EYとは、アーンスト・アンド・ヤング・グローバル・リミテッドのグローバルネットワークであり、単体、もしくは複数のメンバーファームを指し、各メンバーファームは法的に独立した組織です。アーンスト・アンド・ヤング・グローバル・リミテッドは、英国の保証有限責任会社であり、顧客サービスは提供していません。
・52%の消費者が生活必需品以外の消費を削減
・全世界の回答者の44%が自宅でのクリスマス用電飾や飾り付けを例年より抑えめに
・コロナ禍と関連した消費者の健康上の懸念は世界的に減少
EYは最新の消費者動向調査「第11回EY Future Consumer Index(FCI)」(以下、「本調査」)を発表しました。本調査によると、コロナ禍による健康上の懸念が収束する一方で、生活費の高騰や環境問題に対する懸念は深まっており、世界の多くの消費者が、これまで以上に出費に慎重になり、より環境に配慮した形で年末年始を過ごせるよう準備しています。
2022年9月23日から10月14日にかけて日本を含む世界27か国の21,000人以上の消費者を対象に実施した本調査によると、商品の価格を重視する消費者(「価格優先」)および環境を重視する消費者(「環境優先」)がそれぞれ25%を占め、ともに消費者の最大セグメントとなっています。しかし、「物価上昇」が世界の見出しを独占しているにもかかわらず、多くの消費者が年末年始、またそれ以降にサステナブルで健康な生活、あるいは、価値のある経験を求めていることが、本調査で判明しました。消費者は全般的に将来を楽観視しており、74%の回答者がコロナ禍による非常に多くのディスラプションから「ノーマル」な生活へ戻っていくことを心待ちにしています。また、回答者の58%が生活費高騰をかなり懸念している一方で、59%が生活を上手にやりくりできていると感じており、53%はコロナ禍で諦めていた活動を再開させることにとても熱心です。
環境に関する懸念が増加している中、消費者は支出を減らすさまざまな方法を模索しています。回答者の37%が、食品ロスをなくすため今年の年末年始に充てる食材の購入を例年より減らすことを決めており、44%が自宅で使うクリスマス用電飾や飾り付けを控えようと考えています。また、67%が物を新しく買うより、喜んで今あるものを修理して使うと回答しており、45%が購入するアイテムの実用性をより重視しています。重要な点として、世界全体の回答者の63%が最新ファッションを追いかける必要はないと感じています。
しかし、多くの消費者にとっては、インフレや経済に対する懸念が依然として最も大きな問題となっています。回答者の92%が自国の経済状態に非常に大きな、またはある程度の懸念を抱いており、87%が自身の経済状況を不安に思っていると答えています。また、89%が今年の年末年始は家族に関する支出をこれまでより減らすか、増やさない予定だと回答しており、41%が友人へのプレゼントの支出額を例年より減らすつもりだと回答しています。わずか10%の回答者のみが、「伝統は伝統だ」という理由で年末年始の消費習慣を変えるつもりはないと答えていますが、39%は年末年始の旅行にかける支出を減らすことを計画しています。家計の支出の変化が最も顕著になると予想されるのは、食事のテイクアウトや宅配の分野で、回答者の42%が今後3~4カ月はテイクアウトなどの支出を減らすつもりだと答えています。
一向に収まる気配のない生活費高騰を前にして、値段に判断基準を置いている「価格優先」の回答者は、物価上昇に大きな懸念を抱いています(62%)。このセグメントの回答者は、59%が生活必需品しか買わないとしており、年末年始のプレゼントは最新流行のものではなく、実用性の高いものを購入すると回答しています。また本セグメントの60%がファッションや化粧品に対する消費を控えており、その他のセグメント(「環境優先」、「顧客体験優先」、「健康優先」、「社会優先」)の49%を上回っています。コストに敏感な消費者の多くが今年の年末年始は家で過ごす予定でおり、50%が外出や飲食の支出を減らすなど、年末年始の消費を削減することを目指しています。価格に最も敏感なのが日本の回答者(41%)で、反対に関心が最も低いのがインド(4%)であり、中国(6%)、ナイジェリア(11%)が続きます。
