開示によるみなし提供制度の特例措置(「ウェブ開示の範囲拡充に関する会社法施行規則等の改正のポイント」参照)に関する経過措置の規定の削除
② 形式的整備を含む所要の改正
(改正後の)会社法施行規則第95条の4第1項第2号柱書に規定する「法第437条に規定する事業報告」には、監査報告が含まれるので、事業報告に係る監査報告については、電子提供措置事項記載書面に記載する必要はありません。
(改正後の)会社法施行規則第95条の4第1項第3号に規定する「法第437条に規定する計算書類」には、監査報告及び会計監査報告が含まれるので、計算書類に係る監査報告及び会計監査報告については、電子提供措置事項記載書面に記載する必要はありません。
連結計算書類に係る監査報告及び会計監査報告については、そもそも、会社法第325条の5第1項に規定する「電子提供措置事項」(会社法第325条の3第1項各号に掲げる事項)に該当しません。したがって、連結計算書類に係る監査報告及び会計監査報告については、電子提供措置事項記載書面に記載する必要はありません。
公布の日(2022年12月26日)から施行されています。
ただし、いわゆるウェブ開示によるみなし提供制度に関する改正規定(上記2.(2)参照)は2023年3月1日から施行されます。なお、定時株主総会の招集手続を開始した日(すなわち、取締役会で定時株主総会の招集を決議した日)が2023年2月28日よりも前であっても、2023年3月1日以降に招集通知を発出する場合には、本改正後の会社法施行規則第133条及び会社計算規則第133条が適用されます(「「会社法施行規則等の一部を改正する省令案」に関する意見募集の結果について」第3 2②)。