「環境優先」の消費者は、それほど金銭面での心配を抱いていません。このセグメントの回答者は支出を削減する傾向はあまり見られないのですが、環境保護の理由により41%が物を買うのを控えるつもりだと回答しています。また、40%が、年末年始のお祝いの食事には環境に配慮した食品を選択するとしています。対照的に、他のセグメントでそう回答したのはわずか28%でした。「環境優先」の回答者の37%が、プレゼントには国産の商品を選ぶと答えており、40%が食品ロスを減らすため食品の購入量を減らすとしています。本調査によると、「環境優先」の回答者が最も多いのが、中国(35%)とメキシコ(34%)で、最も少ないのが日本(12%)、その次にチリ(18%)、フィンランド(19%)、ノルウェー(20%)、ニュージーランド(20%)と続きます。
本調査ではまた、社会課題を最優先する回答者(「社会優先」)も環境に配慮した消費をしていることがわかりました。この「社会優先」セグメントの回答者の70%が、地球環境の脆弱(ぜいじゃく)性に強い危機感を抱いており、年末年始のシーズンは、買い物を通して自らの社会的価値観を積極的に表明できる重要な機会だと捉えています。「健康優先」の回答者は年末年始の人混みを避けたいと思っており、74%が自身の健康を以前より意識するようになったと答えています。他のセグメント全体でそう回答したのは67%でした。
EY Global ConsumerのリーダーであるKristina Rogersのコメント:
「パンデミック再発の懸念がようやく緩和されたように見える中、消費者の焦点は環境および経済へと移りました。インフレによる物価の上昇、特にガス、家庭用電力、生鮮および加工食品の値上がりが顕著になっている中で、今年の年末年始シーズンは多くの消費者にとって難しい時期となる可能性があります。生活必需品を賄うだけでもこれまで以上の収入が必要なため、ギフト選びはより慎重に検討され、さらに「実用性」という基準が追加されます。従って企業は、幅広い価格帯を消費者に提供すると共に、自社製品が環境に与える影響について情報を提供する必要があるでしょう」
「顧客体験優先」の回答者(63%)は、「価格優先」の回答者とは違って、コロナ禍で断念していた活動を再開させることに熱心です。「顧客体験優先」セグメントの3人に1人は、バケーションへの出費(35%)、および野外でのアクティビティへの出費(31%)を増やすと回答しています。ところが、比較的高い消費性向にもかかわらず、このセグメントの41%が家計上の負債に大きな懸念を持っています。しかしながら、こうした懸念よりも楽観主義が勝っており、本セグメントの50%が幸福感を高めるために生活必需品以外のアイテム、サービス、アクティビティの購入に積極的です。5つのセグメントの中で、「顧客体験優先」が消費者の最大セグメントとなっているのがアジア(28%)である一方、ヨーロッパではこのセグメントの規模は比較的小さくなっており、最も少ないのがスウェーデン(12%)、ニュージーランド(12%)、フィンランド(12%)で、続いて英国(13%)、イタリア(15%)の順番となっています。
今や、買い物をする手段や行き先は山ほどありますが、すべての消費者が同じように買い物をするわけではありません。デジタルが目覚ましい成長を続けている中で、依然として、信頼性やコストの問題、および実店舗での買い物を好む傾向が残っています。今年の年末年始、「価格優先」の回答者の36%は実店舗で買い物をしたいと思っており、52%はオンラインで食料雑貨類を購入したことが一度もなく、ほぼ半数(48%)がパーソナライズされた安価な商品推奨のために個人データを提供したくないと答えています。反対に、「顧客体験優先」の回答者は、新しい経験をより広く求めており、3割以上(36%)の回答者が、デジタルスキンなどのバーチャルな商品を購入したり、マルチユーザー・プラットフォーム上でバーチャルな交流をしたりしています。また、43%が、ソーシャルメディアから直接商品を購入した経験を持っています。
「社会優先」の回答者は、デジタル行動に自らの連携とアクティビズムの精神を反映させています。このグループの消費者は、他のグループよりデジタルテクノロジーを活用する傾向が低くなっていますが、人々との交流には積極的にデジタルテクノロジーを活用しており、55%が最近、ビデオプラットフォーム上で友人や家族と交流したと回答しています。「社会優先」セグメントはすべての地域およびほとんどの国で最小セグメントとなっており、規模が最も大きいのが中国(18%)とナイジェリア(18%)で、ベトナム(17%)がそれに続きます。
Rogersは次のように述べています。
「消費者は、驚くほどのレジリエンス(回復力)を発揮し続けており、新たなディスラプションに対応して優先順位を変え続けています。「環境優先」が「価格優先」と並んで消費者の最大セグメントとなっていること、また世界全体の回答者の半数以上が、企業にポジティブな変化の創出や環境問題改善のリードを期待していることを考えると、この分野を優先することが価値創造のカギとなります。環境問題に対する懸念の度合いは国によって異なりますが、消費財メーカーは消費者の支出削減と、サステナブルな取り組みの加速を両立させることができます。例えば、修理や再販など、商品寿命を延ばすためのサービスは、節約に関心のある消費者だけでなく、商品の環境への影響を重視する消費者にも良いサービスとなり得ます。本調査では、それぞれの消費者への最善のサービス提供方法を真に理解するためには、消費財メーカーは世界の消費者心理に目を向けるだけでなく、各消費者セグメントのニュアンスやニーズを理解する必要があることを強調しています」
EY Japan消費財・小売マーケットセグメントのリーダー 平元 達也(ひらもと たつや)のコメント:
「日本においても、昨今の物価上昇や将来に対する不安から生活防衛に走る消費者が多く、消費行動において価格を優先するという傾向が強く表れています。その回答割合(「価格優先」)は41%とグローバルの25%を大きく上回っており、物価上昇に賃金の上昇が追い付いていない国内経済の状況を反映していると言えそうです。その一方で、環境を重視すると回答した消費者は12%にとどまり、世界で最も消費行動において環境を重視しない国となっています。また、日本における「健康優先」の消費者割合は24%と世界で最も高く、依然として健康に対する消費者の高い関心がうかがえます。さらに、「顧客体験優先」の割合はわずかながら上昇傾向にあります。生活防衛のために支出を抑えながらも、健康に配慮した商品・サービスを選択し、時には、必需品以外の商品、サービス、アクティビティなどにもお金を回すというのが、今の日本の消費者像と言えます」
EY Future Consumer Indexの最新版は以下をご覧ください。
Future Consumer Index: 5つの消費者セグメントを理解する
※本プレスリリースは、2022年11月9日(現地時間)にEYが発表したニュースリリースを翻訳したものです。英語の原文と翻訳内容に相違がある場合には原文が優先します。
英語版ニュースリリース:
EY Future Consumer Index: consumers opt for caution this holiday season to cope with rising cost-of-living and environmental concerns, new data finds
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本ニュースリリースは、EYのグローバルネットワークのメンバーファームであるEYGM Limitedが発行したものです。同社は、英国の保証有限責任会社であり、顧客サービスは提供していません。
EY Future Consumer Indexについて
EY Future Consumer Indexは、グローバル市場を対象にさまざまな期間にわたって変化する消費者のセンチメントと行動を追跡し、台頭しつつある新たな消費者セグメントを識別するものです。このIndexは、どの変化がコロナ禍への一時的な反応で、どの変化がより根本的な転換なのか、そして、コロナ禍後の消費者行動がどのようになるかについて、通常の経年的指標と独自の観点を提供します。第11回EY Future Consumer Indexでは、米国、カナダ、メキシコ、ブラジル、アルゼンチン、チリ、英国、ドイツ、フランス、イタリア、スペイン、デンマーク、フィンランド、スウェーデン、ノルウェー、オーストラリア、ニュージーランド、日本、中国、インド、インドネシア、タイ、サウジアラビア、南アフリカ、ベトナム、ナイジェリア、オランダの21,000人の消費者を対象に、調査を実施しました。
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